芸能人の浮気や不倫のニュースは頻繁に報道されますが、1つの家庭を壊しかねない浮気や不倫という行為は、道徳に反するものとして人々から批判される対象となっています。
筆者の友人で現在は中学校で教師をしているカヨ(仮名)は、大学生時代に不倫をしていました。今は教師という立場でありながら、一時期は道ならぬ恋にのめり込み「浮気や不倫の何がいけないの?」と首をひねっていたカヨ。当事者にしか分からない感情もあるものです。
出会い系アプリで出会った男性は既婚者 だけど「好き」が止まらない…
カヨが不倫相手となるタイガ(32歳・仮名)に出会ったのは21歳の大学生の頃。暇つぶしに登録していたマッチングアプリで知り合いました。2週間ほどメールでやりとりをして、初めて会ったのは平日の昼間のスターバックス。数時間で軽くお茶をする程度だったと言います。
カヨがタイガを初めて見たときの印象は「めちゃくちゃかっこいい……」でした。細身で高身長な男性がタイプのカヨ。身長186センチで薄めの顔立ち、まるでモデルのようなルックスをもつタイガは、お店でも浮くほどかっこよかったと言います。
会う前こそ「男と遊べればいいかな」と思っていたカヨですが、タイガを見た瞬間に「この人と付き合いたい!」と強く思ったそうです。奢ってもらったフラペチーノを飲みながら、カヨはある告白をタイガからされます。
「実は俺、嘘をつきたくないから先に言っておくけど……結婚しているんだよね。もちろん、もう奥さんとは冷めきっていて離婚するんだけど。今は奥さんの体調が悪くて……」
なんと、突然の既婚者宣言。しかしカヨはめげません。それどころか「じゃあ私、奥さんと別れた後の彼女として立候補しようかな」と伝えたのです。
「カヨちゃんみたいな子にそう言ってもらえると、癒されるなあ……。家庭は本当に地獄なんだよね。頑張って離婚しようって思ってるよ」
かくしてその後も、カヨとタイガは平日の昼間や夜などに時間をぬって短時間デートを重ねることになります。愛瀬を重ね、1カ月経った頃、ワンルームマンションのカヨの家にタイガが来ました。とうとうそこでベッドイン。大学生で比較的時間があったカヨは、タイガのスケジュールに合わせて生活をすることもたやすかったようです。
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(C)Bobby Goldstein Productions, Inc.
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観覧車のてっぺんでピンキーリングをプレゼント「未来の妻になってもらいたい」
正式に付き合っているとは言えない2人ですが、付き合っていないというにはあまりにもデートらしいことを重ねすぎた2人。カヨは、奥さんがいることは知っていたので、せめて「正式に彼女になりたい」と思うようになりました。
とはいえ、言葉にせずともタイガの愛情は感じていたと言います。デートを計画するのも食事をご馳走するのもいつもタイガでした。会えば「可愛い」「デートできてうれしい」と言ってくれます。
さらにタイガは奥さんには「会社だ」と嘘をついて有給をとり、カヨを遊園地デートに連れていってくれたのです。「有給なんてとるの、5年ぶりだよ」と話すタイガをカヨは心から信じていました。遊園地では観覧車に乗り、ちょうどてっぺんに差し掛かった頃、タイガはポケットから小箱を取り出しました。
「これ、プレゼント……」
そう言ってタイガが手にとったのは、ゴールドの指輪に小さなルビーのついたピンキーリングでした。
「薬指にはめるのは、もうちょっと先になるけど……。だからこれは約束の指輪だよ。カヨは彼女っていうより、未来の妻になってもらいたい人だから」
この言葉を聞いて、カヨは「天にも昇る気持ちだった」と言います。
カヨ、不倫ブログを開始「不倫の何がいけないの?」
タイガとの付き合いは順調でした。そして、タイガといて幸せだと思うたびに、カヨは奥さんのことを心から邪魔だと思うようになりました。
しかし、病気の奥さんと離婚する道のりは長いもの。覚悟を決めていたと言います。ある日、カヨは突然「不倫の何がいけないの?」と友達や知人に聞くようになりました。自分が不倫をしていることをペラペラと話し続ける姿は、筆者から見て少し異様でした。
さらに驚くことに、今度は不倫ブログを立ち上げ、カヨは自分のSNSでタイガのことを公開し始めました。不倫ブログにはつらつらと…
「好きになっちゃったら気持ちに嘘をつけないししょうがない」
「不倫されるほうにも問題がある」
「なんで不倫をしている人ばかり叩かれるのかわからない」
などと書かれていました。
しかし驚くのはそれだけではありません。ブログには、彼と自分のツーショット写真も掲載するようになったのです。もちろん、タイガにブログのことは話していないので、顔の部分はスタンプで加工して隠していましたが、服装や髪形からなんとなく2人の雰囲気は分かってしまいます。
不倫ブログに反響殺到 ブログが奥さんに見つかり……
写真も掲載することで、カヨのブログには多くの人が訪れるようになりました。そしてこれがきっかけとなり、カヨの不倫はタイガの奥さんにバレてしまいます。タイガから突然「もう会えない」とメールが届き、それ以降、ブロックされてしまったカヨ。カヨは信じられず、友達のスマホを借り、タイガに電話をかけ続けました。
電話に出たタイガは腹を立てたような電話口で「なんでブログなんて書いていたの? あーもう頼むから消して! 今離婚するとか言われてマジで困ってるから。もうお前とは会わないし、これ以上連絡してくるなら弁護士を呼ぶ。お前が慰謝料を請求されるかもしれねえよ」と一方的に言い、電話を切られてしまいます。
当時は学生だったカヨ。弁護士や慰謝料という言葉を出されたらどうしようもありません。また、親に不倫がバレることも嫌だったので、ショックを受けましたが、おとなしくタイガのことを諦めたと言います。
その後、失恋の痛手を負ったカヨは恋愛には目もくれずに勉強にひたすら打ち込み、教員採用試験に合格。大学を卒業し、中学校の先生になりました。「やっぱり私、間違っていたあのとき頭おかしかったよね」そう言って笑うカヨは、よっぽどトラウマになったのか、タイガと別れて以来彼氏ができていません。しかし「今は仕事が忙しくて。やりがいもあるし。あのことがなかったら先生になれてないかもしれないし(笑)」と、満足げに話すのでした。
(ライター/小林リズム)