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 龍崎翔子さん(21)は現役の東京大学生でありながら、京都と北海道でホテルを経営している。2015年に株式会社L&Gグローバルビジネスを設立し、北海道・富良野にホテルをオープン。そして、2016年には京都・九条にホテルをオープンした。大学へは週2~3で京都から通っている。

 京都にオープンしたのは「HOTEL SHE,KYOTO」。美顔器やコテを貸し出すなど、女性にもやさしい心配りがなされている。デラックスダブルの部屋の特徴はキッチンだ。龍崎さんは「せっかく京都に来て京野菜とか食べたいけど、買っても食べられないとか、ちょっとサク飲みしようみたいな時にどうしようもないみたいなことがあったりする。キッチンがあると使ってくれるお客さんは多い」と語る。

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 このホテルで大事にしているのは“生活感”だ。ロビーにはシェアキッチンが置かれ、客が自分たちで料理を作れるようになっている。パーティーもよく開催され、シェアスペースを使って客同士が交流を楽しんでいるという。この交流には、宿泊客でなくても参加できる。

 龍崎さんは「せっかく遠い国から京都に来てくれたのに、ずっと部屋にこもって過ごすのってすごいもったいないなって思って。少しでもお客さんにとっていい情報だったりとか、出会いが生まれたりしたらいいなって思ってやっている」と、その狙いを語る。

■夢のきっかけはアメリカ横断と『ズッコケ三人組』

 龍崎さんが「ホテルを経営したい」と思うきっかけになったのはアメリカ横断だ。「小学2年生くらいのときにアメリカに住んでいて、家族でアメリカを横断旅行したことがあって。毎日の楽しみが『その日どういうホテルに泊まるんだろう』というところにフォーカスされていた。でも、期待を持ってホテルに入ると、ニューヨークに行っても、テキサスに行っても、ロスに行っても日本とあまり代わり映えしない風景が続く。自分だったらもっといいホテルを作れるのになぁ、という問題意識を持ったのが原体験」と語る。

 さらに、「小5くらいのときに『ズッコケ三人組』という本を読んだ。ハワイに行くっていう回があって、ホテルを経営してる日系人のおじいちゃんが出てくる。それを見て、『あっ、これだ』『これがしたかったんだ』って。ホテル経営者という概念にはじめて触れて、ホテルを経営したかったんだ、というのが分かった。それ以降、10年くらいずっとホテル経営したいなって」と、ホテル経営に触れた経緯を話す。卒業文集にもその夢を書いていたといい、夢を実現するために経営学を学ぶことを決め、ハイエンドな人が集まる東大を選んだ。

 ホテル経営のきっかけをなかなか掴めない状態のなか、転機が訪れたのは民泊仲介サイト「Airbnb」との出会いだ。「ちょうどその頃、Airbnbが流行りだして。Airbnbで泊まりに行こうとか、シェアルームしてAirbnbしようとか。そういうノリが結構出てた時期。ゲストハウスも流行りだして、そのときに自分の中ですごい敷居が下がった。今までは“箱”をイメージしていたんだけど、“箱”じゃなくて“部屋”だなと。部屋一室あったらできるじゃんって」と、龍崎さんは動き始めた当時のことを振り返る。

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 そして、母親と一緒に富良野のペンションを購入、観光客に貸し出し、夢への一歩を19歳で踏み出した。当時のことを「お客さんを待たせてしまって怒られるとか、パートさんが集まらなくて自分でやるとか。資金がショートするんじゃないかと焦るとか、そういうのもあったけれど、自分的にはすごい楽しくできたなぁって思う」と話す。また、「事業をやるまでの生活って悪くない。新しい生活が始められて、自己実現ができてて、本当に10年間の夢だったから。本当はしんどいこととか結構色々あったと思うし、もしかしたら母はうちよりしんどかったかもしれないけど、すごい楽しかった」と、起業が苦でなかったことを語った。ちなみに、富良野のペンション購入の資金は、融資で借り入れたものだという。

■「行かないよ」と思われている土地にホテルを作る

 龍崎さんは、ホテルを経営するうえでの考えを「ホテルの出店は結構逆張り。普段見捨てられたりとか、見過ごされたりしている土地にホテルを作って。ホテルっていう箱がすごい人を動かす力を持っていて、集客力がすごいある。(人が集まれば)人が街を歩くようになる。そうすることで、その地域自体が明るくなるし、外資が入りやすくなる。『なんでそこなん』『行かないよ』みたいに思われている土地にホテルを作る。そして、そこの土地のイメージを変えるっていうのが、今やりたいミッションや軸になっている」と語る。

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 また、ホテルのプロデュースに欠かせないことは「非日常感をどうやって演出するかとリアルな箱であることをどうやって活かすか」と話す。「今までのホテルは寝られたらいいじゃんみたいな所が多かった。食事に例えると栄養素取れたらいいじゃんみたいな。そうではなくて、その土地の食材をちゃんとした加工法で楽しんで欲しいと思う」と語る。

 今後の展開について、「もうちょっとコンセプチュアルなものを作ろうと思っていて、今年の5月から北海道の層雲峡温泉という所で、新しいホテルを始めている。80歳の女将が引退されるところを引き継いだ。そこを芸大生やクリエイターとコラボして“チルな感じ”の温泉旅館を作ろうというプロジェクトをやっている」と、龍崎さんは語った。彼女がプロデュースするホテルに今後も注目だ。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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