山尾志桜里・衆議院議員が不倫疑惑で離党、その余韻が冷めない中、民進党では"離党ドミノ"が始まっている。
先月離党した細野豪志・衆議院議員が"見守る"とした離党予備軍。大島敦幹事長が説得にあたるも、その翌日、鈴木義弘・衆議院議員が離党届を提出した。鈴木氏は「共産党とは一度リセットすると言いながらも、なかなかその体制が見えてこない」と説明。共産党との連携に否定的な前原誠司代表なら党は割れないと期待されていたが、煮え切らない態度に保守派の不満が爆発。鈴木氏の離党会見の終了間際には細野氏が突然乱入、その場で「政権を担える政党を作るために一緒に協力していければいいなと思っている」と述べ、鈴木氏と握手を交わした。
15日にも旧細野グループの2人が離党届を提出。笠浩史・衆議院議員は「今回民進党を離党する決断をしたので、離党届を直接お渡しした」、後藤祐一・衆議院議員は「まだ小池都知事、若狭議員ともお会いもしていないし、これから色々なお話を伺う中で考えていく」と述べた。
一方、永田町では安倍政権の支持率低下で止んでいた"解散風"が再び吹き始めている。今月28日に招集される臨時国会冒頭での解散も取り沙汰されているのだ。
前原氏は14日、「今週中にこの問題についてはケリをつける。そして来週以降はまさに反転攻勢。新たな執行部の本当の出だしとして頑張っていきたい」と述べた。そして離党を検討している福島伸享衆議院議員、岸本周平衆議院議員に離党を促す厳しい対応を含め、週内に決着を図るように大島氏に指示したことを明かした。前原氏は民進党の混乱をみた安倍総理が早期の解散・総選挙に踏み切る可能性もあるとして、事態の収拾を急ぐべきと判断したようだ。
16日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した民進党広報局長の大塚耕平参議院議員は「"離党ドミノ"という表現も事実だ」と認めた上で、「笠さんと後藤さんが抜けて、神奈川県連は無いに等しい。東京も長島昭久さんが抜けて姿が見えなくなってきている。神奈川、東京では小池さんがサポートする国政新党の勢力が増える可能性はある」とコメント、「臨時国会冒頭での衆議院解散もあり得る。もし今、解散を打たれたら大丈夫じゃない。だから安倍さんは打とうとしている」と危機感を露わにした。
大塚氏は「政権交代可能な健全な政治構造をお届けしようと思ったら、中心となる政党は他党に依存しちゃだめだ。他党の皆さんが政権交代のために自発的に協力してくれるのはウェルカムだが、依存したらダメだ」との考えを示し、「日本ではなかなか政権交代が起きない政治構造の中で、細川政権と2009年の民主党政権につぐ、次の政権交代というイベントに向けた胎動が始まっていると思う」と話す。
細野氏は11日、新党結成をめぐり、小池都知事、若狭勝衆議院議員と会談を行った。取り沙汰されているのは、旧細野グループの民進党議員が離党し、新党に合流するというシナリオだ。
共産党との野党共闘について大塚氏は「現状は前原さんが代表になったので、共産党とは共闘しないという方針になった。枝野さんも共闘するとは言っていない。選挙をやる上で、せっかく協力すると言ってきているのを無碍にお断りする必要はないのではないかという話だ」とする一方、自身が代表選で推薦人になったこともある細野氏の離党について「あまり良いことだと思っていない」としながらも、細野氏、若狭氏と民進党の連携の可能性については「フィフティ・フィフティだ」と含みをもたせた。
政治評論家の有馬晴海氏は「10月22日に予定されている補欠選挙の結果を受けて、前原代表がどういった形を取るのかを見極めたいという人が党内に結構いると聞いている。ただ、細野さんが民進党から人を取って小池新党になると、民進党の別働隊になってしまう。だから細野さんもある程度ハードルを作って、『私と一緒にやる人はこういう要件だ』と決めないと民進党の受け皿になってしまう。だから、軒並み民進党の人が(細野氏、小池氏のもとに)いくということにはならないと思う」との見方を示した。
大塚氏は「政治家はすぐに幕末の話をして申し訳ないが、幕末の最後の7、8年を想像して頂くと、長州も薩摩も土佐も肥後も、"昨日の敵は今日の味方"みたいな部分があった。紆余曲折があって、最終的に大きなイベントを起こした。多分、今の野党はそういうプロセスを経ると思う。その過程に入っているので、ここから先はあまり予測できない。民進党も確かに2、3年前に比べると混乱しているが、物事が動き始めたなという空気がある」と、あらゆる選択肢を視野に入れている様子だった。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)