
滝沢秀明の主演映画『こどもつかい』が6月17日(土)より全国公開される。同作は『呪怨』シリーズをはじめ数々のヒット作を生み出し、ハリウッドリメイク版『THE JUON/呪怨』では全米No.1を達成した清水崇監督による完全オリジナルストーリー。
同作が映画初主演となる滝沢は、“こどもの霊”を操り、こどもに怨まれたオトナの命を奪うミステリアスなキャラクター“こどもつかい”役を怪演。共演者として、連続不審死事件の謎に迫る記者・駿也役に有岡大貴(Hey! Say! JUMP)が、駿也の恋人でふとしたことからこどもに怨まれてしまう尚美役に門脇麦が出演する。
物語を動かすこととなるキーパソンを演じた門脇だが、果たしてどんな思いで撮影にのぞんだのか、話を聞いてきた。
苦手なホラーに初挑戦 唯一観た清水監督の作品は『魔女の宅急便』

ーーホラー初挑戦ということですが、元々ホラー作品はお好きですか?
門脇:実はホラーが苦手なんです。なので、観たこともなくて。いつもご一緒する監督のものは何本か観るんですけれど、今回はほとんど観ずに『魔女の宅急便』だけ観ました(笑)。
本当に怖いのが苦手で、学生時代は高校のお化け屋敷とかでも腰を抜かしてしまったりしてたんです。真っ暗な中で足を掴まれて、ビックリしすぎてそのままハイハイで「本当にやめてください!リタイヤします!」って(笑)。
ーー意外です。どちらかというと得意そうなイメージがありました。
門脇:実はキラキラした話が好きです。少女漫画ばっかり読んでます。
ーーそれも意外です!(笑)そんな苦手なホラー映画に出演しようと思った理由は?
門脇:自分にホラー映画出演の話をいただける日が来るとは夢にも思ってなくて。清水さんとご一緒するには、ホラーをやるしかないと(笑)。清水さんとご一緒したかったのでとても嬉しかったです。
清水監督を支えたい 「なんでもやってあげたくなっちゃう」

ーー清水さんはどんな方でしたか?
門脇:清水さんは、みんなに「監督のために…!」って思わせる人ですね。わたしの中では、監督って「ついて行こう」っていうタイプの方と「この人のために力になれたら。支えてあげたい」って思わせるタイプの方がいて、清水さんは、なんでもやってあげたくなっちゃう監督だなぁって。すごい素敵な監督です。
ーー最初に脚本を読んだときの感想は?
門脇:脚本を読んで、ただ怖いだけのホラー映画ではないと思いました。ホラーの要素もあるんですけれど、ファンタジーの要素も強いですし。ドラマもしっかりあるんです。尚美の幼少期の不安、トラウマと現在抱えている不安。見ないように見ないようにしていたものが、ボンっと現れて、最後、(有岡演じる駿也と)2人でどう乗り越えていくかっていう、ちゃんとしたドラマになっていたので。ホラー映画だからと何か構えず撮影に臨もうと思いました。
ーー演じる上で普段とは違う苦労はありましたか?
門脇:ホラーなんですけれど、現場はシュールでした。お化けがいるわけでもないですし、一人芝居というか。リアクションがやっぱり多いので、「よーいスタート!」の3秒後に「キャー!」とか。テンションをあげる作業、そういう意味では難しかったです。やはり外からの刺激で「ハッ!」ってびっくりしたりできるんだなと。「怖い」という感情は中から作り出せるものではない。自分で驚くのは難しかったです。
有岡大貴は人見知り?「質問攻めにしました」

ーー有岡さんや滝沢さん、共演者の方の印象は?
門脇:滝沢さんとは同じシーンがあまりなくて。同じシーンがあっても、緊張して全くしゃべれなかったです(笑)。「おはようございます」「お疲れ様です」くらいしか言葉交わしていないと思います。
でも、こどもたちはすごく滝沢さんに懐いていて。「次、スタート始まったらここはこうやるんだよ!わかった人ー!ハーイ!」みたいな感じで仕切って下さって。先生のようでした。見た目は怖いメイクをしているんですけれど、元がお綺麗だから美しかったです。お人形さんみたいだなって。
有岡さんはご一緒するって聞いて彼が出ているバラエティ番組などいろいろ見ました。バラエティとかを見ると社交的な印象を受けて、仲良くなれるだろうと思って現場に行ったら、すごく人見知りで、喋ってくれなかったんですけれど(笑)。最初の2、3日くらいは質問攻めにしました。「好きな食べ物はなんですか?」とか(笑)。インタビューみたいな感じです。それで徐々に仲良くなれました。
有岡さんは、一見器用になんでもこなせる風に見えますが自分の心にまっすぐで、魅力的な人だと思います。
子どもと仲良くなるためにゲームのキャラを暗記

