この記事の写真をみる(7枚)

 小池百合子都知事が立ち上げた国政新党「希望の党」。自らが代表を務める意向を示したことで、都政と"二足のわらじ"を履くことに疑問の声も上がっている。共産党の志位和夫委員長は「あれこれの国政の公約もいいが、その前に都知事選挙で自分が公約したことをしっかり守るべきだということを言いたいと思う」と苦言を呈しており、26日に開かれた都議会の代表質問で小池都知事は罵声が飛び交う中、「都民に開かれ都民とともに進める都政。この実現に向けて都政改革本部を司令塔として、私が先頭に立ってしっかりと改革の実現を積み重ねて参る所存だ」と答弁した。

拡大する

 街頭の有権者に聞くと、「期待はないかな」「話題性だけで都民ファーストの会に入れちゃったりした人とかは不安も感じていると思うので、今回はそんなにうまくいかないのではないかと思う」「小池さんは透明化みたいなのをやってらっしゃる。それが国政の方でも実現するのであれば期待したいなと思う」と評価は様々だ。

 小池都知事を長年にわたって取材、去年「挑戦 小池百合子伝」を出版した作家の大下英治氏はAbemaTV『AbemaPrime』で「物事を発信する時に大義があることを言う、そして共感されることを言う。PR能力とリーダーシップが優れていて、彼女の下に集まれば大きな戦いができるとなるという感じになる」と、その魅力について話す。

拡大する

 1976年、エジプトのカイロ大学を卒業した小池都知事。「当時のエジプトは中東戦争もあったし、戦いの中で生きていた。カイロ大では入学の際、男性は銃を撃ち、女性は匍匐前進する。だから小池都知事は、考え方も含めて"カイロ人"。戦いが好きな人」と大下氏。 「"赴任先に付いてきてほしい"と言った夫に、"あなたが去りなさい"と言って離婚した人。だから小池さんには今、家庭もない。人生は政治家オンリー。小池氏都知事は、お父さんに『普通のことをして成功しても誰も褒めない。誰もやらないことをして成功しろよ』、お母さんは『結婚なんかは最終目標にしてはいけない。自分で仕事を持って、女として自分の戦いをやりなさい』と言われて育てられた。政治家になった時も、はじめから総理になることしか考えていなかった」と語った。

拡大する

 1992年、テレビキャスターから政界に転身、日本新党から参院選に出馬し比例区で初当選を果たすと、翌年には衆院選で当選。1994年に日本新党が解党すると新進党の結党に参加。次に新進党が解党すると小沢一郎氏が党首を務めた自由党の結党に参加。さらに自由党が分裂すると小沢氏と袂を分かち、保守党に合流。そして2002年、自民党へ。5つの政党を渡り歩いてキャリアを重ねた経歴から「政界の渡り鳥」とも呼ばれている。

 また、日本新党時代には細川護煕元総理、新進党・自由党時代には小沢一郎氏、自民党では小泉純一郎元総理と、時々の権力者に近づき、キャリアアップをしてきたというイメージもつきまとう。

 大下氏は「私が最近の政治家の中で天才的と呼びたいのが、細川・小沢・小泉。小池都知事はその3人から吸収してきた。調子よく渡り歩いてきたと思われるかもしれないが、実は逆で、みんな彼女がいたから光った」と指摘。「都知事選では敵を設定して、それを討つことによって小池劇場を起こした。これは小沢さんや、小泉さんに学んだこと。そして、前原さんは細川さんの子分。やがては前原さんの民進党を食うだろう。民進党もやがて解党するし、細川さんが後ろ立てとなり、脱原発では小泉さんが、非自民政権を作るのが夢の小沢さんと、先生たちが組んで、小池さんを総理にする」と、壮大な小池都知事の"野望"を語った。

 25日の会見で小池都知事は「これまで若狭さん、細野さんをはじめとする方々が議論をしてこられたが、リセットし、私自身が立ち上げるということ。直接絡んでいきたいというふうに思っている」と、希望の党の代表に自らが就任することを突如発表。このことについて、若狭氏や細野氏が梯子を外された格好になったと指摘する声もある。

