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■性能をアップさせた地対艦巡航ミサイルを発射か

 8日早朝、北朝鮮が東部の元山付近から日本海に向けミサイル数発を発射した。これで4週連続の発射ということになるが、韓国軍によると今回発射されたのは「地対艦巡航ミサイル」とみられるという。

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 今年に入って10回発射されたミサイルのうち、9回はいずれも「弾道ミサイル」だった。韓国国防省は8日の会見で「アメリカの原子力空母などに対し精密な打撃能力があることを誇示する狙いがある」との見解を示し、"米朝関係"または"南北関係"で主導権を握る意図があると指摘している。

  元防衛省統括研究官で、朝鮮半島情勢に詳しい武貞秀士・拓殖大学院特任教授によると、「巡航ミサイル」は飛行高度が低く、速度も遅いため、迎撃は簡単である一方、衛星と通信しながら航路を修正することができるため、10m程度の誤差で命中させることができるのだという。

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 韓国メディアは、今回の巡航ミサイルが、4月に平壌で行われた軍事パレードにも登場したものである可能性を報じている。武貞氏は「中国のものをベースに独自の技術を加え、パレードに登場したものよりも性能を2割くらいアップさせているのではないか」と指摘する。

■「軍事衝突につながりやすいのは弾道ミサイルよりも巡航ミサイル」

 すでに日本を射程内に収め、最終的には米本土を狙って開発を進めてきた「弾道ミサイル」ではなく、"韓国にしか届かない"「巡航ミサイル」を北朝鮮が発射したのには、どのような意味があるのだろうか。

 武貞氏は「これでこの海域にいる韓国海軍の艦艇は撃沈できますよ、というPR」と話す。また、今回のミサイルとアメリカが警戒するSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射の構造が同じということから、その完成が近いことをアピールする狙いもあるのではないかと推測した。

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 さらに武貞氏は「韓国軍は北朝鮮が自国の艦船を攻撃した場合、その発射基地を叩くという方針を決めている。つまり、南北の衝突につながりやすいのは、弾道ミサイルよりも巡航ミサイルだ。その精度の高いものを200キロしか飛ばしていない、ということの狙いを考えると、北朝鮮が南北軍事衝突の具体的なイメージを描いて試験発射をしている可能性は大だ」と指摘。

 巡航ミサイルの場合、国連安保理決議違反には該当せず、日本政府も北朝鮮への抗議は行わない方針としていることに対しては「巡航ミサイルが日本の安全に関わっていないというのは誤りで、軍事衝突につながりやすい実験まで始めたということの深刻さをもっと捉えるべき。日本政府は抗議するべきだった」と訴えた。

■"韓国は我々がいただきます" 北朝鮮の「グランドデザイン」とは

 ミサイル技術に磨きをかける一方で、他の装備は旧式のものを使っているとも言われている北朝鮮これについて。武貞氏は「ミサイル開発だけに人材とお金と時間をかけて、ピンポイントでアメリカ、日本、韓国の中心部を撃破する能力を持てば、他の装備が旧式でも十分に対抗できるという発想を持っている」と話す。

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 「日米関係あってこそ、アメリカは朝鮮半島で軍事的役割を果たすことができる。弾道ミサイルで東京が火の海になることをアピールすることで、日本を消極的にさせ、アメリカが軍事行動を取れないようにしていく狙いがある。そしてワシントン、ニューヨークを狙えるところまでもっていき、朝鮮半島問題についてアメリカには中立になってもらい、最終的に"韓国は我々がいただきます"」というのが北朝鮮のグランドデザインだ。実際、それに向かって北朝鮮が着実に歩んできていることを日本人は真剣に考えるべきだ」と警鐘を鳴らした。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

AbemaPrime 米が最も嫌がる北ミサイル!?射程距離短いのになぜ脅威 | AbemaTV
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