この記事の写真をみる(6枚)

 安倍総理とトランプ大統領は26日、日米首脳会談を行った。しかし、安倍総理は“加計学園問題”で大激震、トランプ大統領には“司法妨害疑惑”で史上初の弾劾か。まさにWピンチの様相だ。

 加計学園は来年4月開校を目指し、愛媛県今治市に獣医学部の建設をしている。37億円の土地を無償提供され、96億円の補助金付きという至れり尽くせりの待遇だ。獣医学部は不足しておらず、文科省は52年間新設を認めてこなかった。2007年から2014年にかけて、加計学園の15回にわたる獣医学部新設の許可申請も却下してきた。ではなぜ、突然認可が下りたのだろうか。

 野党が問題視しているのは、安倍総理が加計学園理事長と友人関係にあることだ。安倍総理は3月に国会で「彼(加計氏)は私の友人ですよ。ですから会食もします。ゴルフもします。でも彼から私、頼まれたことありませんよ。もし働きかけて決めてるんであれば、それは私、責任とりますよ」と答弁している。また2014年に加計学園系列の大学の式典では「30年来の友人である私と加計さんもまさに腹心の友である」と述べている。2人は年に何回もゴルフや会食を共にする仲だ。

拡大する

 文科省の内部文書とされる「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」というメモがある。そこには「これは官邸の最高レベルが言っていること」「これは総理のご意向だと聞いている」と認可を迫る内閣府の発言が記されている。しかし、17日に菅官房長官が「全く怪文書みたいな文書じゃないでしょうか」、19日に松野文科大臣が「該当する文書の確認はできなかったので、その旨報告する」と述べ、政府はメモの信憑性を完全否定している。

 ところが、当時の文科省の事務方トップだった前川前文科事務次官が「私が実際に在職中に共有していた文書でありますから、これは確実に存在していたわけであります」「あったものをなかったことにはできないと」と断言した。前川氏は会見で「いわば内閣府からの最後通告に近いものですね。30年4月開学というのは、これはもう決まったことだと」とも述べ、加計学園の獣医学部を認可するように内閣府から強い圧力があったと訴えた。さらに「公正公平であるべき行政のあり方が歪められたというふうに認識している」と述べ、加計学園ありきでものごとが進んでいたとした。

拡大する

 野党側は前川氏の証人喚問を求めている。民進党の蓮舫代表は「行政をゆがめたのは誰なのか。国会でしっかり明らかにする必要がある」と述べた。前川氏も「証人喚問があれば参ります」と述べている。しかし、自民党は国会への招致を拒否し、全面対決の構えを崩していない。菅官房長官は「出所不明で信憑性も定かでない文書である。それに全く変わりはありません」と述べた。松野文科大臣も「文部科学省として改めて調査をするつもりはございません」と答弁している。

 こうした安倍政権の姿勢について前川氏は「いわば黒を白にしろと言われているようなもんですから。官邸、内閣官房、内閣府といった政権の中枢からの意向、要請といったものに逆らえないといった状況があるというふうに思われる。政権中枢の力が非常に強まっているというのは事実だなと思います」と述べた。

 政権から距離を置く自民党議員は「霞が関が安倍政権に対してマグマのように不満を溜めているということだ」と述べた。また経緯を知る文科省の現役官僚は「正直、今の文科省がウソを言っているとしか思えない。早くはっきりしないと文科省のイメージが悪くなるだけだ」と述べた。

拡大する

 2016年11月2日に内閣府原案で「獣医学部のない地域において新設を認める」とされていたものが、11月9日には「広域的に獣医学部がない地域に限り新設を可能とする」と修正され、大阪に獣医学部があるため京産大は新設を断念した。2017年1月20日に加計学園だけが公募に応じ、新設が認定された。同じ日に前川文科次官が再就職の斡旋問題で引責辞任した。

 共産党の小池晃書記局長は「37億円の土地が無償提供され、96億円の補助金が注ぎ込まれようとしている。どういう過程でこれが決まったのかは、はっきりさせないといけない。おかしいと思うのは、前川さんは『総理が言った』と言っていない。『内閣府から総理の意向だと言われた』としか言っていない。総理は『自分は言っていない』という。問題は内閣府ですよ」と述べた。さらに「ところが菅さんはそれを言わない。内閣府の中に総理の虎の威を借りて、総理の意向だと言っている人がいることを疑うべき」とした。「前川氏の述べたことが嘘偽りであれば、証人喚問すれば良い」と指摘した。

