バラエティ番組に欠かせない「ひな壇芸能人」だが、この仕事を続けるのはあまりにもキツいと語るのは土田晃之だ。「21歳から20年以上テレビに出続ける芸能界の生き字引」「ひな壇に欠かせない男として 全バラエティ番組が頼りにしている存在」といった言われ方もする。そんな土田が5月28日に放送された『TVじゃ教えてくれない業界裏教科書』(AbemaTV)に出演し、「バラドル界の2大レジェンドから学ぶ芸能界生き残り術 講座」の先生役を務めた。生徒はモデル・堀田茜、AKB48・入山杏奈、タレント・岡田結実、女優・太田唯、タレント・内藤理沙、そして『テラスハウス』(フジテレビ系)にも出演したNikiの6人だ。

長年生き残ってきた土田はまずは一気にこうまくしたてた。
「僕らは『ひな壇』が本業ですからね! 皆さんは本業は別ですから。今日は本業がありながら、いかにひな壇に出るという話をします。純粋に『バラエティでなんとかしたい…』というクソみたいな考えはやめちまえ、ということです。ミュージシャンや女優といった仕事があった中でのバラエティ番組について今日は話します。
バラエティは安易に出られるんです。事務所が、旬の人物であるあなたたちを押そうとしているんです。でも、数年後は顔ぶれが変わっているもの。20年、なんだかんだ仕事していますし、色々な若い子と仕事していますが、今、誰ももういないんですよ。10歳ぐらい年下のグラドルとか、もう誰もいないんです。今日はひな壇を本気で目指すなんて思ってはいけないということを教えに来ました。本気で目指そうとすれば、2人のレジェンド、いや、化け物を紹介します。バラエティでは小池栄子は神的存在でした。でも、今は女優でしょ? バラエティを利用して本当にやりたいことをやっているのです。だから、女の子は身分が違うんだよ! そんな中、2人しかレジェンドはいないと思っています」

そのうちの一人が井森美幸である。土田によると「群馬出身ってのがいい。いじりがいがある」とのことだ。井森は今やバラエティ番組に欠かせない存在だが、元々はホリプロスカウトキャラバンで12万人の中から選ばれた美少女である。「井森美幸16歳、まだ誰のものでもありません」というキャッチフレーズでデビューした。最近のバラエティ番組で土田がこのキャッチフレーズにかけ、「井森美幸48歳、まだ誰のものでもありません」と井森に対して言うと「ちょっとぉ、つっちー!」と返してくる点などが、ひな壇芸人としてはありがたいことなのだという。
そこで、井森の強みを土田は2つあげた。一つは「人柄がいいから、いじってもらえる!」だ。
「いじりやすい。大先輩だから変なこと言ってはいけないな、と思う。それなのに、何でも返してくる。『うるせぇな、ババア』と言ったとしましょう。そこでその方がシュンとなったらただのいじめです。でも、井森さんは『なんなの、つっちー!』と言ってくる。いじったら返してくれるのです」
◆井森美幸の都市伝説と「テレビはスタッフのもの」説
もう一つの強みが「レギュラーを持たないことで毎日テレビに出ている!」だ。
「井森さんと言ったら何の番組とは分からないでしょ? 『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)は曜日に関係なくロケで出ています。司会の南原(清隆)さんよりも井森さんが多く出ているのでは? という都市伝説がある。どの曜日にも出られる、ということは、誰とでも仕事ができるということです。テレビってものはスタッフのものであり、出演者のものではありません。番組はディレクターのもの。面白いものを作りたい時、計算が立つタレントを起用したいと考えます。司会者も井森さんいじったら、返してくるので『あの人、MCうまいな』と思われるし、井森さんの評価も上がるし、番組も面白くなる。皆幸せになるのです」

もう一人のレジェンドは島崎和歌子だ。デビューしたのは1989年、16歳の時で、その2年後、18歳の段階でTBSの名物番組『オールスター感謝祭』の司会に抜擢され、島田紳助の相方を務め、現在でもその地位を維持している。そして、土田が考える島崎和歌子のすごいポイントの一つ目は「芸人仲間で一緒に飲むと同志に見える!」だ。
「和歌子はきれいなんです。それなのに二人だけで一緒に飲んでいても『あれ、あの二人付き合ってるのかな?』と誰も思わない。これってすごくない? 和歌子と誰が二人でいてもそう思わない。なぜなら同志だから。見た目は綺麗ではあるが、違う部分が目立つのはすごいこと。以前、上島竜兵さん、有吉(弘行)、和歌子、そして僕で飲んだ。もうキツいので、有吉と走って逃げたら『待てよ、お前ら!』と追っかけてくる。ソファーでうんこ座りで酒飲んでいる。地元のヤンキーみたいなところがいいところ」
そして、2つ目の強みは「大御所との絡みが上手い!」点にある。
「大前提として、和歌子は酒が好きです。和田アキ子さんとかの飲み会に来る。上下関係が分かっていて、先輩を立てます。そういうところの匙加減が上手で、礼儀もしっかりしています。こうした飲み会も重要でオレと有吉のことを追っかけてきて『待てお前ら!』というのがエピソードになるわけですね」
◆井森美幸と島崎和歌子の共通点

そんな2人の共通点は「いつまでも綺麗」ということにある。土田は「小汚かったりしたら、『うるせぇ、ババア』とか言えない。だって小汚いんだもん。実物は美人だからいじれたりする。返してくれますしね。もう一つの共通点は「愛される人間力」だ。
「歌手の仕事は歌。女優・俳優は演じること。バラエティは自分の人間性を身を削って売るのがバラエティ。『あのADおかしなヤツだな』とかネタを日々探しています。生徒の皆さん、探してないでしょ? 僕たちはこれが仕事なんだからやります。では、この人間力を鍛える方法? それはないです! つまり、バラエティ番組のひな壇芸能人は目指さない方がいい。だって、レジェンド、2人しかいないんですよ! こんな狭き門ってある? 俳優・歌手になるのは大変だけど、俳優、歌手はたくさんいます。バラエティは入ることは簡単だけど、その後続くのは難しいです」
また、子供から高齢者までが観るバラエティ番組に出演する女性で大事なのは太陽的な明るさ、清潔さ、あとは性の香りがしないことだという。井森、島崎もそういった存在であり、若手では小島瑠璃子と佐藤栞里がその例である。
そして、土田は結論を述べたが、女性の芸能人にとってもっとも良いキャリアは会社社長など、お金を持っているいい結婚相手を探すことだそうだ。社長になるような人は「俺の嫁さん、芸能人だぜ」と言いたいのだとか。結果的に生徒役6人に対しては「本業を頑張れ」という結論になった。
(c)AbemaTV
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