
2004年から週刊少年ジャンプで連載され、今も老若男女に愛され続けている空知英秋原作の人気漫画を、福田雄一監督(『勇者ヨシヒコ』シリーズ等)が超豪華キャストで実写化した映画『銀魂』。
本作で小栗旬演じる銀時が営む万屋で働くヒロインの神楽を演じたのが女優の橋本環奈。「1000年に1人の美少女」として知られる橋本が、体を張ったアクションシーン、全力で挑んだ"鼻ホジ"を含む顔芸シーン、そして共演者とのエピソードについて語ってくれた。
神楽役と聞いて、耳を疑った

ーー神楽を演じることが決まったときの心境を教えてください。
橋本:移動中に車の中でサラッと教えていただいたんですけど、耳を疑うってこういうことを言うんだなと思いました。「本当に神楽役って言った!?」って(笑)。そのあと、福田監督とプロデューサーさんにお会いしてお話を聞いたら、さらに撮影が楽しみになりました。
ーーもともと原作はご存知だったのですか?
橋本:原作漫画は読んでいましたし、アニメも時々。学校の友達もみんな知っている作品だったので、発表されたときは周りの方々も喜んでくれました。特に、私の兄はジャンプ作品が大好きなので「絶対観にいく!」と今も楽しみにしてくれています。
ーー実際に撮影に参加してみて、いかがでしたか?
橋本:本当に心の底から楽しんで撮影していました。今回、福田組には初めて参加させていただいたんですけど、こんなにみんながワイワイ楽しく撮影できるのかと。監督は私がどうやればいいかなと悩む前に、「ここはどうしよっか?」「こういう顔する~?」といたずらをするように提案してくれる。顔芸で魅せるシーンでは、監督が顎を出したら、私も真似して顎を出してみて…というやりとりを繰り返してベストの顔を探していったんです。
ーーコメディ作品ということで、橋本さん自身も楽しみながら撮影できたんですね。
橋本:はい。でも、「ギャグパートでこれだけふざけられるのは、シリアスなシーンでしっかりとかっこいいアクションを見せているから」ということも監督に言われました。かっこいいところをみせているからこそ、振り幅が広くなるというか。走り方1つでも、ギャグパートとアクションパートでは全然違う。私もワイヤーアクションやらせていただいたんですけど、そこではアクションの難しさも痛感しましたね。
ーー具体的にどんなところが難しかったですか?
橋本:走ってきて、くるっと一回転してまた走り出すという動作が実はとっても難しいんです。ワイヤーで吊るされて上にいるときは絶対に怪我はしないんですけど、昇り始めと着地が怪我をしやすいと言われていたので神経をつかいながらやりました。
ーーそのために鍛えたりも?
橋本:撮影前にワイヤーアクションの練習をしたり、そこで教えてもらったインナーマッスルを鍛えるトレーニングを家でもやりました。菜々緒さんの周りをくるくる回るシーンは、最初は半回転も出来なかったので、家のベットの上でころころ回って練習したりも。
ーーすごく身軽だったのは、橋本さんの特訓の成果だったんですね。
橋本:でも、それだけ時間をかけてアクションシーンを撮ったのに、本編では菅田さん(菅田将暉)と二朗さん(佐藤二朗)のゆる~いやりとりのほうが長く使われていて。ほかの皆さんも何日間もかけてアクションシーンを撮影していたから、あのシーンには結構クレームがきていました(笑)。
ーー福田組らしいですね(笑)。神楽は独特のイントネーションが印象的ですが、そこも難しかったのでは?
橋本:イントネーションはアニメの神楽を見て覚えました。ただ、映画で入ってきたセリフ、例えば「ハゲおやじ、ラーメン3杯!」というセリフは普通に言うのか、「ハゲおやじぃ↗︎」と「じ」を上げるのかなど、何パターンか撮ってみて神楽らしいものを研究しましたね。
神楽を演じて「変な快感が生まれてきた(笑)」

ーー実際に完成した作品を観て、いかがでしたか?
橋本:定春はCGだったので、乗っていることに感動しました。あんなにフサフサしているんだなぁって。あとは自分、結構やっちゃってるなと(笑)。
ーー(笑)。衝撃的な顔芸をたくさん披露されていますが、顔芸をやることに抵抗は?
橋本:ないですね(笑)。やっているうちに監督やスタッフさんが笑いを堪えているのを見て気持ち良いというか、変な快感が生まれてきて。笑ってもらえるって幸せなことだし、芸人さんはこういう気持ちなのかなって思いました。
ーー吐くシーンなんかはどのようなことを考えながら?
橋本:監督からマーライオンをイメージしてという指示があったので、マーライオンのように。「パー」というより「ダパー」と言うとよりマーライオンにみえるらしく、最大限に口を開けて「ダパー!!」と言っていました(笑)。
ーーなるほど(笑)。今回、ここまで体を張ったことで、女優さんとしてまた一歩成長したのではないでしょうか?
橋本:そうですね。自分の中の新しい一面を見つけていくような感覚でした。ちょうどいいさじ加減で、ということは一切なくてラーメンを食べるときも、鼻をほじるときも、吐くときもすべて全力で振り切って。
ーー神楽の振り切り具合は、本当に素晴らしかったです。
橋本:原作の神楽はすごい可愛いけど、鼻もほじるし、ゲロも吐くし結構やばい。でも、それをやらなかったら神楽じゃないと思うんです。「銀魂」を好きという気持ちがあるからこそ、ただの可愛いだけの神楽で終わらせたくなかった。神楽を演じたことで、自分自身も成長できたし、より神楽というキャラクターが好きになりましたね。
小栗旬からの無茶振りも「1000年に1人」を武器に

ーー撮影現場で印象に残っているシーンを教えてください。
橋本:小栗さん、菅田さんと3人の万屋のシーンで、エリザベスが涙を流すところ。エリザベスの目の圧がすごくて、緊張してセリフも噛んじゃいました(笑)。あとは、やっぱり勘九郎さん(中村勘九郎)の蜂蜜姿です。
ーーあれには衝撃を受けました(笑)。
橋本:初日から勘九郎さんが全身に蜂蜜を塗って立ってるんですよ?初日にあれを出されちゃうと、ハードルが上がっちゃって(笑)。勝てるものはないなってみんなで言っていました。
ーー他にも笑いどころが満載でしたが、撮影中に笑ってしまうことはありませんでしたか?
橋本:もちろん常に笑いをこらえるのが大変でした。菅田さんと二朗さんの絡みも面白すぎて、私は引きのカットだったので遠くで笑ってます(笑)。
ーーSNSでも、監督がユニークな投稿をされていたりしましたね。橋本さんの寝顔なんかも…。
橋本:寝顔を公開するなんてひどいですよね~。あの時は寝落ちしていて、カシャっていうカメラの音で目をあけたら、監督がめっちゃ笑っていたんです。でも多分、小栗さんも菅田さんも私も、監督の寝顔の写真が一番多い。監督の寝顔が面白いので、グループLINEに送り合ったりしていました。
ーー本当に仲が良い現場ですね。この間も「1000年に1人」のポーズをみんなでされていたり。
橋本:現場でもやっていました(笑)。怖いのが、それで無茶振りをされるんです。打ち上げのときにも、小栗さんが私を締めの挨拶に指名してくるんですよ。だから「1000年に1人の~…」と自分でネタにして挨拶することになったり。『銀魂』の現場で散々無茶振りをされたので、コメディ力を鍛えられたんじゃないかな(笑)。

映画『銀魂』は7月14日(金)より全国ロードショー。
この記事の画像一覧