パブリックビューイングといえばスポーツや音楽などで行われる、会場外の場所で中継を楽しむものとして、日本でも広く知られるようになった。遠方のために、現地まで足を運べないファンにとっては、大人数で楽しめるものとして各地でも好評だ。将棋では以前から、パブリックビューイングに似た「大盤解説」という観戦イベントがある。タイトル戦などのビッグマッチを、タイトル戦が行われている会場の別室や将棋道場などで中継したりプロ棋士が解説したりする。対局の速報だけならネット中継やモバイルアプリでも情報を得られるが、大盤解説にはそれ以外の楽しさもある。
◆ネットやテレビでは見せない棋士の素顔が見られるかも
大盤解説ではプロ棋士のトークが楽しめる。大会場では、大勢の棋士が入れ代わり解説やトークをすることもあり、お得感も大きい。ネットやテレビの将棋中継は不特定多数の視聴者に見られ、情報もネットで拡散されやすい。それに比べ、大盤解説は多くの人が集まるとはいえ、限られた空間でもあることから、棋士も中継よりリラックスした状態で登場しているもの。解説者や対局者の裏話が披露されることもある。メディアに登場するのとは違う一面を見るのも楽しいだろう。
◆掛け合いや撮影・次の一手など盛りだくさん
ファンが指し手の質問をしやすいのも大盤解説の楽しいところ。適度に空気を読みながらタイミング良く棋士に手の質問をしてみると進行が楽しくなる。記念撮影・握手など出来ることもある。イベント中の撮影は禁止されていないケースが多いが、SNSへの投稿は主催者に確認してからの方が良いだろう。
また、始めから参加していると、次の一手クイズ大会にも参加できる。三択のような感じで進むので、初心者でも運がよければ勝ち進める。当選したり勝ち残ったりすると、扇子や色紙などのプレゼントをゲットできることも。棋士から商品を手渡されるのもうれしいポイントだ。
◆情報は将棋連盟のサイトなどで検索
大盤解説の情報は、日本将棋連盟のサイトや各タイトル戦などの中継サイトに案内が出ている。将棋道場や将棋クラブで開催することもある。参加費は1000円~2000円程度と安い。途中入場・退場もできる。終局が深夜に及ぶタイトル戦の2日目や順位戦の最終戦であれば、平日でも仕事が終わってから間に合うことも少なくない。
予約も必要ないため、気軽に会場に向かえるのもファンにとってはうれしいところ。女性の参加者も増えてきた。途中参加の場合、人気の対局であれば立ち見の覚悟も必要だ。
◆ネットやテレビでの観戦からステップアップを
「観る将」であれば、大盤解説の世界は、一度は体験しておくべきところ。リアルで解説を聞いた棋士が、AbemaTVや囲碁将棋チャンネルといった、専門チャンネルで解説するのを見た時、番組がより一層楽しくなっているのは間違いない。【奥野大児】
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