AbemaTV(アベマTV)では、次世代の才能を発掘することを目的として「NEXT CREATOR'S COMPETITION」を開催。2017年7月27日(木)~9月15日(金)の期間中、「シナリオライター賞」としてオリジナルドラマの脚本を募集している。
募集テーマは「10代~20代の若い女性を熱狂させる恋愛ドラマ」。受賞作品はAbemaTVのオリジナルドラマとして2018年中の放送を予定してるほか、賞金として大賞には500万円、優秀賞には100万円が贈られる。なお、応募条件は「プロの脚本家を目指す者」とし、1次審査応募にあたっては、作品企画書・作品情報とあらすじ、A4用紙でのプロット10枚のみで応募可能だ。
なぜ、AbemaTVはこのタイミングでドラマ制作に参入するのか。社長の藤田晋氏に話を聞いてきた。
オリジナルドラマが「AbemaTVのブランドを押し上げる」
ーーこの半年間で『亀田興毅に勝ったら1000万円』や『藤井聡太四段 炎の七番勝負』などのヒット作を生んできたAbemaTVですが、ここにきてなぜドラマに力を入れようと考えたのですか?
藤田:元々キラーコンテンツが必要だと感じていて、テレビでいうキラーコンテンツは「ドラマ」か「スポーツ」だと思っていました。もしくは大きな報道が出た際の「ニュース」。既に人気のあるスポーツの放映権はすごく高いので、そういうものではなくてドラマで当てたら大きい。
それがそんなに簡単なものではないとは分かっています。毎クール、テレビ局がたくさんのドラマを作っていても、ヒットするものは限られた一部のみ。とは言っても、Netflixの成功要因の一つだと私が考えるのは『ハウス・オブ・カード 野望の階段』。「ドラマ」という分野にどこかで参入しようと思っていました。最初からあてずっぽうにやるのは危険だと思っていたので、体制が整ったところで参入しようと決めていました。
ーードラマも制作費がかかるイメージがあるのですが、放映権を買うよりもメリットがあると?
藤田:放映権を買うと、結局既存のコンテンツになってしまうので、AbemaTVの独占的なコンテンツではないですよね。AbemaTVでしか見れないものを提供していくことがAbemaTVのブランドを押し上げると考えています。
今年の年末から来年にかけて、本格的にドラマに参入します。ドラマを見慣れている視聴習慣に合わせるべく、毎クール週1で放送します。
ーー放送時間は決めていますか?
藤田:まだ決めていません。ただ、視聴者がすでに習慣づいている“普通にドラマを見ている時間”に放送しようと思います。
ーーすでに何本か放送予定の作品が決まっていると伺ったのですが、どのように決めていったのでしょうか?
藤田:まずは脚本家や監督で素晴らしいと思った方に声をかけました。
『亀田興毅に勝ったら1000万円』以降は「コンテンツが尖っていっている」というお言葉を多方面からいただいて、ドラマもその期待を裏切らないようにしたいと思います。
今、AbemaTVの全チャンネルの中で1番視聴数が多いのがSPECIALチャンネルになりました。今まではニュースチャンネルなどの視聴数が多かったのですが、バラエティを中心に自主制作作品を流しているチャンネルが1位になった。そこにドラマも流したいと考えています。
ーー大きな変化ですね。
藤田:それだけ頑張って変わってきたということですね。
ーーなぜ応募資格を「35歳以下」にしたのでしょうか?
藤田:我々がターゲットとしている若い世代を熱狂させるためには、地上波のドラマの常識にとらわれていない新しいものを出さなければいけない。そう考えた時に、若い世代にターゲットを絞るのは差別化になると思いました。それで応募年齢を35歳以下に。
若い世代はそんなにテレビにかじりついて見ていないので、視聴率を考えると若者向けのドラマは作りづらい。私が学生時代の頃には、そんなドラマが、みんなが見ていた恋愛ドラマがありました。生まれづらいのは承知ですが、そういうものをやっていきたいです。
ーー「恋愛ドラマ」を募集する理由は?
