衆院選に立候補した235人のうち、当選したのは50人という大惨敗に終わった希望の党。細野氏とともに立党に奔走するも、小選挙区では3位と低迷、比例でも復活できず、政界引退を表明した若狭勝氏は今、何を思うのか。4日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』では、小池劇場"激動の40日間"を最側近として過ごした若狭氏を直撃した。
「今は自由な立場で物が言えるということで、、かなり清々しい顔をしていると思う」と笑う若狭氏。
有権者にとって驚きだったのは、当初は若狭・細野氏が共同代表に就任するはずと思われた希望の党の代表に、小池氏が突然名乗りを上げたことだろう。小池氏の独自の動きについて、若狭氏と細野氏が知らされたのも「9月25日の記者会見の直前だった」という。
「当初、小池さんは"国政については若狭さんに任せる"としていた。準備を進めている中、細野さんが離党してこられたので、私と細野さんが共同代表、小池さんも共同代表か顧問という枠組みを考えた。小池さんもこれに納得している雰囲気だったが、9月25日の会見で小池さんが"リセット"という言葉を使った。これはあくまでも私と細野さんが共同代表をする枠組みをリセットするという意味であって、小池さんが自ら代表を務めるのであれば、期待も高まることだし、私に何ら違和感がなかった。しかし、私と細野さんに不満があり、二人をはじき飛ばして自らが代表をするのだと皆さんに受け止められてしまった」。
■「排除」「踏み絵」残念だった
有権者に違和感が広がる中、流れが決定的に変わったのは、前原代表が全員の合流を望んでいた民進党議員についての「排除」発言だった。若狭氏も「あれからジェットコースターのような形になった」と振り返る。民進党から合流した泉氏は「三権の長経験者はご遠慮いただきたい、という発言も含め、もしかしたら全員は行けないかもしれないなという雰囲気はあった。当初、希望の党への民進党の合流が報じられたときは、安倍対小池、政権選択選挙という位置づけになっていたのに…」と悔やむ。
民進党代表の大塚耕平・参議院議員が「テレビで見ていて、潮目が変わるなと思った。96年に民主党が一部議員の参加をめぐって"排除の論理"といういう言葉を使ったが、当時のことをご存知の方がアドバイスしたんじゃないかと想像した」と話すと、若狭氏もその事実を認め、「強すぎる表現だと思った。小池さんは"民進党の全員が合流"というのを強く否定する必要性を感じていたために、"全員を受け入れることはさらさらありません""排除します"と、きつい表現をしてしまった」とコメント。
「ただ、基本的な考え方が一致している人同士で党は作るべきだと、小池さんも私も徹頭徹尾言ってきた。もう少し穏やかな表現をすれば良かった。今も、"あのとき全員を受け入れていたら、選挙の結果は違ってたんじゃないの"と言われる。しかし、もう一度同じ状況に置かれたとしても、全員を受け入れることはやはり難しいのではないかと思う」。
そして、希望の党への合流を希望する議員に対する、いわゆる"踏み絵"もマイナスに働いた。しかし泉氏は「最初に政策協定書の原案が出た時は踏み絵だと思った。しかし、僕らのところに届いた時には、非常に玉虫色のものになっていた」と話す。
これについて若狭氏は「最終版は、私としては前原さんの考え方を踏まえた"共作"という思いで作ったものだ。ただ、それをFAXで流して、明日の朝までに署名しろと一方的にやってしまった。受け手としては圧迫感を感じ、踏み絵のように感じたのかもしれない。時間があれば、面と向かって協議して、"そういう考え方なら乗り越えられるね"といったやり取りもできたと思うが、書面だけでやらざるを得なかったのが残念だった」と後悔の念を滲ませた。
泉氏は「本当にきつかった。次の日の朝9時までに離党届を出して政策協定書にサインしてくださいと言われても、そんなに簡単に出せるものではない。むちゃくちゃ辛かった」と、当時の様子を生々しく語った。
■「小池氏出馬の可能性はないと思っていた」
希望の党への逆風が吹き始める中、それでも前原氏は小池代表の衆院選出馬を強く要請した。しかし、結果として小池氏が立候補することはなかった。公示直前まで小池氏の出馬論が囁かれる中、若狭氏は「(小池氏が出馬するのは)次の次」と発言してしまう。「候補者名簿に小池さんの名前がない時点で、高まった期待もしぼんでしまう。それで選挙を戦うのはリスキーだということで、戦略的に"次の次"発言をした。私は一度たりとも小池さんが出ると言ったことはないし、出馬の可能性もないと思っていた」。
大塚氏が「周囲でアドバイスしていた人たちの考えが的を外したということではないか」と指摘したのに対し、政治評論家の有馬晴海氏は「周辺の人が入れ替わり、外部から違う人が入ってきて取りまとめた」とし、衆院選前後の小池氏周辺の様子について泉氏は「"ブラックボックス"という言い方はキツいが、とくに関西が地元の私にはそのくらい遠い存在で、決定についてもわからないことが多かった。僕は3万円払って写真も撮ってませんし(笑)」と話した。
若狭氏が「政党の立ち上げは、企業の創業と同様に引っ張っていく人いなければ成長しないという面がある。そういう面を独裁と見るかどうか、仕方がないことと見るかどうかだ。ただ、ある程度安定してきたら、皆の総意の下で動かしていかないといけないと思う。小池さんが戦略家であることは確かだが、失敗する時もある。誰でも十戦十勝は難しい」と話したのに対し、大塚氏は「国民の中に、いずれは女性総理を誕生させたいという気持ちがあるだろう。その点で、小池さんは引き続き潜在的な初の女性総理候補だと思うし、これからも重要な政治家であることには変わりない」とコメントした。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)