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 夏が近づいてくるとワクワクと胸が高鳴る人も多いはず。旅行先で出会った男性と「ひと夏の恋」に落ち、忘れられない思い出になる……なんてロマンチックな経験をしてみたいものですよね。

 筆者の友人・M美は、グアム旅行をきっかけに出会った、そんな「ひと夏の恋」の経験者。海外といえばリアリティTV「チーターズ~浮気調査団~」などの浮気調査番組が人気です。M美の“ひと夏で終わらなかった恋”も、そんな番組に出てきそうな“普通の恋”とはちょっと違って……?

【過去記事】

「これが運命?」グアムで出会った彼と意気投合

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 夏休みに友達と一緒に遊びに行ったグアムで、2歳年上の男性のY助と恋に落ちたM美(当時・23歳)。きっかけは、恋人岬という観光スポットに向かうバスを待っているときに、彼に写真の撮影をお願いしたことから始まります。

「すみません、写真撮ってもらってもいいですか?」

「いいですよ」

「ありがとうございますー! なかなかバス、きませんね~。あ、これ飲みますか?」

 3人の女子グループできていたM美。Y助はひとりで旅行をしていましたが、「男がいたほうが楽しいよね!」と盛り上がり、その夜、浜辺に集まってみんなでお酒を飲むことになりました。なかでもM美と彼は音楽の趣味が合ったことから意気投合。お互いにフリー、そして友達の後押しもあり、勢いでY助とM美は付き合うことになります。

「恋人岬に行く途中で出会うなんて、運命的だよね!」

 そんな友達の祝福を受けながら……。

初めてのお付き合いに「彼のためなら何でもしてあげたい!」

 帰国後、M美は東京、Y助は大阪という遠距離恋愛がスタートします。M美にとって、Y助ははじめての彼氏だったこともあり、傍からみてもM美はY助にゾッコン。遠距離恋愛のため会える回数は多くて月に1回しかなかったものの、M美は「彼のためにはなんでもしてあげたい!」と、Y助の趣味である車の展示場を回ったり、ギターを物色したりと張り切っていました。

 そんなこんなで交際が1年を迎えたある日。M美はY助に「3万円貸してほしい」と電話で頼まれました。理由は「どうしてもほしいギターがあるから」とのこと。Y助は実家暮らしでしたが、ギターや車が趣味なこともあり、常にお金は底を尽きている状態。

 「浪費家だなぁ……」とも思ったM美ですが、Y助がギターに夢中なことを知っていたので「貸してあげたら喜ぶだろうなぁ……」と思い、Y助の銀行口座に3万円を振り込みました。これがきっかけとなり、Y助はよくM美に借金を申し入れるようになります。

「どうしてもほしかったフェラーリの中古車、あと40万円あれば買えるんだ」

「今月どうしてもピンチで……助けてもらえないかな?」

 そんな頼みが続き、M美がY助に貸した額は60万円にものぼりました。M美も一人暮らしをしているので、決して生活は楽ではありません。Y助のためにとお金を貸していましたが、貸せるお金もなくなってきました。それどころか、M美がY助のもとへ会いにいく交通費さえ出せなくなり、かれこれ2カ月はもう会えていません。

「Y助、ごめん、先月貸した5万、今月中に返してくれるかな? マンションの更新料が必要で……」

 M美がY助にそう伝えると、Y助は「分かった! 月末にはM美の口座に振り込んでおくよ。いつもありがとう」とお礼を言いました。しかし、驚くことにそこからY助からの連絡は途絶えたのです。Y助にLINEを送っても、電話をかけてもつながらず、ブロックや着信拒否をされていることに気付いたのはそれから1週間後のこと。これはおかしいと思い、M美はY助の会社に電話をします。

「M美と申しますが、Y助くんは出社されていますか……?」

「申し訳ございません。ただいま外出しております。戻り次第かけ直しますのでお名前とお電話番号を……」

 Y助は営業で働いていたため、会社に電話をしても毎回外出が席をはずしているかで電話に出てもらえることはありませんでした。

「もしかして、このまま逃げる気……?」

 さすがに2週間も会社の電話をつないでもらえないとなると、人為的に避けられているとしか思えません。不安になったM美はある行動に出ることにしました。

実家に内容証明を送りつけ、母親に直訴! 

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 実家に住んでいるY助が彼女にお金を借りていたのには理由がありました。それは、母親がお金に関して非常にシビアなことです。通常であれば彼女よりも親にお金を借りるものですが、Y助の母親は親族であってもお金の貸し借りを嫌っていたため、借りることができなかったのです。

 M美はY助の住所に、ツーショットで撮影した2人のラブラブ写真を同封し、内容証明を送りつけることにしました。Y助に読んでもらえないことを恐れて「ご家族のみなさまへ」と宛名を入れ、総額60万円を貸していること、返すと言っていたが返ってこなくて困っていること、電話やメールの連絡もつかないことなどを書きました。封筒の中には写真だけでなく、振り込んだ際の通帳のコピーやM美の電話番号も記入しておきました。

 内容証明を送りつけた1週間後、M美のもとに知らない電話番号から連絡が入りました。

「もしもし、どちらさまですか?」

「はじめまして、私Y助の母です。内容証明を頂いたのですけれど、これは本当でしょうか?」

 かかってきたのはY助の母親からでした。M美はY助と付き合っていたことや、初めてお金を貸した日、そしてマンションの更新料が払えずに困っていることなどをすべて伝えました。Y助の母ははじめは不審に思っていましたが、M美がきちんと伝えると納得した様子で「申し訳ありませんでした。Y助に確認してすぐに返済させます」と言ってくれました。

 3日後、Y助の母から口座振り込みの連絡が入り、M美が確認すると貸していた60万円がしっかり振り込まれていました。しかし、その後も一切Y助からは連絡はありませんでした。

お金は彼ママに直訴するも……直後に女性の影!

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 後にM美が友達のFacebook経由でY助の情報を確認してもらったところ、女性の影があり、お金を借りて逃げようとしただけではなく、はっきりと断定できないものの、どうやら浮気もしていた様子。

「もしかしたら母親に告げ口したことを怒ってるのかも……。まあもういいけどね、60万円返ってきたし。親はマトモでよかった」

 M美はそう言ってため息をつきます。運命的な出会いをし、ひと夏でなく、1年半もの甘い日々を過ごしてきたかのように見えた恋でしたが、その終わり方は何とも残酷な結果になりました。

「1年半付き合ったっていっても、こっち(東京)にきてくれたのなんて最初の3カ月くらいで、あとは全部私が向こうまで会いに行ってたんだよねぇ」

 そう言って自嘲ぎみに笑うM美。好きな人だからこそ、お金を貸してあげたいと思ったM美でしたが「お金を貸したからって愛はもらえないんだなって」と何かを悟ったようにつぶやいていました。

(ライター/小林リズム)

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