木村”フィリップ”ミノルは、1993年9月9日生まれの23歳。10歳より格闘家としてのキャリアをスタート。若干17歳でデビューを飾って以来、ケタ外れの乱打戦とリング内外でのラフな発言でファンのハートを掴んできた生粋のラフネック・ウォーリアーだ。K-1やKrush、さらには総合格闘技にも挑戦するなど、様々なリングで戦う彼の勇姿を目にしたことがあるという読者も多いのではないだろうか。

だが、彼が格闘家きってのHIPHOPフリークであることを知る人は、それほど多くないだろう。「ファン」ではない、「フリーク」だ。今回インタビューで確信したが、実は格闘家であると同時に、1人のヘッズでもある。この連載では、格闘技と並んで木村”フィリップ”ミノルを構成するバックボーンとなっている「HIPHOP」を切り口に、その新たな魅力に迫っていきたい。

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■BAD HOPとの交友「サイファーが始まったんです。僕のことをラップしてくれた!」

T-Pablowさんとはどの辺で遊ぶんですか?

T-Pablow - Only One [Official Music Video]

ミノル:僕が川崎に行ってクラブ近辺で遊んで。最初の出会いもそんな感じでしたね。ZeebraさんやUZIさんたちのホームパーティーで飲んでたら、T-Pablowくんたちがパーティーをやってるって話になって。で、UZIさんとタクシーで川崎まで行ったんすよ。

ライブは終わってたんですけど、Bad Hopの人たちが会場の外にたむろしてて。「おお!Bad Hopだ!」なんて思って、遠巻きから見てたんですよ。そしたらYZERRくんがコッチに気づいて「あ!木村ミノルだ!」って(笑)。

知っててくれたみたいで。で、まだ会場内にいたT-Pablowくんを呼びに行って、サイファーが始まったんです。僕のことをラップしてくれたりして。

ーそれはアガりますね!以来仲良くなった感じですか?

ミノル:そうですね。『ギャングキング』という作品を描いている柳内大樹(やなうち だいじゅ)さんという漫画家の方がいらっしゃいまして。この方は僕にとって東京のお父さんみたいな存在で、昔から良くしてもらっているんです。で、YZERRくんと原宿の<NUBIAN>って洋服屋さんに行った時に「柳内さんと会うんだ」みたいな話をしたんですよ。そしたらYZERRくんは、柳内さんのファンだったらしくて。で、結局2WINSの2人と一緒に会いに行きました。あと最近で言うと、Pablowくんと2人で焼肉食べに行きましたね。

ーとんでもない豪華コンビですね(笑)。周りのお客さんから注目を集めそうですが。

ミノル:Pablowくんは見た目もいつもの感じで。しかも個室じゃなく普通の席で食ってたから、結構見られましたね(笑)。

ーいつもどんなことを話してるんですか?

ミノル:お互いに自分がやってることを話してますね。Pablowくんならラップの話。お互い弱みも見せるけど、どっちかというと「こうしていきたい!」みたいな話が多いかも。

■ファッションはカッチリした面とラフな面を持ち合わせたい

ーところでYZERRさんと洋服を買いに行ったりしてるんですね。

ミノル:<NUBIAN>は、YZERRくんに連れて行ってもらいました。でも、その時くらいかなあ。

ー木村さん、すごくオシャレですよね。ファッション方面でもラッパーのスタイルが好きだったりするのでしょうか?

ミノル:めっちゃ好きです!着てて落ち着くっすね。ジーンズなんかはスキニーなものが多いんですけど、上はゆったりしたものが多い感じです。で、キャップ被って。まあ適当な感じすけどね。

ー「シンプルなスタイルが好きだ」と仰ってましたね。好きなブランドなんかはあるのでしょうか?

ミノル:<NUBIAN>で取り扱ってるものの中で言えば、マルセロ・ブロンなんかは好きっすね。あと今着てるこれも気に入ってます。ちょっと高かったすけど(笑)。ちなみにPablowくんも着てましたよ。

ーファイトマネーは服に消えていく?

