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 トランプ大統領による、「北朝鮮を完全に破壊する」という警告への答えは、"太平洋での水爆実験"という衝撃的なものだった。

 22日に労働新聞などの北朝鮮メディアも、金正恩委員長による「史上最高の超強硬措置の断行を慎重に考慮する。アメリカの老いぼれを必ず火で罰する。必ず代価を支払わせる」との声明を伝えた。この"史上最高の超強硬措置"について、国連総会出席のためニューヨークを訪れている北朝鮮の李容浩外相は"あくまで個人的な考え"とした上で、「おそらく史上最大の水爆実験を太平洋上で行うことになるのではないか」と示唆した。

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 小野寺防衛大臣は23日、「仮に水爆(実験)を太平洋上で行うということになると、従前の弾道ミサイルの実験の例からすれば、我が国上空を通過することも否定できない」と警戒感を示した。

 健康被害、環境被害への懸念から、水中での核実験は、1996年の南太平洋でのフランスの核実験を最後に行われていない。

 海上自衛隊・元海将で、金沢工業大学虎ノ門大学院の伊藤俊幸教授は、水中で核実験を行えるだけの技術力は北朝鮮にないとの見方を示す。

 「これまでの6回の核実験はいずれも山中や研究所の、きちんと環境が整ったところでやった成功した。また、確かに北朝鮮は原子爆弾を超える威力のものを作っており、いわゆる核融合=水爆の世界に入っているのは間違いなのだが、技術は初期段階」。

 伊藤教授によれば、実験を行う場合、船舶で運搬して設置して爆発させる方法、航空機で爆弾として落とす方法、そしてミサイルに搭載する方法の3パターンが考えられるが、船舶は各国による監視があり難しく、核爆弾を搭載できる爆撃機も保有しておらず、可能性が高いのはミサイルになるという。

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 静岡県立大学の小川和久特任教授も「太平洋上で行うとなれば『火星14』を使うことが考えられる。緊張が高まっているのは間違いない」、上智大学の前嶋和弘教授は「トランプに対する売り言葉に買い言葉のブラフ(はったり)である。アメリカは動かないだろう。(実験に関しては)『火星14』を使うのではないか」と話す。

 伊藤教授も、現時点で太平洋まで届くミサイルに搭載できるほど核の小型化は進んでいないと推測、「これからも核開発は進めるだろうが、太平洋での実験はできない。(トランプ大統領の発言に対しての)売り言葉に買い言葉」との見解を示し、それでも強行した場合は、「ブロック制裁決議に行くかもしれない。今は経済制裁決議だが、ブロック制裁までいく可能性はある。湾岸戦争でフセイン大統領がクウェートを侵攻した際には、経済制裁の実効性を高める船舶検査、ブロック制裁決議と国連決議のレベル上がっていった。この船舶検査に上がるか上がらないかでモードが変わる」」とした。

 日米韓の首脳会談でトランプ大統領は「海外の銀行はアメリカとビジネスをするか、ならず者の北朝鮮と取引するかの選択を迫られる」と話し、北朝鮮と取引する海外の企業・銀行などに経済制裁を課す“独自制裁”を打ち出し、その大統領令に署名した。日本と韓国は最大限協力する姿勢を打ち出した。日本の安倍首相は「ドナルドが大統領令に署名した。我々も支持をする」と述べた。

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 海上自衛隊の元海将で、自衛艦隊司令官も務めた香田洋二氏は北朝鮮の狙いについて「アメリカを軍事行動に誘い出し世界にアピールしたいと考えている。だがアメリカは全く動かないだろう。一方で日本は北朝鮮の思惑通りマスコミが騒いでいる」と指摘する。

 伊藤教授も「実際にアメリカが激怒しているのは事実。感情論として、軍隊も政府も、みんな許さないと言っている。ただそれと実際に戦争をするというのは違う。そこは冷静に考えている。アメリカ軍というのは戦争が大好きな人たちの集合体だというイメージもあると思う。私は彼らと付き合っているが、彼らこそ国際ルールを基準として、また正当性があるのかどうかということにこだわる」と指摘、ただちに武力行使に着手する可能性は低いとの見方を示した。

 もし仮にアメリカと北朝鮮の間で軍事衝突が起きた場合どうなるのか。伊藤氏は「勝負にならない。一瞬でアメリカが勝って終わる。ただ、地上戦になれば、どちらにも被害者は出る」と話した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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