長い沈黙を破りリリースされた2014年の「KIDS RETURN」以降、コンスタントなリリースとライヴを展開するヴェテラン・ヒップホップ・ユニット:餓鬼レンジャーが、新作となる「キンキーキッズ」を完成させた。今作のリリースと同時に、彼らと同じように長いキャリアを持つDJオショウの加入も発表され、YOSHIのハードなライミング、ポチョムキンの変幻自在のフロウ、GPの多彩なトラック・メイク、オショウのタイトなスクラッチ、そしてダンサー:タコ神様のパフォーマンスと、更にそのオリジナリティを高め、シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。その充実ぶりが伝わるような、そしてB-BOYスタンスに立ち返った新作もまた、唯一無二の密度を誇る。これが餓鬼レンジャーだ! 

【餓鬼レンジャーインタビュー】「色んな音楽ジャンルも経験してきた上で、もう一周してヒップホップなアルバムにしたいって」(前編)
【餓鬼レンジャーインタビュー】「色んな音楽ジャンルも経験してきた上で、もう一周してヒップホップなアルバムにしたいって」(前編)
長い沈黙を破りリリースされた2014年の「KIDS RETURN」以降、コンスタントなリリースとライヴを展開するヴェテラン・ヒップホップ・ユニット:餓鬼レンジャーが、新作となる「キンキーキッズ」を完成
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ーーポチョさんはROO-TIGERの“ブス5000 feat.ポチョムキン(餓鬼レンジャー)、呂布カルマ、campanella”でも呂布カルマさんと一緒に客演されていますね。

YOSHI「餓鬼レンジャーとしても呂布カルマくんとは何度かライヴでも一緒になってるんですけど、彼が最初にラップでコピーしたのが、餓鬼レンジャーの“火ノ粉ヲ散ラス昇龍”だって話してて。それで親近感も沸いたんですよね」

DJオショウ「僕はこの曲のスクラッチでLAMP EYE“証言”を使わせて貰ってるんですが、DJ的にも人生で一度はこの曲で擦ってそれを作品に落とし込みたかったし、それはヒップホップDJだったらみんな思うはずってぐらい、“証言”はやっぱりクラシックですよね。しかも、その曲にTWIGYさんを呼んだ上に、TWIGYさんの声ネタで擦るっていうのは、いちDJとしてホントにテンションが上がりましたね」

ーー“Miss PenPen (FULL VERSION)”は映画「獣道」の主題歌でしたが、そこで主演された伊藤沙莉さんを今回はラッパーとして迎えられてますね。

YOSHI「元々は、マイアミベースっぽい音を作りたいっていうところから始まって、去年から僕とポチョのバージョンでは出来てたんですけど、今回はそこに沙莉ちゃんに加わって貰って」

ポチョムキン「フィメール・ラッパーも増えましたけど、彼女のような声質ってなかなかいないと思うんですよね。しかもまあまあ聴けるっていうどころか、ちゃんと格好いいモノになったのが嬉しかったですね」

GP「才能あるよね。レコーディングも早かったし」

ポチョムキン「日本語ラップも普通に聴いてたり、ダンスもやってたりっていう下地もあったみたいで」

ーーいまのハタチぐらいの人は、上手いラップ、格好いいラップがもう体感として分かってる人が多いですよね。

ポチョムキン「ホントそう。沙莉ちゃんも23だからまさにそういう世代ですね」

GP「主演の須賀健太くんも日本語ラップ詳しかったよね。監督は『GACHAPON!』の時に餓鬼レンジャーを起用してくれた内田英治監督で、それが今に繋がってるのも興味深いですね」