ミノル:スイッチが入ったら危ないですね(笑)

ーこの前、Gucciで超ラグジュアリーなスーツを仕立ててましたね。体格の良さもあって、モデルばりに似合っていました。

ミノル:元々HIPHOP系のストリートファッションが好きだったので、ハイブランドにはそれほど興味がなかったんです。

でも、まあHIPHOPの人もハイブランドの洋服を着たりするじゃないですか?超ラフに着崩したりもするけど、場所によってはカッチリ決める。

そういう姿を見て、ハイブランドにも興味が湧いてきたんです。僕も表に出る仕事をしているわけなので、カッチリした面とラフな面を持ち合わせたいなって思っているんですよ。

ー海外のラッパーにも、そういうタイプの方が多いですよね。

ミノル:その場所に合わせて。普段はカジュアルなスタイルでカッコよく見せる一方で、お上品な場所でも…。

ーなるほど。ある程度TPOをわきまえつつ…

ミノル:でも勝つっていう。

■「気になる」とか「かっこいい」と思ったものを自分で調べていく

音楽に話を戻します。HIPHOPでは、どんな時代、どんな地域が好みですか?例えば90年代のニューヨークが好きとか。

ミノル:古いやつも聴きますよ。NWAとかは、すごく好きになりましたね。もちろん『ストレイト・アウタ・コンプトン』も観ました。と、言っても全然詳しいわけではなくて、こだわりなく色々聴く感じですね。

ー情報収集はどうやってるんですか?

ミノル:もちろん自分で調べたりもするんですが、好きな日本人のラッパーの方々がオススメしている曲を探したりすることが多いですね。やっぱり知らない曲が多いので。AbemaTVのヒップホップチャンネルでもアーティストの方が選曲していたりするじゃないですか?あれもチェックしてますよ。

ーおお!ありがとうございます。光栄です!

ミノル:そういう普通のレコメンドだけじゃなくて、フリースタイルバトルの中で誰かがポロッと名前を出したアーティストとか、使われてたトラックを探して行くことも多いですね。割と「気になる」とか「かっこいい」と思ったものを、自分で調べていく方だと思います。

ーそうするとiPhoneとかiPodに入れている曲って、ガンガン変えてく感じなんでしょうか?

ミノル:そうは言っても、ハマったら同じヤツをずっと聴いていたりもしますね。

ー最近のハマリものは?

ミノル:完全にPost Maloneですね。

ー普段は楽曲単位で聴いてる感じですか?それともアルバムとかミックステープが多いですか?

ミノル:楽曲単位です。Post Maloneは大ヒットした「Congratulations」も本当によく聴いてますね。

Post Malone - Congratulations ft. Quavo

あとはFetty Wapの「My Way」。

Fetty Wap "My Way" feat. Monty [Official Video]

Fetty Wapといえば「Trap Queen」ですが、この曲はKOHHの「周り全部がいい」をきっかけに知りました。同じトラックを使ってますよね。「あ!聴いたことある!」って(笑)

Fetty Wap - Trap Queen (Official Video) Prod. By Tony Fadd

ーあ、Post Maloneって言えば、マリアッチのバンドと野外で共演してる動画ご覧になりましたか?Rich Chiggaと一緒にいる・・・。ちょっと見てください!

How I surprised Post Malone with a mariachi band

ミノル:(ディスプレイを観ながら)これは良いですねえ。それにしてもPost Malone。普通に見たら、このファッションとか髪型とか、超ダサくないすか(笑)。なんで前髪揃えるんだよって(笑)。短パンの丈もキテますよね。刺青も好きなものを好きな所に入れてる感じで。でも、それが良いんですよね。かっこいいと思う。

ー最後に超しょうもない質問をしたいんですが、格闘技のプロから見て、「コイツ、リングに立っても中々やるんじゃねえの?」と感じるラッパーはいますか?

ミノル:50centです(即答)。あとLil Wayneも恐れ知らずっぽいですね。この2人はファイトの方もいけると思う。50centに至っては、格闘家の中でも強い部類だと思います(笑)。

ー銃で蜂の巣にされても生きてますもんね(笑)。生命力がハンパない。

ミノル:あと日本だと、山崎秀晃選手(K-1)、井岡一翔選手(ボクシング)の入場曲をやってるAK-69さん!

この間、格闘技の番組で一緒になったんですが、僕のことも知ってくださっていて。AKさんは、格闘技についてメチャメチャ詳しいんですよね。その番組では、総合(格闘技)の話が多かったんですが、韓国の超マイナーな選手のことまで知ってるんですよ。僕からしても「誰ですか?」って感じの(笑)。それだけ好きで、メチャメチャ体を鍛えてるので、きっと強いんじゃないかなあって思います。

ーAKさんは体格が良いですよね。

ミノル:あと、やっぱり般若さん(笑)。AKさんと般若さんのタッグ戦は見てみたい(笑)。フリースタイルダンジョンで戦うときの般若さんが好きなんですよ。上半身裸で短パン姿の。で、ずっとフット(ワーク)踏んでるじゃないですか。

ーチャレンジャーも怖いと思いますよ(笑)。

■Pablow君はかっこいいすよ。あのノリは一生持ってて欲しい

ーところで<フリースタイルダンジョン>とかにも毎回いらしてますよね。お見かけしたことがあります。いつ頃からいらっしゃってるんですか?

