■「大坂容疑者を絶対奪い返したいと思っている」

 15日早朝に成立した、いわゆる"共謀罪"法案"国内最大のテロ組織"とも言われる中核派は共謀罪法案の成立をどう見ているのか。AbemaTV『みのもんたのよるバズ!』では中核派のアジト「前進社」を取材した。

 過激なデモや犯罪行為を繰り返す"国内最大のテロ組織"と位置付けられている中核派は、暴力による共産主義革命を目指し1963年に結成された。70年代に入ると内ゲバ事件やリンチ殺人で多くの犠牲者を出したほか、警察の厳しい取り締まりにより勢いを失い、現在の構成員数は約4700人と言われている。

 中核派全学連委員長の齋藤郁真氏は今回の法案成立について「やれるものならやってみろというのが、率直な感覚。共謀罪で想定されているような弾圧を僕らはずっと受け続けてきているという自覚がある」と話す。

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 さらに齋藤氏は「自衛戦争には多くの人が賛成する。自分たちが生きている空間を守るためだったら、最悪他国の人間を殺したっていいんだと。自分たちだって暴力を肯定し、それを踏み台にして生きている。これは極めて無責任な態度。僕らは社会を考えて、全ての人が一部の金持ちとその他圧倒的多数の貧乏人っていうシステムが延々と作られてしまう、そういう構造を打ち砕くための暴力を当然想定するしかない。いかなる弾圧にも屈せず戦う」と、暴力革命の継続を明言した。

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 同じく中核派の若手メンバー、洞口朋子氏は「共謀罪によってより一層、暴力革命の必要性が増したと私は思っている」と話す。「"法案成立で活動の内容は変わるのか"と聞かれるが、やっぱりそれが安倍総理の狙いだと思っているので、私たちが自粛したり、おとなしくしたりすることは絶対ない。今まで以上の戦いをやっていく」と述べた。

■平沢勝栄議員「中核派の中で何を言おうと、共謀罪が適用されるはずがない」

 「暴力革命について研究する」「包丁やガソリン、鉄パイプを購入する」「それらを買うためにカンパを募る」「街頭や大学で講義活動や勧誘を行う」「前進社で共同生活を送る」などの活動を行う中核派に対し、今回成立した"共謀罪"が適用されることはあるのだろうか。法務省の林刑事局長は4月の衆議院法法務委員会で「右翼や極左暴力集団などは共謀罪の対象か」との問いに「一概に言えない」と否定も肯定もしなかった。

 ジャーナリストの青木理氏は「60~70年代に非公然活動を行ってきた中核派の組織"革命軍"でかろうじて残っていたひとたちが、「(46年前の渋谷暴動事件で逮捕された)大坂正明容疑者と思われる人物を最後の力で匿ってきたのだろう」と話し、今後、中核派がかつてのような非合法活動をする能力はないとの見方を示す。

 その一方、「冷戦終結後、公安警察は何か仕事になるものはないかと探してきた。特定秘密保護法もその一つ。自分たちの権益を広げたいという警察官僚出身の人々が政権にかなり食い込んでいるというのも事実」と指摘。「もともと共謀罪が目指すようなことを中核派は散々やられている。むしろ彼らがやられてきたようなこと一般の人たちがされるようになるかもしれない」と懸念を示した。

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 これまで数多くの中核派メンバーの弁護をしてきた弁護士の高島章氏も青木氏に同意、法案の本当の目的について「一般市民を監視して、公安警察の権益を確保すること。中核派も対象になりますし、キノコ採りも音楽教室も対象になる。レーニンやトロツキーや本を読んで研究する。これも共謀罪だと言われかねない」とし、社会を萎縮させると警鐘を鳴らした。

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 青木氏らの懸念に、元警察官僚で自民党衆議院議員の平沢勝栄氏は「世界的な流れの中で、日本もしっかりした治安対策を取ろうということでやっているわけで、"権益"ということはない」と反論。「中核派が暴力革命をするというのは、思想なので全く自由。あくまでも具体的な犯罪、何月何日にコイツを襲ってやろうと合意して、準備行為に移った時に成立する。中核派の中で何を言おうと、現実的には共謀罪が適用されることはない」と否定した。

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■青木氏「警察権力に歯止めを」

 今後の展開について青木氏は「テロリストが携帯電話やメール、LINEで共謀するはずがない。どこかのアジトで接触するはずで、そうなれば警察は、現在認められていない盗聴をさせてくれということになる。次は通信傍受法の改正も言い出すはずだ。そういうことがどんどん進んでいく。僕らが考えたほうがいいのは、警察にそこまで権限を渡していいのかということ」と指摘する。

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 また、青木氏は警察が中核派などに対する取り締まりで、普通だったら容認できない手法も使ってきたと指摘。そうした手法が一般に広がりかねないと危機感を表明、「加計学園の問題で前川さんに"出会い系バーに行ってたね、だめだよ"と注意した杉田和博官房副長官は、もともと警察庁警備局長。つまり公安警察だった人物。警察がそれだけの情報を蓄積するのは治安対策になるかもしれないが、同時に知られたくない情報が蓄積されていく怖さもある。どっちに重きを置くか。歯止めをかけなきゃまずいよねというという議論をしなければならない」(青木氏)

 ジャーナリストの江川紹子氏も「日本は全国に防犯カメラがどのくらいあるのかさえ情報が出てこない。防犯とプライバシーと、プラスとマイナスのバランスを議論しないといけない」と訴えた。

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 平沢氏は「みんな安全を求めている。100%人権を守るということと、100%安全を守るということはある所で矛盾する」とし、「警察にとって今回の法案は使いづらい。下手なことをやれば大変な批判を浴びる。法律はおかしければ、いくらでも変えられるから、後で直せばいい」とも話していた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)

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