テレビに出ている芸人は、ほとんどがどこかの事務所に所属している。吉本興業や松竹芸能、ほかにも大小さまざまな事務所が存在する。その中で、芸人から密かに羨ましがられている事務所がある。それが「浅井企画」だ。

 元々は萩本欽一と坂上二郎のお笑いコンビ「コント55号」を売り出すために設立された事務所であり、その後、関根勤や小堺一機、キャイ~ンを売り出した。キャイ~ンのあとしばらく人気芸人が出てこなかったが、数年前からどぶろっく、ずん、流れ星、イワイガワが出始め、最近ではANZEN漫才の人気が出てくるなど、浅井企画に流れが来ている。

 浅井企画には養成所がないため、所属するにはネタ見せに合格して何度かライブに出演し、ある程度の結果を残さなければならない。最近の浅井企画芸人の活躍により、そのネタ見せに応募するフリーの芸人が急増しており、ネタ見せに参加するまで半年待ちになることもあるそうだ。

 浅井企画の芸人は他の事務所の芸人から「いいなぁ、浅井企画は」と言われることが多いのだという。それは先輩が皆優しいからだというのが理由の1つだ。確かに関根勤を見ていると、テレビの画面を通しても人柄のよさが伝わってくる。そんな先輩がいる事務所には、やはり同じように人柄がいい芸人が集まってくるのだろう。浅井企画所属ではないどの芸人に聞いても、「関根さんは優しい」という声ばかりが聞かれる。

 ある芸人はこう話す。

 「関根さんに時々テレビ局の廊下などで会うのですが、そのたびに笑顔で近づいてきて『あの番組面白かったね。あれ呼んでよ』と僕が出ている番組の感想を言ってくれるんです。それも毎回違った番組の。普通なら挨拶だけで終わるのにあんな優しい先輩いませんよ」

 また、過去に関根が出演するDVDの取材をした雑誌編集者も同様の感想を述べる。

 「関根さんが出演するDVDなので、本人が取材に応じるのは当然とはいえ、大抵の場合、プロモーションで取材を受ける大御所ってものはどこか不機嫌で、『またその質問かよ……』みたいな空気を感じるものです。しかし、関根さんは終始笑顔で楽しそうに答えてくれる。帰りは部屋の外まで見送ってくれますし、あんなに気持ちのいい芸能人取材はありませんでした。あと、そのときに関根さんの髪の毛が寝ぐせでピーンと立っていたのもなんだか人間味を感じたものです」

 そんな関根勤を見出したのが浅井企画の社長、浅井良二氏だ。浅井社長の人柄がいいことは業界内では有名な話であり、浅井社長の優しさがそのまま会社になったのが浅井企画と言っても過言ではないだろう。

 あるとき、浅井社長は芸人を呼び、スーツを仕立てるそうだ。社長にスーツを買ってもらうと、浅井企画の芸人として認められたことになるのだという。新年会では毎年芸人に社長自らがお年玉を配っている。大きな舞台があると出演者とスタッフの全員に鰻弁当の差し入れをする。

 そして芸人にとって羨ましいのがギャラの配分だ。吉本の場合、「9(事務所):1(芸人)」と吉本芸人が自虐的に語ったりもするが、浅井企画は「3(事務所):7(芸人)」となっている。単純に同じ仕事でも吉本芸人の7倍も貰える計算だ。事務所の中でもかなり芸人の取り分が多いのが浅井企画の特徴である。さらに、ずんの飯尾和樹が26年くらい前は「1(事務所):9(芸人)」だったとテレビで明かしている。

 ある中堅芸人はこう話す。

 「こんな芸人に優しい事務所はないですよ。社長も芸人に優しいし。アットホームな社風が羨ましいです。今の事務所を辞めて浅井企画に入りたいです」

 しかし、このアットホームさがあったが故に、キャイ~ン以降の売れっ子芸人がなかなか出てこなかったとも言われている。芸人は「あいつらには負けない」「あいつより1つでも多く笑いをとる」というライバル関係があって芸が磨かれていくものだ。浅井企画にはそのガツガツさがなかったのが弱点であり、社長の優しさが「芸人が売れるためには優しさではなかった」と指摘する声もあった。

 だが、その逆境を超えて浅井企画の評価が上がってきている。やはり社長の方針は間違っていなかったのであろう。

(文/AbemaTIMES編集部)

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