ミノル:新木場の会場に移る前からです。最近の収録は、ほぼ行ってますね。この間の収録の時は、ずっとD.Oさんと一緒にいました。D.Oさんは、会場で何度か話しかけたら顔を覚えてくれて。だから「格闘家の木村ミノル」ではなくて「何度か話したヤツ」みたいな印象だと思います。

SALU / LIFE STYLE feat. 漢 a.k.a. GAMI, D.O (Prod. by Chaki Zulu)【Official Music Video】

ーD. Oさんは格闘技全般が好きなので、もしかすると木村さんのことを知ってるのかも。

ミノル:格闘技、お好きらしいですね。数えるくらいしかお会いしたことないんですけど、めっちゃ良い方で。

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ーいつも会場ではどんな感じで楽しんでいるのでしょう?最近印象に残ったことなどは?

ミノル:ダンジョンの収録に行った時は、出演者の方に挨拶するんです。お土産的な感じでポップコーン渡したり。ちょっと前にNAIKA MCさんが般若さんと戦ったじゃないですか?あの試合スゴかったすよね。

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で、試合が終わって「落ち着いたかな」と思ったタイミングで、差し入れ持って般若さんのところに挨拶に行ったんです。

そしたら一緒に写真撮ってくれて「ありがとう!でもこの後もう1人ぶっ殺してくるから!その後また話そうな!」って。と、その後に当たるかもしれない呂布カルマさんとの対戦に備えてたんですよ。あの方はマジですね・・・。

ー晋平太戦はご覧になりました?

ミノル:収録がある時は、いつもUZIさんからお誘いのLINEをいただくんですが、その時はたまたま行けなかったんです。Zeebraさんも「今日はやばいことになりそう」って仰ってた。で、後でPablowくんに話を聞いたら、やっぱり凄いことになってたみたいですね。

ーT-Pablowさんが一番ヤバかったですね・・・。

Pablowくん「ボディタッチが嫌い」って言ってましたね。でもまあ、かっこいいですよ。あのノリは一生持ってて欲しいですね。丸くならずに。ああいうところがホント好きなんですよ。いくら売れても変えないじゃないですか?

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ーYZERRさんもガチな方と聞いています。

ミノル:もちろんそうなんですが、ストイックなPablowくんに対して、YZERRくんってユーモアも持ってる人で。いい意味で本当にラフな感じというか。そう言えば、YZERRくんは初めて会った時に、僕のことをラップしてくれたんですよ。動画も撮らせてもらって。(嬉しそうに動画を見せてくれる)

■UZIさん大好きです。ウェイヨー!

ー仲が良いといえば、UZIさんともよく会ってらっしゃるみたいですね。

ミノル:HIPHOP界の方とお付き合いするようになったキッカケってUZIさんなんです。

UZI:フジヤマ pro.LIL' OGI【MASTER OG】

ミノル:一緒にご飯を食べた時にUZIさんが僕のHIPHOP愛を受け取ってくれて、「分かった!俺ができることは何でもするし、お前が好きなラッパー全員に会わせてやる!」って。僕からしたらUZIさんに会えたことがビックリなのに(笑)。

ーUZIさんは本当に良い方ですよね。我々裏方にもいつも変わらない態度で接してくださいます。場の空気を和やかにしてくださったり、気遣いがすごくて・・・

ミノル:本当にハッピーなマインドを持った方ですよね。よくご飯に連れて行って下さるんですが、それだけじゃなくて、街でも異常に会うんですよ!

UZIさんって、いつも紙袋にプロテインを入れて持ち歩いてるんです。普通の人は、サプリはピルケースに入れるし、プロテインもシェイカーという容器に入れて持ち歩くんですが、UZIさんは全部ボトル単位(笑)。

ーえ!何でですか?

ミノル:出先で会った人に配ったりしてるらしいんです。で、僕と食事してる時も「良いプロテイン見つけたんだよ~。飲んでみろよ!」って、スプーンですくって差し出してくるんです(笑)。ご飯の最中ですよ?UZIさん、いつも半袖短パン姿で、プロテインが入ってるボトルを入れた紙袋と、あとなぜか絶対に週刊少年ジャンプを持ってるんですよ。

僕が言うのもなんですけど、少年のような方ですね。全く格好をつけない。それがまたカッコ良いんですよ。UZIさん大好きです。ウェイヨー。

ー9月には試合を控えていますが、親交のあるUZIさんや2WIN、格闘ファンのラッパーさんに入場曲を依頼したりしないんですか?

ミノル:いいですね!まずは、しっかりチャンピオンになって、仲良くしてくださっている皆さんと一緒に入場したいですね!

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