ーー“アゲマンボ”はまさに餓鬼レンジャーらしいテーマの一曲ですね。

YOSHI「GPのビートが原点だよね」

GP「チャチャとかマンボみたいなラテンをテーマにしたヒップホップを作りたくて、そこから広げていった感じだよね。それで『マンボ→あげまん→アゲマンボ』だなって」

YOSHI「いつもの悪ノリですね(笑)。すんなり決まりました」

ポチョムキン「『アゲマンボ』って言葉が出た瞬間、『これしかない!』って(笑)」

GP「僕らはシモネタグループと言われてますけど、一応女性が聴いても嫌な気分にならないような内容にするっていうのは、曲作りで意識してますね。だから、アゲマンだったら、みんな聴いても喜ぶんじゃないかなと」

ーー女性に感謝してる曲でもありますね。

ポチョムキン「女性賛歌ですからね。ただ、餓鬼レンジャーとマイカデリックのコラボとして“TO・BE・RA”(随喜と真田2.0「FESTA E MERDA DI TORO」収録)っていう最悪の曲も作ってますから」

ーーあの曲は日本語ラップ史上、最低最悪の俗悪リリックじゃないですかね、恐らく。

ポチョムキン「そういう、たくさん不快になるような曲を作ってきて、やっとちょっとづつ矯正されてきた感じでもありますね(笑)」

ーーエンディングを飾る“ONE”にはSUGAR SOULさんとJESSE (RIZE / The BONEZ) さんを迎えられていますね。

ポチョムキン「この曲は熊本の震災をキッカケで作り始めたんですけど、SUGER SOULさんは今は九州に在住で、震災のチャリティ・イベントなんかも手がけられてて、僕らの事もそこに呼んでくれたり」

GP「JESSEも昔から一緒に曲を作りたいって話してたのもあるし、彼は熊本の震災後に現地に物資を送ったり、実際に被災地に行ったりっていうサポートをしてるんですよね」

ポチョムキン「それもあったんで、このメンツだったら、それをそこへの想いをしっかりと形に出来るだろうって」

ーー今回はYOSHIさんとポチョさんがソロをとられた曲がありますね。YOSHIさんは“L.A.S.D”を手がけられました。

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YOSHI「ツイッターで誰かが、『“ルビーの詩”(「UPPER JAM」収録)の叙述トリックが素晴らしい』って褒めてくれてて。それで、最近そのスタイルもやってないなと思って、ぱっと聴きはラブ・ソングでありながらも、張られた言葉遊びや伏線を読み解くと、本当はもっと違うことを言ってる事に気づくような一曲を作りたくて」

GP「ヒントはいっぱい出してるけど、気づかれないと普通のラヴ・ソングだよね」

YOSHI「『何こいつマジなラヴ・ソング歌ってるんだろう』って思われたら勝ちかなって。ちなみにタイトルを解説すると『LOVE ASAHI SUPER DRY』ですね(笑)」

ーーボーカル的なチャレンジも感じられますね。

YOSHI「ビートはDJ雪成にお願いしたしたんですが、自分としてもこのトラックに対して普通に歌ってみようと思って、オートチューンかけながら歌ったら、思いの外気持ちよくて。癖になりそうですね。ラップも他の曲よりももっとスカスカさせたり、譜割りを少し変えてみたり、いろいろチャレンジしていて」

