様々なネーミングがつけられている今回の電撃解散。「解散総選挙は何を目的にしているのか」(小池都知事)、「自己保身解散に走っているとしか言えない」(民進党の前原代表)、「まさに大義なき解散」(民進党の松野国対委員長)と、政権を維持することだけが目的の解散だとの批判が上がっている。
内閣改造直後の解散を疑問視する声は自民党内からも聞かれる。「改造内閣で実績を積み上げ、その上で国民の審判を仰ぐのが筋だと思う。今からでも年内解散は思いとどまってもらいたい」(山本一太・参議院議員ブログより)、「最高権力者がパッと言って決まる問題ではない。なんか選挙目当て」(丹羽元厚生相)、「党内民主主義をすっ飛ばして、国民に問うということがあってはならない」(石破元防衛相)。
23日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した自民党の平沢勝栄・衆議院議員は「解散というのはいつあってもおかしくない。しかし今回は、党内でもこの時期にやると予想していた人はあまりいなかったのではないか。私も、いつあっても良いように準備はしていたが、まさかこの時期に、という思いだ」と話す。
その上で、「ただ、そうなってから慌てて準備するようでは駄目。普段から備えておかないと」と述べ、「私たちは2012年、当時の野田総理が党首討論で解散を宣言したとき、手を叩いて喜んだ。野党の一番大きな仕事は、政権を取って自分たちの政策を実現すること。そのチャンスが訪れたのに、『けしからん、けしからん』と言っている。野党の反応は逆だ」とした。
この意見に対し、民進党の渡辺周・衆議院議員は、北朝鮮情勢を考えた場合、今回の解散時期は妥当でないと話す。「北朝鮮のICBMが二度も北海道上空を飛び、水爆の実験もやっている。国連で日本が対北朝鮮政策の議論をリードすることが今最大のテーマなのに、なぜこのタイミングでやるのか。平沢先生は『野党は解散で喜ぶべき』とおっしゃるが、常識的に考えてありえない」と反論。さらに「自民党は憲法調査会で緊急事態の際には解散を縛り、国会議員の任期を特例で延長するということを議論している。ミサイルがこれだけ発射され、Jアラートも鳴って、安倍総理も"これまでにない脅威だ"と言っておきながら、今回はその緊急事態ではないのか。論理矛盾ではないか」と指摘する。
政治ジャーナリストの有馬晴海氏は、「7月の都議会議員選挙で自民党が負けた時に、この時期の解散総選挙を想定していたので、やっぱりと思った。しかし渡辺先生がおっしゃったように、北朝鮮問題があるので解散はできないのではないかとも思っていた。そこで自民党のある議員に尋ねたところ、『有馬さん、違うんだよ。後でもっと大変になるから、今のうちに選挙やった方がいいんだ』と言われた」と明かした。
さらに平沢氏は「安倍政権は5年間続いてきた。たとえば2年前に成立した平和安全法制だって、野党の反対派からは"戦争法案"と呼ばれていた。テロ等準備罪だって、"治安維持法の時代に戻る"と批判された。北朝鮮に対する安倍首相の対応などを含め、争点は色々ある。こういった時期だからこそ、むしろ安倍政権への"信任投票"だ。続けてもらいたいか、やめてもらいたいか。これが最大の争点だ」として、今、解散総選挙をやる意味は大いにあると断言した。
野党側からは、「森友・加計疑惑隠し解散」との声も上がる。野党が要求した臨時国会召集を3カ月放置した挙句の冒頭解散に、不満が噴出しているのだ。「臨時国会冒頭での解散は、森友・加計疑惑隠し。究極の党利党略、権力の私物化」(共産党の志位委員長)、「まさに敵前逃亡。疑惑隠しの解散以外の何ものでもない」(民進党の前原代表)と、強い表現で非難している。
「安倍内閣は国民の信を得ている内閣とはいえないと、共謀罪法案の強行採決の後から、解散総選挙に追い込もうとしてきた。共産党としても、野党共同で選挙を戦う枠組みを作る準備を進めようと呼びかけ続けてきた。総選挙は受けて立つ、大チャンス。しかし冒頭解散というのはおかしい」と訴えるのは、日本共産党の田村智子・参議院議員だ。「ちゃんと論戦をやった上で解散して信を問うということならあり得る。森友・加計疑惑で新しい情報も出てきている中、まさに議論を封じて終わりにしちゃったようなものだ。私も6回質問してきて、これからが佳境という時に、何の審議もせずに解散とは。卑怯者逃げるなと言いたい」と語気を強める。渡辺氏も「国民の皆さんが税務署に言われて税金を納めているのに、その税務署のトップの国税庁長官が森友学園の時の責任者。ちゃんと白黒つけて、その上で信を問うべきだ」と主張した。
平沢氏はこれに対し「これで森友・加計問題ができなくなるわけではない、選挙後いくらでもできる。国会で議論していないことを(選挙で)訴えられないなんてことはない。判断するのは国民参考人、証人として関係者を呼ぶことに自民党が反対したと言っているが、もしそうならば選挙で多数を取って、どんどん呼べばいい。それをやるのが野党の仕事だと思う」と反論。
有馬氏は「そこで野党は"こういう与党じゃ駄目です"と訴える選挙戦をやるということなのではないか。ルールの中で総理が決めたことだから、もう勝負するしかない。ただ、昔のように地盤を固めれば勝てた時代ではないし、必ずしも与党が勝てるかどうかはわからない。どんでん返しもないではないと思う。野党は頑張りましょうよ」と呼びかけていた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)