一人暮らしや核家族化が進むなか、あるサービスが話題になっている。

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 東京・広尾にある「株式会社こころみ」。この会社では、一人暮らしの高齢者をサポートするサービスを実施している。週2回、高齢者の方と電話で会話をして、その内容や様子をまとめて家族に伝えてくれる。

 そして、2年前から始めたサービスが、親の人生を一冊の雑誌にまとめる「親の雑誌」だ。本の題名は名前そのままで、中を見てみると、奥さんとの馴れ初めや子育て、趣味、戦争のことなど、その人の人生がトピックごとにまとめられている。

 「親の雑誌」編集長の早川次郎さんは、「申し込む方の9割以上がお子さんかお孫さん。なので、親御さんの退職の記念や米寿(88歳)、喜寿(77歳)など節目のタイミングに、プレゼントとしてお申し込みいただくような形をとっている」と話す。評判は、「『親がそんな気持ちだったとは初めて知った』といった反響を多くいただいている」と上々のようだ。2015年に作られたこのサービスは、これまで400冊以上が作られ、今でも予約待ちの方が多くいるという。

 では、どのように「親の雑誌」が作られるのか。

 今回、AbemaTVが取材したのは、富田オリエ(79)さんと孫の大貴さん。申し込みをした大貴さんは、「誕生日でお渡ししようかなと。(昔親戚が)ここのサービスを使ったので、それでうちの祖母にも作ってあげたいなと」と経緯を語る。

 取材は、対象者(両親や祖父母)とカメラマン兼ディレクター、家族への報告や取材内容をまとめる専属コミュニケーターの3人で行われる。正直に自分の気持ちを話してもらうため、家族には別室待機、または離れて聞いてもらうという。2時間ほどのインタビューの後は、表紙となる写真を撮影。その後会社へ戻り、原稿作りや写真選びなどを経て、3~4ヶ月後に客のもとへ届けられる。

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 取材を受けたオリエさんは、「いろいろと昔のことが思い出されて、まだまだきっとあると思うけど、楽しかった」と感想を語る。大貴さんも、「孫の知らないことをいろいろ知ることができたと思う。(雑誌の)出来上がりが楽しみ」と嬉しそうだ。

 さらに、雑誌が完成したばかりの家族にも話を聞いた。

 73歳の父・寺澤孝三(たかみ)さんへプレゼントするという娘の絵美さん。親の雑誌を作ろうと思ったのは、孝三さんの病気がきっかけだという。本の中には、絵美さんたちとの家族旅行の思い出や、街で奥さんに一目惚れしナンパした話などが綴られている。

 孝三さんは、「写真の配置も綺麗にやってくれたから非常によかったと思う」と雑誌を気に入ったようだ。絵美さんも、「これがあると話も膨らむし、写真もまとまってきた。今までお父さんの昔の写真をあまり見たことがなかったので、こんなに喜んでくれると思わなかった。やってよかった」と満足そうに語った。

 「親の雑誌」の値段は、フルカラー20Pで18万円。5部印刷され、1冊ごとに2500円で増刷もできるという。取材対象者が亡くなったときに、お葬式で配られることもあるそうだ。

 今まで知らなかった家族のことを知ることができる、「親の雑誌」。両親・祖父母へのプレゼントとして、試してみてはいかがだろうか。

AbemaTV/『原宿アベニュー』より)

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