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 ソフトバンクグループが6月9日、グーグルの親会社「アルファベット」の傘下で、最先端のロボット開発を行う企業2社を買収すると発表した。

 まるで生きているような動きをみせる4足歩行ロボット。階段やデコボコな道でも難なく進むことができる。ソフトバンクグループが買収を発表したのは、1992年創業のアメリカのロボット開発会社「ボストン・ダイナミクス」だ。米軍などと共同でロボット開発を進め、荒れ地を走る4足歩行ロボットや蹴られても踏ん張って倒れないロボットなどで知られている。

 ソフトバンク広報によると、ボストン・ダイナミクスは「4足歩行や2足歩行の技術が優れた会社」で、「雪上歩行や草むらでの歩行、障害物を乗り越えて歩く技術などをサポートしたい」と考えているという。孫正義社長は「スマートロボティクスは情報革命の次のステージの重要な推進役」としており、今後、新型ロボットの開発を加速させるとみられる。

 また、ソフトバンクはアルファベット傘下で2足歩行ロボットを開発する日本の企業「シャフト」も買収するとしている。

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 ソフトバンクは2012年にフランスのロボット開発会社「アルデバラン・ロボティクス」に出資を開始。2014年に人型ロボット「Pepper」を発表した。孫社長は2014年のPepperの発表会で、「人の感情、心ってなんだろうと今まで考えてきた。それに対する思いが、ここで花開くことになると思っている。世界初の感情をもったパーソナルロボット、それがPepperである」と語っている。

 ソフトバンクとアルファベット、両者の狙いは一体何なのだろうか。

■ジャーナリストの三上氏、今回の買収は「ソフトバンクの余裕」

 ITジャーナリストの三上洋氏は、今回の買収を「ソフトバンクの余裕」だと話す。「今、すごく儲かっていて、事業がうまくいっている。今まで苦労してきた分、おカネもいっぱい持っているし、投資先も選べる。余裕だからこそ買えた」と分析する。

 ソフトバンク広報によると、「人間に解決できない課題を、スマートロボティクスを使って解決する社の目的のために、協力関係を築くことが有益と判断した」ことが買収の背景だという。

 三上氏は、「(ボストン・ダイナミクスは)元々グーグルの親会社にいたが、正直うまくいっていなかった。それもあって、買収先がずっと探されていた。2016年にトヨタの関連会社が買うんじゃないかと観測されていたが、それをソフトバンクが頑張って買収したという感じ」と同社を巡る話を紹介。さらに、「Pepperに足が付くのかということもあるし、全く別の形で動く、本当のメカとしてロボットを開発する可能性もある」との見方を示した。

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 孫社長はロボットについて、これまで様々な思いを述べてきた。ロボット事業に参入した2014年には、「心を持ったロボットの開発を目指したい」「『感情エンジン』と『クラウドAI』が我々のロボットの特徴」「『人々の喜びを大きくし、人々の悲しみを少なくしたい』が我々の願い」と語っている。

 三上氏は、「すでにソフトバンクグループの中で、ロボット関連事業を営む会社を4社ほど持っている。Pepperを持っているソフトバンクロボティクス。ロボットのOS、基本のソフトを開発するアスラテック。そして、感情エンジンを開発する会社。そこに今回、大物2社を持ってくるので、相当力を入れている。(これらの会社で)1つのものを作るのではなく、競い合わせることを考えているのではないか」と推測する。

 ソフトバンクはどのような狙いを持って、ロボット事業に参入しているのだろうか。「家庭用ロボットを日本で作るとなると、動きが大変。車輪だけじゃ絶対ダメ。日本の家は狭くて障害物がいっぱいあるので、単純にぐるぐる動くだけじゃダメ。だから、足があります、形が変わります、ということであれば、小さな日本の家屋の中でもロボットが使える」と、家庭用ロボットでシェアを取っていく狙いもある、と三上氏は分析した。

■グーグルは動き出しも早いが、撤退も早い

 グーグルの親会社である「アルファベット」とはどのような会社なのだろうか。

 1995年、アメリカ・スタンフォード大学の寮の一室から始まったグーグルは、世界50カ国、6万人を超える従業員と数十億人ものユーザーを抱える大企業へと変貌を遂げた。しかし、大きくなり過ぎたため、小回りがきかなくなっていった。さらに、株主からはよく分からない分野への投資に無駄使いしているのでは、との声が聞かれるようになる。そこで2015年、グーグルはアルファベットという親会社を設立。自動走行車やドローンを利用した宅配を手がける会社などと同じように、グーグルは傘下企業の1つになった。アルファベットという名前には、「あらゆる会社を会社に1つに束ねた文字みたいな会社にする」という意味が込められている。

 三上氏は、アルファベット設立の狙いについて、「グーグルは圧倒的に検索と広告で稼いできた。その超デカイ会社に、まだビジネスになっていない自動運転、AI、ロボット(などの事業)を入れていくと、なぜその(広告)ビジネスの利益をそっちに持っていくのか、と(株主から)怒られてしまう。だったら大きな会社にしておいて、そこにぶら下がる形でみんな独立する感じにすればいいだろうという話」と解説する。さらに、持ち株会社の利点として「資金を機動的に動かせる」ことをあげた。

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 現在、アルファベットの傘下には、健康医療の「Verily」、自動運転の「Waymo」、ウェラブル端末開発の「X」、ベンチャー企業へ投資する「GV」、成長したベンチャー企業に投資する「CapitalG」、高速インターネット接続サービスの「Access」、高齢化対策の「Calico」、SNSと連携できる火災報知器を開発する「Nest」など、9社がある。

 三上氏によると、グーグルは動き出すのも早いが、撤退するのも早いという。2013年から2014年にロボットの会社を8社買収したが、3~4年経って2社を売却。自動運転についても、諦めるのではないかとの観測が今年初めに出た。

 一方、グーグルが力を入れているとされるAI戦略については、「起業当時からAIをやろうとしていたという説もある。人工知能をビジネスとして動かすためにはデータが必要。もちろん知能も必要だが、元となるデータがないと何もできない。それで始めたのがグーグルの検索エンジン。インターネット上の全ての情報を集めておいて、そこから勉強させれば人工知能の糧になる」と、三上氏は解説した。

■三上氏「孫社長はアメリカに視点が向いている」

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 孫社長の狙いについて、三上氏は「(ロボット事業を)軍事目的にしようとは考えていないと思うが、アメリカに視点が向いているのは確か」と分析する。トランプ大統領にも就任直後に会いに行っており、アメリカで生産し、アメリカで売れるものを作ろうとしているのではと推測する。

 さらに、ソフトバンクのロボット事業について、「(Pepperは)正直にいうと、タブレットに腕がついているようなもの。しかし、腕が高機能化し、タブレットのCPUが上がっていけば、1つのロボットがバージョンアップしていける。Googleにすぐ対抗できるかはわからないが、世界に出て行けると思う」と期待を寄せた。

 買収によってソフトバンクグループのロボット分野がどのように発展するのか、今後の展開が注目される。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

AbemaPrime 最強ロボット会社を孫社長が買収!グーグル親会社とは? | AbemaTV
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