藤田:AbemaTVの視聴者の割合は男性が少し多いので、女性向けコンテンツを強化したかったんです。そう考えた時に、やはり「ドラマ」に行き着きました。ドラマで女子が夢中になって見るものを作ろう、と。
脚本を重要視 制作費は「テレビ並にかけようと」
ーー社長が個人的に今ハマっているドラマなどはありますか?
藤田:今クールでハマっているのは『下北沢ダイハード』(テレビ東京系列)です。あれは面白いですね。腹をよじりながら見ています。
ーー社長が20代を過ごした90年代は恋愛ドラマからヒット作がたくさん生まれましたが、何か印象に残っているドラマはありますか?
藤田:『東京ラブストーリー』とか『あすなろ白書』とか、一通りは見ていました。『あすなろ白書』のような作品を作りたいですね。何が起きるわけでもないけれど、登場人物にだんだん感情移入していってしまうような。
ーー「脚本中心」という言葉が何度も出てきていますが、テーマやストーリーが面白ければ、制作費は気にしませんか?
藤田:テレビ並にかけようとは思っています。
自分が見たいと思えるものを書いてきてほしい。せっかく35歳以下に募集をかけているので、おじさんやおばさんが「若者はこういうのが見たいんでしょ」とイメージするようなものではなく、自分の世代の感覚を大事にした作品を待っています。
「NEXT CREATOR'S COMPETITION」 ~シナリオライター賞~ 開催概要
<スケジュール>
1次審査 9月上旬から順次開始
2次審査 9月下旬~10月下旬
最終審査 10月下旬~11月上旬
大賞発表 11月上旬
※応募数、作品内容により、スケジュールは変動することがございます。また、大賞及び佳作の最終発表以外は、審査通過につきましては運営事務局より、個別のご連絡とさせていただきます。
<1次募集期間>
2017年7月27日(木)~9月15日(金)24時まで
<募集テーマ>
10~20代の女性を熱狂させる恋愛ドラマ ※8話程度の連続ドラマを想定
<1次審査応募方法>
専用のエントリーフォームから必要事項を記載の上、以下4点の応募データを添付しご応募ください。
作品企画書 (A4サイズ 1枚)
あらすじ (A4サイズ 1枚800文字以内)
作品情報 (A4サイズ 2枚)
プロット (A4サイズ 10枚>
<応募資格>
・年齢35歳以下(2018年3月31日時点)
・プロの脚本家を目指している方
・大賞及び優秀賞を受賞した場合、「AbemaTVオリジナルドラマ」としての脚本開発にご参加可能な方
<賞金・受賞特典>
・大賞(1名)
賞金 500万円、2018年度内に「AbemaTV」オリジナルドラマにて映像化予定
・優秀賞(数名)
賞金 100万円
※優秀賞の受賞人数は応募状況により変動する可能性があります。
※受賞された場合は、企画開発会議への参加やリサーチ、脚本制作などにも全面的に参加協力いただきますので、その旨をご了承いただいた上でご応募ください。
<審査委員>
・委員長:
株式会社AbemaTV 代表取締役社長 藤田晋 (株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長)
・客員審査委員:
脚本家・監督・俳優 宅間孝行 (テレビドラマ「花より男子」シリーズ(脚本))
映画監督 山戸結希 (映画『溺れるナイフ』)
脚本家 吉田恵里香 (映画『ヒロイン失格』)
脚本家 井上聖司 (テレビドラマ「せいせいするほど、愛してる」)
放送作家 鈴木おさむ
・選考委員
AbemaTVプロデューサー陣
詳細情報やスケジュールなどについては、特設サイトにてご確認ください。
特設サイト:https://ncc-scenario.abema.tv/
テキスト:堤茜子
写真:岡田誠