ーー白目の子どもたちは大丈夫でしたか。怖かったですか?
門脇:白塗りしてるし、目の周りとか真っ黒なんですけれど、現場では怖くないんですよ(笑)。こどもだから自由で、「一列に並んでゆっくり歩いてね」って言ってるのに、一人どっかいっちゃうとか。子供たちと一緒のシーンはいつもワイワイしていました。怖いどころかむしろ可愛かったです。
ーー滝沢さんが子どもをあやすのが上手だとおっしゃっていましたが、門脇さん自身はどうですか?
門脇:実は、わたしは苦手なんです。どう接したらいいか分からなくて。だから最初、保育園の先生役って聞いた時に、どうしようと思いました。共演時間の長い蓮くん役の中野遥斗くんとも、仲良くなれるかなぁって不安でした。
ーー共通の話題とか難しいですよね。
門脇:遥斗くんが好きなゲームがあったので、キャラクターの名前を全部覚えました。あっち向いてホイをやったり。あとは落書きとかして。私の台本は、遥斗くんの落書きだらけです(笑)。
それで、だいぶ仲良くなれた気がしていたんですけど、最後に清水さんから「こども苦手でしょ」って言われました(笑)。遙斗くんも撮影中盤には懐いてくれて、嬉しいなって思ってたのですが…。「2人のシーンを観て『あぁ~苦手なんだろうな~』って思った」って言われて、すごくショックでした(笑)。
撮影中の怪奇現象は「信じない!」

ーー実際に完成した映画を観ての感想は?
門脇:わたしが出ていないシーンを観るのも面白かったです。あ。こんな風になっていたんだって。有岡さんが戦うシーン見て、こんな面があったんだって思いました。普段一緒にいても優しげな雰囲気なので、アクションシーンでかっこよく、男らしく戦ったり。そういう一面もあるのかと(笑)。楽しく拝見しました。
ーー怖かったシーンはありましたか?
門脇:サーカスのシーンは作り込まれていて怖かったです。ノスタルジックでオルゴールの音が聞こえてきそうな感じ。世界観があって、怖いんですけれど、ワクワクする感じ。あとは、2、3箇所目をつぶれば観れました(笑)。
ーーどんなシーンで目を?
門脇:何にもないのに、ガーーーってカメラが寄ってきて振り向くとか。そういうのが怖かったです。台本を読んでいて知っているはずなのに、ビクッてなっていました。
ーーよくホラー映画の撮影中に怪奇現象が起こったとか聞きますが、そういったことはありましたか?
門脇:廃墟での撮影で、空間が「歪んでいる」ってみんなが騒いでいる日がありました。わたし自身は何も感じなかったんですけれど、その日は、お塩をまきそびれて、代わりにお酒を飲みました。清めの酒(笑)。
ーー蜃気楼みたいに歪んでいたんでしょうか?
門脇:わたしには見えなかったんですけれど。見える人がいて「歪んでる」って言っていました。わたしは、そういうのは怖いので「歪んでるわけない!」って信じませんでした。
ーー有岡さんはなんでも強く受け取ってしまっていたって伺いました。
門脇:ホラーをやっているとみんな怖がりたがるんですよ。ちょっとノイズが入っただけで「え?え?」って。映像にもやがかかったりしても「それなんですか?心霊現象ですか?」って。ちょっとワクワクしてたと思いますよ、有岡さん(笑)。少しその気持ちはわかりますが、わたしは「それは機械の問題!」って気を張っていましたけど(笑)。
ーー今回の撮影で、ホラーへの苦手意識はなくなりましたか?
門脇:相変わらずホラーを観ようという気にはならないです。演じるのはいいんですけれど、出来上がりを観るのがやっぱり苦手です。
ーーまたホラー作品で清水さんに呼ばれたら?
門脇:清水さんに会いたいから出るかもしれません(笑)。


インタビュー・テキスト:堤茜子
写真:長谷英史
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