「仕事が早めに終わった!」「急ぎの仕事はとりあえず片付いた!」そんな平日の午後。皆さんならどうしますか? ボクなら……やっぱり呑みにいってしまいます。とはいえ、「今日は立石遠征だ!(京成線立石駅)」「いや今日は野毛だ!(横浜市中区野毛町)」と勇んで出掛けるほどの心構えはできてないけど、背徳感も感じつつやっぱり良い店で一杯やりたい、となったとき、最近ボクは知らぬ間に、とある酒場へ向かってしまうのです。
場所は東急東横線祐天寺駅。レモンサワー発祥の店として知られる「ばん」が駅南側を代表する酒場であるならば、駅北側を代表するのが、今回ご紹介する「忠弥」さんで御座います。
■前回記事
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営業時間は平日がだいたい16時~19時くらいのたった3時間(土曜はだいたい14~17時、木・日・祝休)。そして店内も広くなく狭くもない収容最大人数およそ30名。引き戸を開けるとすぐに大将が一人で仕切る焼き場があって、そこを囲みながら細長いカウンターが奥まで伸び、途中からはカウンターが二列になりお客さんが向かい合いながら座る感じ。
席によっては厨房の中を通され席に辿り着く、といった一見さんには想定外の光景も見られます。何か中々にハードルが高そうな雰囲気も否めませんが、平日に休みを取っても訪れる価値あり。基本はもつ焼きのお店です。
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まずは飲み物。生ビール、サワー、日本酒、ソフトドリンクも各種ありますが、ここでは是非「忠弥特製カクテル」を。レシピは女将さん曰く「秘密!」らしいのですが、キンミヤ焼酎にウィルキンソン辛口ジンジャーエール、そこに何か隠し味的なものが入っていると思われます……(恐らくガムシロップがちょっと入っているのではないかと)。
さらに、これとは別に黒ビール小瓶を頼み、カクテルにちょっとずつ黒ビールを足していくと、これが本当に美味い。二人で行くとカクテルを一人二杯ずつに黒ビール小瓶一本、という割合でしょうか。あ、酔いも確実に、しかも早めに襲ってきますのでご注意を!
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最初の注文は紙に記入してお母さんか若旦那にお渡し下さい。その際は必ずあっさり塩味の煮込を頼みつつ(これも最高)、通称「サラダ」と呼ばれるキャベツの浅漬に刻みネギが乗っかった一品も頼みつつ(野菜不足を解消できますね)、まずは必ず「ツクネ」と「生ピーマン」を頼んで下さい。
出てきた軟骨入りツクネを生ピーマンで挟んで食べる……そう、肉詰めピーマンを自分で作って食べるのです。これがもう滅茶苦茶美味い! 味は塩、タレ、どちらも甲乙つけ難いのですが、他のテーブルを見ると常連さん達は何だか様々な種類の味付けでつくねを頼んでいる模様……。これは是非、お店に来て確認してみて下さい。
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他にも「はつ」「レバー」「なんこつ」「子袋」といったお馴染みの部位から、名物の「ひもスタミナ」(余ったタレにサラダを付けて食べるのもまた良し)、これもファンが多い「ガツ醤油漬け」、ボクの大好物「はつ下」(個人的には塩が良いですね)、更には「ぺてん」「ちれ」「シビレ」「わっぱ」など、詳しい人じゃないとサッパリ判らないものも。どこの部位かは是非お店でご確認下さい。
ボクはこのお店に初めて訪れて今年で7~8年くらい、だいたい月に1回行けるか行けないかのペースで訪れているのですが、未だに知らない”裏メニュー”に遭遇します。何だか新しい“アイテム”を手に入れた感じがして、また呑みに来てしまうのです。そうそう、この店の常連さん達(=人生の先輩方)は皆さん紳士的で優しく、その常連さん達がお店のルールやマナー、また裏技や裏メニューなどを教えてくれます。一見さんを優しく見守る常連さん…そこには無縁社会とは程遠い「酒縁社会」とも言うべき光景が!
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そして何より、この店を仕切る方々とのやり取りも最高。焼き場を仕切る大黒柱の大将(ちなみに焼き場前の席はカメラ撮影禁止です)の匠の技、店を切り盛りする若旦那と女将さんとのやり取りも楽しみつつ、奥の方で洗い場&生ビールサーバからジョッキへ注ぐのを担当するアジア系女性の安定感も味わい深いです。そして、カウンターに座るお客さん達が、あたかも互助会のようにお店の方々に協力しながら各々で楽しむ姿……。「酒場とはかくあるべき」一例といっても過言ではないでしょう!
著者・オカモト”MOBY”タクヤ
結成22年を迎えたロックバンド、SCOOBIE DOのドラマー。2006年には自主レーベルを立ち上げマネージャーも兼任。ドラマーとしても数多くのレコーディングに参加。野球と音楽がテーマのラジオ番組、FMおだわら「NO BASEBALL, NO LIFE」MCも担当。また香港政府観光局認定の「香港マイスター」。
※SCOOBIE DOニューアルバム『CRACKLACK』が10月4日発売。ツアーは10月下旬から開始し、ファイナルは2018年2月11日にバンド史上初のZepp Tokyoワンマン。