拡大する

 こうした見方について大下氏は「彼らのことをダメと言ったわけじゃない。そんな失礼なことをいうわけがない。小池さんらしい言い方。しっくりいかない部分があるので、私が上に立った方がいいかなということ。自分が国会質疑をするわけにはいかないので、その役目は細野さんに任せると決めている。ただ、それを言ったら若狭さんが傷つくから」と説明。都政の混乱や、"二足のわらじ"批判についても、「小池さんが都知事になっていなかったら、豊洲の問題が全国に知れ渡ることは無かった。石原都知事は週に2日しかこなかった。それから考えれば皆勤賞だ。大丈夫だ。できる」と太鼓判を押した。

 さらに大下氏は、都議選で大勝した翌日、都民ファーストの代表を突然辞任したことから、今回も同じような展開になるのではないかと不安視する意見に対しても「そんなことはない。4年間はきちんと都政をやる。小池さんは総理を狙っているから、次の総選挙で出てくるから、彼女としては今回の選挙はありがたかった。解散が来年になれば、5年後になってしまう」とした。

■候補者擁立、総選挙後には困難も待ち受ける?

 小池都知事の動きに対し、安倍総理は25日、「希望というのはいい響きだと思う。東京都知事である小池知事とは、東京オリンピック・パラリンピックを成功させなければならないという共通の目標は持っている。その上で選挙戦はフェアに戦いたいなと思う」とコメント。自民党の二階俊博幹事長も「まだ昨日(25日)発表されたばかりだから、これから成り行きをよく見て、活動状況を見て判断していきたい。我々は選挙戦を通じて堂々と戦っていきたい」としている。また、国政では自民党、都政では都民ファーストと連携している公明党の山口那津男代表は「二足のわらじが務まるほど生易しいことではないのではないかと懸念している」と懸念を示している。

拡大する

 テレビ朝日政治部の足立直紀デスクは、「都知事選、都議選のイメージがあるから、たしかに小池都知事には破壊力はある。ただ、都知事になって日も浅く、豊洲問題も解決できていない中での国政進出には、永田町から"一体どうなんだ"という声が上がっている。特に公明党は怒っている。小池都知事は敵を作って自分を伸ばす戦法なので、反対勢力・悪者扱いされると票が伸び悩む。オリンピック・パラリンピックのこともある。だから今は小池さんと露骨に対立しないよう、安倍総理も公明党もはっきりとは批判せず、なんとなくうまくやっていきますよという空気を醸し出している。都議会会期中に都民ファーストから離れることはないが、国政選挙が終わった後、公明党が離れれば都議会では過半数割れしてしまう。そうなると、小池さんが思っているような議会運営ができるのかどうか。瀬戸際に立たされるかもしれない」と話す。

 25日には松原仁元拉致問題担当大臣が希望の党への合流を表明し、さらに自民党所属で内閣府副大臣の福田峰之議員も離党、合流を表明した。さらに26日、静岡県では細野氏の元秘書・松尾勉氏や田中健氏、神奈川県では3人が民進党に離党届を提出した。

拡大する

 こうした動きについて足立デスクは「小池さんの破壊力、目指しているものも立派だと思う。ただ、今のところは限定的。まだ全国的な広がりにはなってない。短い選挙期間でどういう人かを見極めるのは大変だとは思うが、できるだけどんな人なのかをよく話聞いて吟味しないと、また同じことを繰り返す。希望の党だけでなく、しっかり候補者を吟味して選ぶべき」と指摘、「これまで若狭氏や細野氏が議論してきたことは"リセット"されてしまったし、議員たちは希望の党がどんな政策を掲げるのかもわからないまま集まってきている。選挙互助会と言われても仕方がない」との見方を示した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


▶『AbemaPrime』は月~金、21時から放送中!

「AbemaPrime」の検索結果(放送予定の番組) | AbemaTV(アベマTV)
「AbemaPrime」の検索結果(放送予定の番組) | AbemaTV(アベマTV)
「検索」では気になる番組を検索することが出来ます。
【無料】AbemaPrime - Abemaビデオ | AbemaTV(アベマTV)
【無料】AbemaPrime - Abemaビデオ | AbemaTV(アベマTV)
見逃したAbemaPrimeを好きな時に何度でもお楽しみいただけます。今ならプレミアムプラン1ヶ月無料体験を実施しています。
AbemaNewsチャンネル | AbemaTV(アベマTV)
AbemaNewsチャンネル | AbemaTV(アベマTV)
AbemaTVのAbemaNewsチャンネルで現在放送中の番組が視聴できます。
この記事の写真をみる(7枚)