3日夕方、希望の党の“一次公認リスト”が公表された。民進党出身からは110人、希望の党独自では82人が公認を受け、現時点での立候補者は小選挙区・比例を合わせ192人(3日時点)となった。
そのうち、希望の党が“刺客”を立てなかったのが、民進党出身ながら無所属で出馬する野田佳彦氏と岡田克也氏、自民党の石破茂氏と野田聖子氏、公明党の9選挙区。逆に、立憲民主党の枝野幸男代表、長妻昭氏、赤松広隆氏、菅直人氏、阿部知子氏、初鹿明博氏らには刺客を立てている。
小池氏と近しいとされる石破氏、野田氏に刺客を立てなかった意図について、テレビ朝日・政治部デスクの細川隆三氏は「引き抜き」の可能性を挙げる。
「1994年に羽田政権が総辞職して村山政権になった時、小沢さんらが自民党に手を突っ込んだ。最初、渡辺美智雄さんを担ごうとしたがダメで、海部元総理を引き抜いて統一候補として総理大臣指名選挙に臨んだ。結局海部さんは敗れたが、今回、石破さんや野田さんを自民党から引き抜いて総理大臣指名の候補にしようと考えているのでは。ただ今回は選挙もあるので可能性は非常に低い。寝技と一本背負いを同時にやるような神業のようなもの」。
また、枝野氏や菅氏らには刺客を立てる希望の党の動きについて、メディアアーティストで筑波大学助教・学長補佐を務め、小池都知事を座長とした「東京未来ビジョン懇談会」のメンバーでもある落合陽一氏は「元民進党の人に対立姿勢を出すことで、民進党とは違うというメッセージを出していて小池さんのやり方は色々上手いなと思う」「賛成でも反対でもない第三勢力の人々が増えてきた現代の世相をとても上手に反映できている」と評価。一方で、「ただ時間切れだと思う。1カ月の短い戦いでは厳しい」と、選挙まで時間がない中での“ドタバタ”を指摘した。
希望の党への候補者からは「政策協定書なんて来ていないし、公認申請書も出していない」「供託金・寄付金を求められ、振り込め詐欺にあっているみたいだ」といった声も報じられている。このドタバタ準備に落合氏は「安倍政権的にはけん制が上手く効いたということ。1カ月で決めていくということで、他の動きを封じられている」とコメント。さらに、内部から批判的な声があがることについて「コンプライアンスがなっていない。希望の党の候補者が希望の党を批判して、自分で自分の首を絞めている。プロとは言えない」と指摘した。
希望の党の混乱は、政権の安定を訴える安倍総理には有利に働くとも取れる。そういった中で、“選別”“排除”に動く小池氏に対しては「ある種の社会実験。新しいものを入れてみたいというアプローチをとりたいが、今は“国難”が差し迫っている。村山政権の時は阪神淡路大震災、民主党政権の時は東日本大震災があって、今回は北朝鮮問題がある。国難は待ってくれない。実験的なことをすることはいい。しかし、世の中が安定していないタイミングというものもあり、実験の時期が政権変動時期とかぶるとロクなことがないのは歴史が証明している。そこを考えたうえで投票しないといけない」と見解を述べた。
(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)