主に性的少数者を表す言葉で、Lは「Lesbian(レズビアン:女性同性愛者」、Gは「Gay(ゲイ:男性同性愛者)」、Bは「Bisexual(バイセクシュアル:両性愛者)」、Tは「Transgender(トランスジェンダー:主に性別と身体の不一致など)」を表している。
LGBTに寛容な国と言われているのがタイだ。最近では、タイの性別は18種類あるということが話題になった。
18種類の性別とは一体どういうことだろうか。
男性、女性とは別に、「トム(男装をした女性で女性もしくはディーが好き)」や「ディー(男っぽい女性やトムが好きな女性)」など、自身と相手の性格・装いによって、細かく18種類に分けられている。
タイ人と日本人のハーフで、タイでYouTuberとして活動するすずきあきなさんは、「タイでは性別が本当にオープン。みんな隠さない」と話す。小学生でそういった話をする子もいるという。
街で話を聞いた「ゲイクイーン(女性的なゲイである)」の男性は、「子供の時から男の子が好きなゲイだった。あの頃はセーラームーンに憧れてオカマになった。幼稚園の頃には男の子の恋人がいた。今でもセーラー服を着てみたい思いはある」と語る。
実際、すずきさんの周りにも、「私のすごく仲良しな友達はオカマとゲイとトムがいる」という。
■様々な分野の第一線でLGBTの人々が活躍
大勢の人が訪れる若者に人気のスポット・ユニオンモールには、ボーイッシュな女の子「トム」のための店がある。胸を締め付けないよう、服のサイドやインナーで調節できる商品が置いてある。
また、「ゲイ」に人気のお店には、「マッスルスーツ」と呼ばれる、着るだけで自然にマッチョになれるインナーアイテムも置いてある。
こうした商品が溢れているのもLGBT先進国だからこそだ。
さらに、タイでは様々な分野の第一線でLGBTの人々が活躍している。
イベント会社を経営するビジネスマンであり、ファッションモデルでもあるプームワリンさんは元女性だ。「生まれた時は女性だった。でも今の僕はご覧の通りさ」と、プームワリンさんは話す。
また、タイのラジオ局のDJ.ナットさんは「ボート(女性・ゲイキング・ゲイクイーンが好きな男性)」だ。ナットさんは、「実は増えたんじゃなくて昔と変わらない。でも外部から見ると増えたと感じるかも。昔と同じ、ただオープンになっただけ」との見方を示した。
タイで大人気のロックシンガー・シャヌドムさんは「オカマ(女性になりたい男性)」だ。
シャヌドムさんは、「私は特別な性別の代表ではないけど、皆さんに伝えたいことは、人間同士尊重し合うことが大事。もし貴方に子供がいてLGBTだったら、貴方は自分の子供を軽蔑するような目で見てしまうかもしれない。でもそれは自分の子供を殺すのと同じくらい残酷なこと。特別な性別を尊重するのは、決して悪い社会を作るということではない。みんなで良い社会を作っていきましょう」と、メッセージを送った。
■手術を受ける外国人で一番多いのは日本人
また、タイでは性転換手術も有名だ。
性転換手術を行う病院としては、アジア最大級のヤンヒー総合病院。世界中から手術を希望する人たちが訪れるため、日本語、英語、フランス語、ドイツ語など10数カ国語での対応が可能になっている。
この病院での性転換手術は2種類あるという。1つは無いものを付ける(女性→男性の場合)もので、もう1つは余分なものを切る(男性→女性の場合)ものだ。
整形外科医のDr.スキットさんは、「昔はお腹の肉を使って男性器の形にしていた。今は腕の裏の肉がより成形に向いているとされる。しっかりと機能するものでなくてはいけない。男性器の使い道の1つは小便をすること。2つ目は『感じるため』に使う。性器を成形すること、機能すること、両方を順調に手術できれば完璧。今の技術ならば本物と比べると80~90%の完成度だ。しかし、男性から女性に性転換する場合は、(切り取るので)100%の完成度と言える。明かりを消したら誰にもわからない」と説明する。
ヤンヒー総合病院で17年間手術をしてきたスキットさんだが、手術を受ける外国人の中で一番多かったのが日本人だという。
また、この病院では性転換手術の前に、必ず精神科医の診断が必要となる。精神科医のDr.ウサリーさんは、「まず患者の内面が男性か女性かLGBTかを正確に判断しないといけない。問題を表面的に解決しようとしても意味がない。心の奥まで理解しないで手術しても不満な結果になることがある」と、その理由を語る。
さらに、タイがLGBTに寛容な理由についてウサリーさんは、「まず、タイの社会が柔軟性を持っているからだろう。また、人として立派であり、自分に責任をもつなら問題ないという考え方もある。そのため、患者の多くは責任感が強く、仕事上のポテンシャルも高い。ビジネスで成功する人も多くいる。自分自身や仕事に対する意識が高いので、周囲も認めてくれるのだろう」と話した。
タイがLGBT先進国である理由は、人々の意識の高さが周囲に認められているからのようだ。
(AbemaTV/『原宿アベニュー』より)