自民党が今回の総選挙の公約の柱として掲げた憲法改正。「自衛隊の明記」「教育の無償化・充実強化」「緊急事態対応」「参議院の合区解消」の４項目を挙げ、「党内外の十分な議論を踏まえ、憲法改正原案を国会で提案・発議し、国民投票を行い、初めての憲法改正を目指します」としてきた。
総選挙から一夜明けた23日、AbemaTV『AbemaPrime』に出演した自民党ネットメディア局長の平将明氏は「そもそも自民党は自主憲法を作るためにできた政党なので、それは悲願ではある。しかし、３分の２の議席を取ったからといって『えいやでやってしまえ』ということにはならない。最終的には国民投票にかけられるので、我々も色々な議論をし、発信をして、多くの国民が『そうだよな、憲法を変えるべきだよな』と思える雰囲気を醸成できなければ、前に進められないと思う。自公のみならず、野党の人たちともコンセンサスを作る努力をするべきだと思う」と話した。
舛添要一・前東京都知事は自民党在籍時の2005年、自民党の第一次憲法改正草案の作成に関わっていた。第一次改正草案には「自衛軍」の創設が盛り込まれたが、昨今議論されている「緊急事態条項」はなかった。その後、2012年の第二次改正草案には、国防軍の創設だけでなく、武力攻撃、社会秩序の混乱、自然災害などの際に「緊急事態宣言」を出すことができると書かれた。
舛添氏は「第二次草案との違いは、与党の時に作ったということで、やっぱり本当に改正したかった。そうすると、公明党のオーケーをもらわないといけないし、３分の２議席もなく、ねじれ国会でもあったので、民主党の人たちのオーケーも得ないといけない。ものすごい議論をやって、相当慎重に党内をまとめたという記憶がある」と振り返る。
「一次の時は政権与党だったので、やろうと思えば数を合わせてできたが、かえって慎重だった。私が二次草案を判しているのは、何でも言いたい放題になっているから。粗雑過ぎる。本当にやろうと思った時には、力を持てば持つほど、権力があればあるほど野党とか他の人にはペコペコ頭を下げて、『これでどうでしょうか』と言わなければならない。『安倍さんは３分の２以上あるが驕っていない。野党の言うことも聞いてよくまとめてくれた』という風にしないと、国民投票はアウトだ。その意味で、安倍さんには"謙虚に"という姿勢を守ってほしい」。
舛添氏の指摘を受けた平氏は「選挙戦の最終日、安倍総理に自民党の番組に来てもらった。熱狂的な安倍支持者もいる一方、安倍さんに対して厳しい声もあがっていることをよく理解されていて"私の不徳の致すところだ"と言っていた。だから数をとったからといって、強引にやるなんていうことはあり得ない。選挙前までに我々が受けていた批判もある。我々が野党から与党になった時も、たまたま民主党がダメでコケたから政権を預からせてもらったが、まだまだ道半ばだということで5年前に安倍政権は始まっている。もう一度、その気持ちを取り戻そうというのが、安倍総裁はじめ我々の考え」と話した。
お笑い芸人・ウーマンラッシュアワーの村本大輔が「その辺で携帯を触っている女の子に"テロ等準備罪について説明して"と聞いても、"え、何それ？"というのがほとんどだと思う。とくに憲法みたいなものは、我々がおじいちゃん、おばあちゃんになった時のことまで考えてほしい。ころころ変えるわけにはいかない。未来の子どもたちのために、若者レベルまでしっかりと議論して変えてほしい」と訴えると、平氏は「最後の国民投票でしくじったら終わりなので丁寧にやる」と応じた。
憲法改正に向けたスケジュールはどのようになっているのだろうか。2019年７月に予定されている参議院議員選挙と同時に国民投票を行うというシナリオの場合、国民投票法の規定により、投票の60日から180日前に改正案を国会で発議する必要がある。つまり、与党は遅くとも2019年１月の通常国会冒頭で改憲案を提出、審議をしなければならないことになる。安倍総理は５月に私案を発表した際「2020年の施行を目指す」としていたもの、現在ではスケジュールで区切らないと述べている。
平氏は「全面改正ではないと思う。４項目のうち、どれからやるかという話になる。しかも2019年には新しい元号が始まる。そういった中でどれだけ国民の皆さんの間で憲法の議論が盛り上がるか、支持を得られるかという状況次第だと思う」との見方を示しすと、舛添氏は「環境権とか犯罪被害者の権利を守るとか、ほとんど誰も反対しないものを付け加えることから始めていく方法と、最初から憲法９条でいこうというのもある」と指摘した。
村本氏が「友達とか家族とかと語り合ったりして、学校とか会社で言わないと、『憲法９条改正って悪いことなのかな』というイメージだけで判断する。みんなで（考えたい）」と提案したように、選挙結果を受けて国民一人ひとりが議論に参加しなければならないだろう。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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