ーーポチョさんのソロ“MILF”は、某XVI◯E◯Sなどのサイトなどでも使われる、性癖を表した言葉ですが。

ポチョムキン「いわば熟女アンセムですね」

ーーアンセム……。

ポチョムキン「最初はCHANCE THE RAPPERのパロディで始めたんですけど」

ーー“JUICE”のパロディですよね。

ポチョムキン「そしたらペンが走る走る!(笑)」

ーーしかもオチとして、熟女だけじゃなく、結局、女性はみんな好きという着地点も戦慄しました。

ポチョムキン「やっぱり嘘はつけないんでね。女性の魅力は年ではないなということです、そして長谷川潤も大好きだしっていう(笑)」

GP「最後のフックはズッコけましたよ」

GP「デビュー作の『リップサービス』から変わってない」

ポチョムキン「今回も使わせて貰ってるんですけど、今までで一番使ってるのは芸能人の名前は美保純さんなんですよ」

DJオショウ「どうする?美保純さんにアプローチされたら」

ポチョムキン「まずビンタだね。『俺は妻帯者だぞ!目を覚ませ!』って」

DJオショウ「『それでもいいの!』って言われたら?」

ポチョムキン「一気に抱きしめるね」

DJオショウ「……どういう立場で言ってるんだよ」

ーーオショウさんが質問し始めたんでしょうが。

ポチョムキン「そういうオショウは隣に住んでるおばさんとお付き合いしてますから」

DJオショウ「付き合ってはないけど、ご飯とか貰って。ありがたい限りです」

ポチョムキン「そういう曲です」

ーーGPさんのトラックは今回もヴァラエティ豊かですね。

GP「トラップだったり、BPM遅めのビートだったり、そっちに寄せようとも思ったんですけど、考えた結果、通底する部分としては、生の音をもっとフィーチャーしようって方向になりましたね。今回はブラスが入ってる曲が多いんですけど、それを生で録りたかったんですよね。“いいすね! ”のホーンも生で入れたり。そこで大人っぽさとか、紳士な部分が出せればなと」

ーーオショウさんはスキットで声優として大活躍ですね。

DJオショウ「DJはスキットも出来ないとダメなんで、世界的な流れとして」

ーーそんな世界的流行は初めて知りましたし、オショウさんの中だけだと思います。

DJオショウ「……。今回のスキットはちゃんと作家さんに台本を書いて貰ってるんで、ふざけてるけどクオリティが高くて、しかも曲振りとして機能するっていう内容になってますね」

ーーでは、このアルバム以降の餓鬼レンジャーの動きを教えて下さい。

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ポチョムキン「ヒップホップ濃度が上がったことで、ライヴが更にパワーアップしてきてるし、ワンマンを東京大阪福岡の3都市でやる予定なので、それを楽しみにして欲しいですね」

GP「まだまだ攻めていきたいよね」

DJオショウ「2MC2DJ1ダンサーっていう他にはない構成なので、そこで見せられるものもあると思うし、絶対負けない自信がありますね。他のアーティストには出来ない事を、餓鬼レンジャーでは突き詰めていきたいなって」

YOSHI「作品としては各々でいろいろ吸収しながら、来るべきタイミングでまた作品を作るという形になると思いますね。それも期待して下さい」

TEXT:高木“JET”晋一郎

PHOTO:小原啓樹

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「キンキーキッズ」リリース記念ワンマンツアー決定!! 

最新情報は餓鬼レンジャー公式サイトをCHECK!! 

http://www.gakiranger.jp/

東雲RECORDS
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東雲RECORDSオフィシャルWEBサイト。餓鬼レンジャーのNEWS、LIVE、PROFILE、MUSICなどを掲載。
www.gakiranger.jp
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餓鬼レンジャー - 『キンキーキッズ』 

【東雲レコーズ(発売中)】 

 【TRACK LIST】 

 1. INTRO -超大作イントロ- [Track by GP] 

 2. NO PLAN B [Track by NAOtheLAIZA] 

 3. 超越 (feat. TwiGy & 呂布カルマ) [Track by GP] 

 4. Miss PenPen (FULL VERSION) [Track by GP] 

 5. skit -魅惑のコンビニ- 

 6. MILF [Track by GP] 

 7. 運がYEAH (feat. sequick) [Track by GP] 

 8. skit -目指せ!わさびヒーロー- 

 9. WASABI [Track by NAOtheLAIZA] 

 10. いいすね![Track by GP] 

 11 skit -This video has been deleted- 

 12. 卒業 [Track by SHIMI from BUZZER BEATS] 

 13. アゲマンボ [Track by GP] 

 14. シャッターチャンス [Track by SHIMI from BUZZER BEATS]

 15. skit -イケメンの電話- 

 16. L.A.S.D [Track by DJ 雪成] 

 17. ONE (feat. SUGAR SOUL & JESSE) [Track by GP]


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