中国を訪問しているアメリカのティラーソン国務長官は、複数のルートで北朝鮮と直接接触し、対話を模索していることを明らかにした。
アメリカメディアによると、ティラーソン長官は記者団に対して「北朝鮮に『対話をしたいか』と尋ねている。平壌と意思疎通のルートを持っている」と話し、接触のルートは3つでいずれも中国を介さないアメリカ独自のものであるという。核ミサイル問題をめぐり、トランプ政権が北朝鮮との直接的な接触を試みるのは初めてのこと。ティラーソン長官は北朝鮮の反応については言及しなかった。
また、ティラーソン長官は9月30日に中国の習近平国家主席と会談し、北朝鮮問題などに対するトランプ政権の方針を説明したほか、北朝鮮問題への中国の貢献を要請した。
ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏は、アメリカの動きに関して「そもそも対話がオプションに入っているのか」と疑問を呈する。「北朝鮮はよくやるが、対話の場に出てきても途中で一斉に席を立って出て行ってしまう。例えば、休戦状態の韓国とは38度線を境にテーブルを置いて両側から話し合うが、途中で北朝鮮がなにかの拍子に怒って帰るということをやる。だから、アメリカはそれを見越して『話し合いをした。でも北朝鮮は昔通り話に乗ってきてくれない。仕方がない』という形をとり、この先の制裁を考えている可能性がある」と指摘する。
さらに、「アメリカには経済制裁か軍事オプションのどちらか、もしくは対話しかない。でも、トランプ政権は対話に関してはほとんど期待していない。というのは、前大統領のオバマ政権まで対話、対話という方針を続けていたが、秘密裏にミサイルと核を作られた。そのやり方は失敗だと考えていて、オバマ前大統領を否定する意味でも、トランプ大統領は北朝鮮に強く出る政策をとり続けるとみていい。その時にロシアが仲介してくれるかというと、今の流れだけではフリをしているだけのように見える」と見解を述べた。
また、モーリー氏は、知っておいて欲しい情報として「UDMH（非対称ジメチルヒドラジン）」を挙げる。
「UDMHは液体のロケット燃料。この燃料を使うと火星シリーズのロケットやICBMを打ち上げることができる。UDMHは作りにくくて、少し失敗すると工場で大爆発が起きる。あまりにも作るのが難しいので、ロシアや中国から密輸しているのではないかと言われていた。したがって、トランプ大統領が中国に対して『もっと誠意を出して、制裁に協力してほしい。石油も少しずつ止めてくれ』と言っていたのは、『UDMHを絶対に渡すなよ』ということ。それがなくなったら北朝鮮はミサイルを打てなくなる」。
しかし、ニューヨークタイムズが「北朝鮮はUDMHを自前で作っている可能性がある」と報道。北朝鮮は、他国から得たUDMHを自分たちで学習して改造したという。「これが何を意味するかというと、今後北朝鮮に対してどんな制裁をしてもミサイルを打ち続けることができるということ。経済制裁の本当の目的は経済制裁を通してミサイルを打てなくすることだが、北朝鮮がそんなことは想定済みで、昔から燃料もエンジンも備蓄しているとすると、アメリカがその状況を既に知っていた場合、対話は“フリ”でどうやって叩くかしか考えてないと思う。北朝鮮がUDMHやエンジンを備蓄しているという情報をアメリカが掴んでいるとすると、もう対話はオプションに入っていない」と考えを述べた。
複数の韓国メディアは、北朝鮮が平壌の近くにある製造工場から多数のミサイルを移動させていると伝えた。中距離弾道ミサイル「火星12号」とICBM「火星14号」とみられているが、9月15日に日本列島越しにミサイルを発射した時も、数日前にこの工場からミサイルが搬出されたという情報が入っていた。
モーリー氏は「UDMHがなくなったら打てなくなる。燃料を備蓄している“池”を大爆発させると、急に北朝鮮は対話のテーブルに出てくるかもしれない。このままだと、長い間どんな経済制裁を受けても、ICBMなどの実験は続ける」と述べた。
なお、今月10日は朝鮮労働党の「創建記念日」。各国の対応に注目が集まる。
（AbemaTV／『けやき坂アベニュー』より）
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