沖縄のラッパーRITTOと、福岡を拠点とするOlive Oilがジョイント・アルバム『アブサン 2014~2017』を完成させた。過去にも共作がある2人のアルバムは、タイトルとは裏腹に、5年越しで完成に至ったものだという。幾多の再会と乾杯を繰り返してきた飲み友2人の気ままな関係と、アルバムへの姿勢は地続き。粘っこいフロウが独特な光を放つRITTOのラップと、ポリリズム的な様々な鳴りさえも端正にまとめあげるOlive Oilのトラックさばきが互いに引き立つ。東京滞在を終え、羽田から飛び立つ直前の彼らに話を聞いた。 

【RITTO x Olive Oilインタビュー】『イメージが湧いてくるんですよね、Oliveさんのビートは。だからサラサラとすぐ書ける』(前編)
【RITTO x Olive Oilインタビュー】『イメージが湧いてくるんですよね、Oliveさんのビートは。だからサラサラとすぐ書ける』(前編)
沖縄のラッパーRITTOと、福岡を拠点とするOlive Oilがジョイント・アルバム『アブサン 2014~2017』を完成させた。過去にも共作がある2人のアルバムは、タイトルとは裏腹に、5年越しで完成
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――RITTOさんは一曲の中で一つのことを歌ってるっていうよりも、思いつくままいろんなことを歌ってるようにも見えるんですけど。 

RITTO:そこは最近結構言われるんですけど、自分でも全然わからないんすよね。 

Olive Oil:なんか食ってんじゃないの(笑)? 

――はは。トラックはもちろん、酒飲んだりいろんな刺激が書かせるっていうか。 

RITTO:ばーって書いて、それをモノにするまでは「あれ、俺こんなこと書いてるけど」って思う時あるんすけど、それが全然すんなり入ってくるし、こだわってこうしてああしてって時間もかけたくないんすよ。 

――それは瞬発力で曲を書くっていうことですか? 

RITTO:思い詰める時もあるっすけど、瞬間的にばばってやる方がいい。あとは、自分なりのうまい声の出し方で方言出したり、読み方変えたり、自分のリズムで言葉を作るのが楽しくて、最近は。そういう手法を覚えて、ラップも楽器的になれば面白いなあと思ってますね。 

――逆に、Oliveさんはどういう意識でトラックの制作に向かってますか? 

Olive Oil:こういう曲作ろうかなって思って作ったとしてもそうならないんすよね、俺は楽器弾けるわけでもないし。サンプリングなんて運だし、結局聴いた曲がむっちゃいいサンプリングであれば、雨だろうと晴れだろうと関係ねえ曲になっちゃう。だから毎日運がいいなみたいな奇跡が起きるって感じだから。 

――ということは、Oliveさんのトラックメイクは常にサンプリングありきなんですね。 

Olive Oil:もう完全にサンプリングありきっすよね。最近ではもうちょいでしゃべる人がいなくなっちゃう世界の希少言語を調べて、「あなたの好きなものは何ですか?」「音楽です」っていうような会話とかをサンプリングするためにYoutubeを使ったりするんですけど。 

――へえ、そうなんですか。それは何かきっかけがあったんですか? 

Olive Oil:しゃべりながらコッコッコッって音させるじゃないですか、鳥みたいな。これはいいなと思って。それ入れたところでたぶんみんな何言ってるかわかんねえけど、まあいっかなと思って(笑)。聞かれたら答えようと思うんすけど。 

――はは。それも、音として面白いものを探すってところではつながってますよね。 

Olive Oil:確かに。音探しっすね。 

――Oliveさんのトラックってポリリズム的な、いくつものリズムが共存するような作りものも多いじゃないですか。 

Olive Oil:クセですね、それを入れちゃうっていうのは。それを出せるラッパーの人とじゃないとたぶん仕事できないっすね。「ちょっと邪魔だから削ってくれ」とか言われたらもうふざけんなってなるから(笑)。 

