豊洲移転か築地改修か、未だ結論が出ない東京都中央卸売市場問題。先延ばしにすればするほど、また余計な費用がかかっていく。豊洲移転を、経済的な視点から見るとどのような問題があるのだろう。
経済ジャーナリストで大正大学客員教授の渋谷和宏氏は、「築地に留まるも地獄、豊洲に移るも地獄」と話す。4月に採取した水から環境基準の100倍のベンゼンが出てきた豊洲には、市場の建設に6000億円が投入されている。そして地下水対策には、またさらに費用がかかることとなる。一方で豊洲移転をやめ、築地改修案で進める場合、前提となるのが豊洲用地の売却だ。3千~4千数百億円で売却し、これまで豊洲にかけた費用をいくらか回収するということが条件となってくる。しかし、豊洲の用地をそんな金額で売れる保証はどこにもない。となると、どちらにも莫大な費用がかかる。
しかし、決断を先延ばしにすればするほど水産卸業者への補償費用もかかってくる。1日に換算すると補償金が1300万円を超えるという。豊洲移転を見越して冷蔵庫を買ったが、使用せずに置いておくと価値が下がるため、その分を補てんしてほしいという業者からの相談が東京都に多く来ている。
渋谷氏は「結論を先延ばしにするほど補償でもお金が出ていく。ここは政治判断で一刻も早く決める時期に来ている」と解説した。移転にしても改修にしても、必要な施設である。費用がかかるのは仕方ないが、補償金1日1300万円に都民の税金が使われていることも事実だ。どちらを選択しても反対意見はある。小池都知事の一刻も早い決断を期待したい。
(C)AbemaTV