今年７月、新社屋に移転した株式会社TENGA。アダルトグッズを製造・販売する同社で働く女性社員の数は20名ほど。そんなTENGAで活躍する女性広報たちを、人気AV女優で最近では作家としても活躍する紗倉まなが突撃取材した。
オフィスの入り口は、歴代のアダルトグッズがずらりと並び、美術館のよう。紗倉を出迎えたのは、広報担当の西野芙美さん。以前は出版社に勤務していた西野さんはTENGA入社のきっかけについて「人から性の相談をされることが多かったが、そういう話はしづらい雰囲気があると感じていた。TENGAは"性を表通りに、誰もが楽しめるように"というスローガンを掲げており、『すごい！』と思った。面白いな、こういう会社で働きたいなと思った」と話す。
もうひとりの広報担当、工藤まおりさんも転職組。リクルートから自ら望んでTENGAに入社した。同社では、2011年ごろから女性向けアダルトグッズを研究・開発するブランド「iroha」を立ち上げた。これまでに、バイブやローターなど、12種類の女性向けアダルトグッズを販売。一時期品薄になるほどの人気ぶりだった。
工藤さんと西野さんがPRしている新商品が「iroha stick（イロハ スティック）」（参考価格1200円・税別）だ。女性のマスターベーション用に開発されたセルフプレジャーアイテムで、口紅のような見た目のスティックの下を回すと、スイッチが入り振動する。かわいい見た目に反して、パワーは強力だ。西野さんにれば、「iroha」の顧客層は「20代後半から30代前半くらいのごく一般の会社員の方が購入されている印象」だといい、アマゾンなどのネットショップで購入する人が多いのだという。
女性向けアダルトグッズの開発チームは、西野さん、工藤さんを含む女性社員９名で構成されている。プロトタイプを製作、開発チームのメンバー全員が使用試験も行っている。「音がうるさすぎないか確認する」など、商品を利用者目線で様々な角度からチェック、「挿入系アイテムはもちろん挿入する」と、開発メンバーたちは気さくに答えてくれた。
「技術面では男性の力を借りることもあるが、コンセプトや素材、パッケージなどは女性だけで開発している。これまでの製品って、形がいかにも男性器だったりするものもあった。男性目線で面白いものではなくて、女性が自分で使いたい、カワイイって思える商品を提供していきたい」と西野さん。工藤さんも「女性としては、グロいデザインだと身体に使いたくないなと思うことがすごくある。このようなかわいい外見の物だと親しみやすさがあるし、使ってみたくなる。家に置いておきたいと思えるような、そういった商品を出していきたい」と話す。女性たちが考え、試しているからこそ、男性では思いつかない様々なアイデアが商品に反映されている。従来のバイブレーターのように硬い素材ではなく、触り心地の良さも追求。女性ならではの目線が至るところに活かされているのだ。
マスターベーションは、単に性的な満足感を得られるだけでなく、リラックス効果もあることが「iroha」研究チームの実験で明らかになっている。2016年に行われた脳波を測定する実験では、リラックスシーンに脳波がどのように変化するのかを検証しており、コーヒーを飲んだ後やアロマを炊いた後の脳波を見てみると、脳の前方にα波が出現し深いリラックス状態にあることが分かったという。これに対し、「iroha」使用後の脳波をも、同じ場所からα波が出ていた。ところが約５分後には、「iroha」使用の場合にのみ、脳の別の場所からもα波が出現。監修した専門家によると、これは瞑想に近い状態なのだという。
紗倉はこの結果に「瞑想状態に近いというのは意外だった。確かにそういう行為をし終わった後って、リラックスしているなと思ったことはあったが、コーヒーを飲んだ後とかアロマとか比較して顕著に出るものだというのが驚きだった」と話していた。
ある調査によると、20～60代女性の６割以上がマスターベーションをしたことがあるといい、年代別では40代の女性が最も多く、66%にのぼる。頻度は「月１回」が最も多かった。
しかし、開発メンバーの一人が「使った後の罪悪感を感じてほしくないというのが一番大きい」と話すとおり、女性がアダルトグッズを使うことへの抵抗感がある方は多いのだという。「男性でお年を召した方には、『こんなの使ってスケベだね』みたいなことを言われる。男性に喜んでもらいたいから使っているのではなく、あくまで自分のためにセルフケアとして使っているのだということをもっと伝えていけたらいい」と西野さん。女性の性欲に対する根強い偏見をなくしていきたいと訴える。
「顔にパックをするように、髪にトリートメントをするように、セルフケアの一つとしてirohaを使ってもらえたらいいなと思う」と西野さん。工藤さんも「irohaをもうちょっと身近な存在として感じてもらえるようなプロモーションをしていきたいし、きっかけを作っていきたい」と語る。タブー視されがちな女性の性を明るく、そして真剣に考える「iroha」開発メンバーの活躍に今後も期待だ。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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