190以上の国と地域が参加する地球温暖化対策の国際的な取り組み「パリ協定」からの離脱を表明したトランプ大統領は。自国の利益を優先し、国際的合意を反故にする一方的な宣言に世界中からブーイングが巻き起こっている。ドイツなどEU首脳は「再交渉はできない」との共同声明を発表し、トランプ大統領の要求を拒否した。
地球の平均気温は2100年に4.8度上昇すると言われており、国際社会が協力しなければ、地球規模で被害が発生するおそれがある。温室効果ガス排出国2位のアメリカが抜ければ、温暖化によって対策は大きく後退することになる。
ドイツのメルケル首相は2日、「アメリカが離脱しようと私たちの歩みは止められない」と述べた。フランスのマクロン大統領はわざわざ英語で「私たちの地球を再び偉大に」とトランプ大統領のフレーズを用いて批判。日(?)麻生財務大臣も「もともと国際連盟作ったのはどこだった?どこが入らなかった?アメリカですよ。その程度の国だと思っています」と批判した。
温室効果ガス排出国1位の中国・李克強首相も1日、「中国は大国として国際的な責任を果たす」と述べ、アメリカに代わってEUと共に温暖化対策を主導する姿勢を鮮明にしている。
トランプ大統領の姿勢に対しては、国内でも批判の声が上がっている。ABCテレビとワシントン・ポストによるアメリカ国民への世論調査では、パリ協定離脱に反対・56%、賛成28%という結果が出ている。
異論はトランプ大統領の経済政策助言メンバーからも寄せられている。ディズニーCEOのロバート・アイガー氏が「パリ協定離脱を受け、自らの信条に基づき助言機関を辞任した」とTwitterに書き込んだほか、米電気自動車大手テスラCEOのイーロン・マスク氏も「アメリカ、そして世界にとってよくない。大統領助言機関のメンバーを辞める」と厳しい姿勢だ。
トランプ外交を担うティラーソン国務長官は「我々は温室効果ガスの排出を減らす取り組みを止めるわけではない」と述べている。協定残留派は「協定に参加したまま温室効果ガス削減の目標を下げることで、各国との摩擦を避けるべき」としており、娘のイヴァンカ氏、その夫のクシュナー氏も名を連ねている。
パリ協定を遵守した場合、2025年までに270万人の職が失われると主張しているトランプ大統領。途上国の温暖化対策として約束した国連の「緑の気候基金」への拠出金停止についても言及している。
元アメリカ連邦議会補佐官(共和党担当)の中林美恵子氏は「トランプ大統領の側近であるティラーソン国務長官も脱退に反対する立場を示している。まるでトランプ大統領が、特別とんでもないことをしているように外からは見えるが、京都議定書の時もこの(パリ協定の)アグリーメントも実は構造は同じ」と述べた。違う政党の大統領になったことで、前政権が決めたことがひっくり返ったのだという。
国際弁護士の湯浅卓氏は「中国は太陽光の技術を結構持っていて、アメリカでも競争で時々中国が勝っている。太陽光ビジネスが中国でビッグビジネスになったら、それはそれでいいじゃないかというのが、極端な話、トランプの考え。『イーロン・マスクがどうなろうとオレの知ったことじゃない』というのがトランプの本音だ」と述べた。
国際的な批判が高まる中、トランプ大統領がどんな戦略を打ち出すのか注目される。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)