 小池氏は「加計だけではなく、森友もある。なぜ続けざまに同じようなことが起こるんですかと」「普通はイエロカードが2枚でたらレッドカードなんですよ。僕はつまらない問題だとは思わない。こういうことが続いたら、国民は信頼しなくなりますよ」と述べ、政府・自民党の姿勢を批判した。

拡大する

 民進党・衆議院議員の宮崎岳志氏は「官房長官は(メモを)怪文書だ、出所不明、真偽不明だと言っている。ところが、文部科学省は怪文書だと言っていない。記者会見で松野文科大臣は『文科省として怪文書だと言ったことは一度もありません』と繰り返し言っている。官僚に真偽が確認できないというのは、嘘でたらめなんですかと聞いたら、そうだとは言っていないと。確認ができないだけで、嘘だとは言っていないと。中身が間違っているとも言っていないと」とメモに対し、政府内で食い違いがあると指摘する。

 政治評論家の有馬晴海氏は「これ(メモ)を上にあげるなり、他の人に指示する時に言葉(口頭)でやって違ってくると困るので、メモとして残してくっつける」と官僚の仕事の仕方について説明した。元財務官僚で弁護士経験がある山口真由氏は「こういう文書、ご説明のための文書ですが、2行くらいの箇条書きで書くというのは、よくすること。先生方(国会議員)にレクチャーに行く時にこういうものをお持ちすることもあると思う」と述べた。

 宮崎氏は「問題は規制緩和したことではなくて、条件を当てはめて、ライバルを蹴落としたことが問題」と述べ、行政の公平性が損なわれた可能性があるとした。小池氏は「獣医学部を作ることが悪いとは思わない。規制緩和してそれを作るのはいい。しかしこれは規制緩和ではなく、規制の強化だ。『広域的に獣医学部がない地域に限り』とした。なぜこれが重要かというと、本来、京都産業大学と加計学園が候補にあったにもかかわらず、加計ありきでずっと組まれてきた。加計学園に落とす(決める)ための議論があって、縛りをかけるようなことを最後の最後でやった」と一連の経緯に疑問を呈した。

拡大する

 有馬氏は「昔は“族議員”というのがいて、それが口を利いて、陳情を持っていって、官僚に圧力をかけてやらせるということやっていた。ところが今、官邸主導でやろうという話になった。官邸が人事を押さえたから、官邸の意向が強く出たんじゃないかと。ものごとを変えるには、国会議員が色々な所から陳情を受けて、いいものであればやっていこうというのは今までもあったし、これからもやらなければいけない。しかし今回に関しては、安倍さんの30年来の親友ということで、ちょっと歪んだ形があったのではないか」と過去の経緯について解説した。

 小池氏は「霞が関の中でも疑問があったら言えるという世界にしておかないとまずいと思う」と述べ、官邸が強い力を持つ現状に危機感を示した。宮崎氏は「(官邸に人事を握られているので)総理に官僚が言いたいことが言えないのは問題」と同様に官邸主導の弊害を指摘した。

 小池氏は読売新聞の“出会い系バー”報道について「怖いなと思いましたよ。何かお上に楯突いたら、こういうのを流すんだと」と感想を述べた。宮崎氏は「私も新聞記者でしたけれど、これ(読売新聞の記事)はあり得ないですよ。絶対書かない」とし、今回の記事には違和感があるとした。

 森友問題に続き、加計問題が浮上した安倍総理。官僚との複雑な関係も指摘されるなど、今後の展開に注目が集まっている。

AbemaTV/みのもんたのよるバズ!より)

(C)AbemaTV

みのもんたのよるバズ! | AbemaTV
みのもんたのよるバズ! | AbemaTV
みのもんたが本気で若者を応援する番組
AbemaNewsチャンネル | AbemaTV
AbemaNewsチャンネル | AbemaTV
AbemaTVは無料でテレビ番組が見れるインターネットテレビ局です!
この記事の写真をみる(6枚)