――あと、今回のアルバムでは展開のあるトラックが随所で聴けますね。中でも「LIKE THIS」は後半のカオスな展開がラップとともに強烈なんですが。 

Olive Oil:展開があったらホントは歌いづらいかもしんないすけど、逆に彼らはそれを利用してくれるんで、何も気にしてないっていうか、その部分がどういう感じで演出されるのかが逆に楽しみで。たぶん100曲ぐらいはデモ送ってる中からチョイスしてるんで、リッさんが複雑なのをやりたいって思ったらそういう複雑なトラックを選んでるし、ストレートなリリックを書きたいって思ったらたぶんストレートなビートを選んでるっていう認識ですね。 

――これまでもラッパーとの共作が多いですけど、それぞれのラッパーで作り分けみたいなことはあるんですか? これは誰用のトラックとか。 

Olive Oil:いや、ほとんどなくて。結局リッさんもKOJOEもMILES(WORD)も5lackも、K-BOMBさんも、FREEZも音楽的な会話とかあんまないっすけど、かなりの飲み友なんすよね。だから……。 

RITTO:その流れで曲作ってっていう。自然体な。 

――そうしたラッパーの中でも、RITTOさんとはアルバムにまで至る道のりが一番長かったことになりますね。 

Olive Oil:付き合いも実際古いっすもんね、他のみんなと比べても。 

RITTO:そん中でKOJOE紹介したりMILES紹介したり。だからみんな喜んで共有してるし、2人のアルバムに参加したりっていう流れになってるんで。 

――まさに飲み友つながりっていう。 

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RITTO:出会ってから今までよく一緒にいるし、プライベートでもお酒飲んだりしてるけど、一緒のアルバムは今回初めてになるんで新鮮というか、すごい大事に思ってる。 

Olive Oil:急ぐわけでもなく、締切があるわけでもなく、結果出来ちゃったもんなんで。ずっとオンだったとは思うんすよね、この何年間も。 

RITTO:そこで音楽以外のことも共有しあって、そういった面が強いというか、逆に。 

Olive Oil:だから苦労といえば、膨大な量の曲の中から最終的に選抜することぐらいだったっすね。 

RITTO:プラス、「そろそろまとめますか」って言った時にOliveさんからビート届いて、「あ、これも入れたい」っていうのも繰り返しながら整理するの大変で。 

――そろそろ時間になっちゃったんですけど、さらに言っておきたいことはありますか? 

RITTO:CD出すの2年ぶりなんでその楽しみもあるし、ライヴはよくやってるんですけど、これ含めてライヴをがっちりやっていきたいなっていう。 

Olive Oil:お願いしますよって感じっす(笑)。あとはヤビク(屋比久??)かなあ。 

――?? それはなんのことですか? 

Olive Oil:沖縄のPV男優ですね。 

RITTO:僕の映像によく出てるんすけど彼にも注目して欲しいなって(笑)。 

――ああ、はい(笑)。

TEXT:ICHINOKI HIROYUKI

PHOTO:HIROKI OBARA 

RITTO×OLIVEOIL「PADTHAI」アブサン2014~2017 

RITTO×OLIVEOIL「GO OKINAWA」 

RITTO×OLIVEOIL「国際チャンプルー」 

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RITTO x Olive Oil - アブサン 2014/2017 (SABANI RECORDS/発売中) 

【TRACK LIST】 

 1. GO OKINAWA 

 2. LIKE THIS 

 3. FUSHIGISUGI 

 4. 南波 

 5. G0DSTR 

 6. PIZZA OKIMOCHI DOZO 

 7. NANI YATTENDA RAW... 

 8. NOISE 

 9. ZENJA TUNE 

 10. SOULノ唄 

 11. KUSENI 

 12. SHI-JAH part.2 

 13. PADTHAI 

 14. 8183 

 15. 国際チャンプルー  

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