「敵失つけ込み・新党封じ・今なら勝てる解散」との批判も浴びる、安倍首相の早期解散作戦。判断を後押ししたのが、内閣支持率の回復だと言われている。最新のANN世論調査では、内閣支持率は2カ月連続で上昇、4カ月ぶりに支持(41.3%)が不支持(39.6%)を上回る結果となった。一方、最大野党の民進党は、山尾議員や不倫疑惑や細野議員らの離党ドミノなどで混乱が続いており、同じ世論調査でも「期待しない」との意見が68%に上っている。
また、小池都知事らに近い、若狭・細野衆議院議員らによる新党結成の準備が間に合わないタイミングであれば勝てるとの思惑もあるといわれている。ある自民党関係者は「3分の2が取れなくても、与党が過半数で間違いない」と語ったという。
そこで焦点となるのが、野党共闘だ。安倍政権に対抗するには、非自民の結集しかないという声もあるが、民進党の大島敦幹事長は20日、「市民の声としては『一本化してくれ』という声はあるが、要は模索できるかどうか、というところ。今後、慎重に対応していきたい」とコメント。民進党の前原誠司代表は先月「理念・政策があわないところと協力するということは、私はおかしいというふうに思う。(共闘の)是非についても見直しをさせていただきたい」と述べるなど、昨年の参院選で実現した共産党との共闘路線を見直す考えを示唆してきた。
相互支援ではなく、"候補者のすみわけ"を目指したいようにもみえる民進党に対し、共産党の小池晃書記局長は19日、「水面下で精力的な話し合いをやっている。我々としてはきちんと相互に推薦支援する形での候補者を立てていくことを求めていきたい」としている。共産党はあくまで共通政策の合意と、相互支援を求めているようだ。限られた時間の中で妥協点を見いだすことはできるのだろうか。AbemaTV『みのもんたのよるバズ!』では、民進・共産の議員に話を聞いた。
民進党の渡辺周・衆議院議員は「来年には天皇陛下の退位があって元号も変わり、新しい時代迎えるという中で、天皇制をどう考えているのか。こういう状況であっても将来的に日米安保を破棄すべきとお考えなのか。共産党が目指す道が変わるのか変わらないのか。小池晃さんがおっしゃった推薦ということになると、支持者に"天皇制は将来なくすのが望ましいとおっしゃっている党をなぜあなた達は推薦しているのですか"と問われることになる。保守層の方々にご支援をいただいている候補者もおり、その説明をして回ることに大きなエネルギーを使わなければならない。そういうことを考えると、当然失う票も出て来る。自民ではない誰かに入れようということはあると思うし、都議選も含めて、共産党が批判の受け皿になっているのは間違いないが、国政選挙なので、そういう大きな話が詰まらないことには難しい」と述べ、共産党との連携には難色を示した。
「我々は連立政権で当初、民主党と社民党と国民新党の3党の連立でスタートした。その時に、沖縄政策をしっかりと詰めていなかったこともあって、社民党が連立を離脱、足元が壊れていった。だからちゃんとした話をした上でないと。とにかく足せば何とかなるだろうということでは、またあの時の失敗を繰り返すので、政策も理念もしっかりと話をすべきだ」(渡辺氏)。
日本共産党の田村智子・参議院議員は「憲法を認めるんだから天皇制は認めるということ。ものすごい先々どうしていくかという意見の違い。人間の平等ということを考えた時には反対。国民の合意ができた時には天皇制をなくすということ。衆議院の任期は最大4年。その間に無くすというようなことは全く考えていない。先々のプランが違うから、別々の党になっている。自民党と公明党も、憲法改正に関する考えは違うが、一致できるところはあるので連携している」と説明。
「安倍内閣が危険だから。その一点」で連携の可能性はあるとして、「安保法制の戦いのなかで、他党、団体や市民、共産党とは距離があった方も一緒にと繋がっていった。たくさんの市民の皆さんが、野党がしっかりと力を合わせて、安保法制を廃止してほしい、憲法を踏みにじるような内閣は倒してほしいと。国会の外で共闘を求めた。これが今までのように政党がくっついたり離れたりということとの決定的な違い。それで国会の中でも心が一つになるような連帯が広がった。去年の参議院選挙の1人区でも、確かに推薦という形にはいかなかったが、なぜ合意して一緒に選挙を戦うのかという文書をそれぞれの地域で交わしあって、一本化が成り立っていった」と話した。
また、田村氏は「全候補者を一本化するということを目指しているわけではない。共闘できる条件のあるところ、勝てるところ。それらが無いまま、どちらかが候補者を降ろせばいいということではない。どちらかを降ろせば、一方の票がもう一方に行くという考えは甘い。共産党だって小選挙区の票はものすごく頑張って叩き出している。小選挙区届け出政党の政見放送、宣伝カー、ビラ。私たちはこういうものを無くすわけにはいかない。野党が勝つということと、共産党が議席を伸ばすということの両方に挑戦していかないといけない」とした。
政治ジャーナリストの有馬晴海氏は「選挙の時にある程度大きいもので合意できればということで、自民党と公明党はうまい住み分けができる。しかし、2009年に反自民の政権ができた時にも、考えが大きく違うところがあるので共産党は政権の参画から外れた」と話し、「次の選挙では難しいだろう。前原代表もそういうことを臭わせ始めている。共産党との連携を言えば、また離党する人が出てくるのではないか」と指摘した。
今週にも、若狭氏・細野氏らを中心にした勢力が新党を旗揚げするとみられている。選挙後、民進党が解党したり、野党再編が始まったりする可能性もゼロではないだろう。
渡辺氏は「この世界は何が起きるかはっきり言って分からない。自民党にも、かつて除名した幹部や離党勧告した人が復党したり、党の要職に就いていたりする。民主党からも、みんなの党や維新にいった人が民進党になって戻ってきた例もある。小池さんたちの"希望の党"と我々がはなから全く何の連携も連動もしないということは分からない。前原代表も、自民党に代わる選択肢がなければ、日本の民主主義がおかしくなると言っている。代表になる前には、党の名前にはこだわらないというところまで踏み込んだ発言もしている。この選挙が終わった後の再編ということは、ないことはない」と述べ、様々な可能性については否定しなかった。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)