夏がやってくると、甘くてせつない恋を思い出す人もいるでしょう。海外では恋愛系リアリティー番組『"ex-エックス" オン・ザ・ビーチ ～戦慄のバカンス～』（AbemaTV／リアリティーショーチャンネルで放送中）が人気ですが、今回ご紹介するミホコ（仮名・24歳）は、年齢のわりに恋愛経験が少ないウブな女子。夏になると毎年ふと思い出す「ひと夏の恋の思い出」を教えてくれました。
合計7人の彼氏と付き合っても……
「人生で一番モテたのは中学のときかな。彼氏も3人できた。でも手もつながなかったし、休日にデートもしたことなかったな。学校が終わったら一緒にふたりで帰るくらい」
そう話すのは、これまで彼氏がいたことはあるものの、一度もキスすらしたことがないというミホコ（24歳）。黒目が大きく、童顔で可愛いおっとりした子です。高校では2人、大学に進学してからは彼氏が2人できたミホコですが、スキンシップをするなど恋愛らしいことをしたエピソードはゼロ。
いつも男から告白されてなんとなく付き合うパターンでしたが、ミホコいわく「付き合った相手が全然手を出してこなかった」そうです。傍から見ると、お嬢さま育ちのミホコは両親がとても厳格。門限があり、お酒もあまり飲まないミホコをホテルや旅行に誘うきっかけがなかったようにも見えます。加えて、多忙好きなミホコは平日も休日もバイトや習い事、友達との予定でぎっしり。デートはできても月に2～3回が限度です。
つまり、ミホコは男性と付き合ってもなかなか距離が縮まらないタイプの女性なのです。彼氏ができても、いつも2～3カ月で別れてしまっていました。そうこうするうちに、ミホコは彼氏はできても、キスすら未経験のまま、社会人になりました。
会社の上司からアプローチ！ 気づけばいつも一緒に…
大学卒業後、ミホコはCMの制作会社で働き始めました。もともとミーハーだったミホコにとって、華やかなイメージのあるこの仕事は天職。激務薄給ではありましたが、とてもやりがいを感じる仕事で、ミホコは慣れないながらも一生懸命に働いていました。終電帰りが当たり前になり、両親からの過度な心配が負担に感じたミホコは会社から4つほどの隣の駅で一人暮らしを始めます。親の目がなく、制限をされない初めての自由な生活。
ミホコは楽しくて仕方がなく、ますます仕事にのめり込んでいきました。そんなミホコを見ていたのが、16歳年上の上司のケンジです。ケンジもミホコと同じように、仕事大好き人間。恋愛をする暇もなかったのか、40歳にして独身でした。ミホコは、仕事を教えてくれ、時には厳しく、そして時には評価してくれるケンジをお父さんのような存在として慕っていました。
「ミホコちゃん、この後空いてる？ ご飯でも行かない？」
仕事終わりのこんな誘いも日常茶飯事。気づけばミホコは週に2～3度ケンジと夕食を一緒に食べるようになり、もっとも一緒に時間を共有する仲になっていました。しかし、ケンジはミホコより16歳年上。ミホコにとってケンジは尊敬できる上司で「当時はケンジのことを恋愛対象として見たことはなかった」と言います。
奥手なミホコ、人生で初めて男性と“手つなぎ”
恋愛に対して少々鈍感なところがあるミホコでしたが、ある出来事をきっかけにミホコはケンジからの好意に気がつきます。それは、夏に職場の人たちと海に行ったときのこと。
参加した職場の人たちはすさまじいスピードでお酒を飲んだため、事前に用意してあったお酒や食べ物がなくなってしまいました。普段なら20代の社員が上司からお金をもらって買ってくるのですが、この日はケンジがミホコを「コンビニまで一緒に買い出しに付き合え」と指名。浜辺から離れてコンビニへ向かいました。会社の人たちと離れ、海岸線を歩き始めた頃、ふとケンジがミホコの手をとり、歌い出しました。
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ケンジが歌っていた曲は、ケツメイシの『夏の思い出』。突然手を握って歩かれたことにミホコは呆然。されるがままに手をつながれていました。手のつなぎ方は、指と指をからめる恋人つなぎ。なんと、ミホコはこのとき、人生で初めて男性と手をつないだのです。
「えっ、ちょっと……！」
困惑するミホコをケンジはスルー。そればかりか、さらに強くミホコの手を握り、上機嫌に歌いながら歩きます。あまりにも当たり前に手を握られるので、ミホコは「やめてください」とも「どういうつもりですか？」とも聞けませんでした。コンビニに到着し、手を離されたタイミングでケンジはミホコにこう言いました。
「俺ミホコちゃんのこと好きなんだけどさ、ミホコちゃん、俺のこと好きじゃないよね～。おじさんとか嫌だよね。ごめんね」
ミホコが何も言えずに黙っていると、ケンジは何もなかったような顔でお酒やおつまみを購入し、みんなのもとへと戻っていきました。
ケンジが急逝、衝撃の展開に……！
父親同然の存在だったケンジにいきなり手をつながれ、告白されたミホコ。それ以来、ケンジのことが気持ち悪く見えてしまったと言います。
「これってセクハラかもしれない……」
「なんであのときやめてくださいって言わなかったんだろう」
もともと生真面目なミホコ。少女マンガのような恋愛物語を夢見ていただけあり、ケンジに手をつながれただけで動揺してしまったそうです。その後、会社でケンジにあっても挨拶しかせず、食事に誘われても断ってしまったと言います。
しかし、夏が終わり、秋も終わり、そろそろ冬がくるという頃。なんとケンジが急逝してしまったのです。原因は、心筋梗塞。無断で会社を休んだケンジを心配し、同僚が家を訪ねると、ケンジはすでに亡くなっていたそうです。
「おとといまで元気だったのに……」
社員たちはみんなケンジの突然の死に驚き、悲しみました。当然、ミホコも驚きました。そして、あの夏以来ケンジのことを避け、口をきいていなかったことを後悔しました。今でも海岸線を歩くと、生まれて初めて異性として自分の手を握ってきたケンジのことを思い出すそうです。「なんかこう、せつない気持ちになるんだよね……」そう言って笑うミホコは今でも未経験なのでした。
（ライター/小林リズム）
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“ex”とは「以前の恋人、元夫、元妻」という意味。『“ex-エックス” オン・ザ・ビーチ ～戦慄のバカンス～』はビーチも近いプール付きのシェアハウスが番組の舞台。ゴージャスなシェアハウスに暮らすキャストたち。キャストらはとにかく美男美女で個性派揃い。番組では癖のある新メンバー“ex”（誰かの元恋人）が何度も追加され、キャストらは“ex”達にかき乱される。
台本は一切なしで、専用タブレットに届く番組サイドのメール指示は絶対。他にいい感じの相手がいようが、関係なく元恋人とデートさせられることも。どんなに気まずくともキャストらは番組サイドの指示に従うしかない。やがて大きな修羅場へと発展し……？！
【放送情報】
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