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 先週、上昇を続けた日経平均株価。7日(火曜日)には、1996年6月に付けたバブル崩壊後の最高値を更新。日本経済の"失われた20年"が取り戻せるかとマーケットに期待が高まる中、9日には一時2万3000円を超え、1992年1月以来、およそ26年ぶりの高値を付けた。

 大和証券グループ本社の中田誠司社長は「きょう2万3000円台に乗せたのは26年ぶりということは、26年前(以降)に入った社員は未体験ゾーンに入っているわけだ。今のこの流れで行けば、デフレ脱却というのはかなり近い時期に来ているんじゃないか」とコメント。消費者と直接向き合う百貨店業界の三越伊勢丹の杉江俊彦社長は「インバウンド(外国人旅行者)だけではなく、日本人のお客様にも非常に動きが出てきている。特に富裕層のお客様と、それから若い20代のお客様も消費にもう一度目が向いてきているという状況もある」と話す。

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 経済評論家の川口一晃氏は「2000年の高値が2万800円、ITバブルの頃。さらに2015年には2万900円台の高値があって、これまで何回もチャレンジしたけれど、2万1000円を超えることはなかった。その超えられないだろうと誰しもが思っていた壁を26年ぶりに超えてきたというところで皆が驚いた。とくに20代~30代の人たちは、ここまで上昇するのを経験したことがないから、驚いているだろう」と話す。

 川口氏は株高の前提として、世界的な"カネ余り"があると指摘する。「2008年のリーマンショック以降、世界各国がいかに経済を立て直していくかという中で、先進国がゼロ金利に近い低金利政策の金融緩和し、それが10年近く続いた。そのため、世界中で利益が出そうなマーケットに資金が流れていた」。

 その上で、今回「世界的な好景気(NYダウも最高値)」「日本企業の業績が好調(好決算相次ぐ)」「政治の安定(総選挙で自民圧勝)」「投資家心理(2万1000円超の意味)」の4点が株価を押し上げたと話す。

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 「世界経済が底固く推移している。昔は7%程度の成長率だったので、それと比べれば低くはなっているものの、3%くらいの経済成長をしていると言われている。世界経済のけん引役のアメリカ経済も好調で、NYダウも連日のように最高値を更新している。そうすると、アメリカ経済と密な日本の株価が上昇するのではという連想も働く」。

 そんな日本株の株式保有比率は、外国人投資家が30.1%(2016年度末)を占める。このことについて川口氏は「投資の世界はグローバルで動いている。例えばアメリカの株を何割、ヨーロッパの株を何割、日本のマーケットの株を何割、と分散投資している。その中で日本株の比率が技術力の向上とともに上がってきている」説明した。

 そんな日本企業の業績も好調だ。「ちょうど中間決算の発表が続いているが、上場企業の7割以上が増益で、4年ぶりの高水準とも言われている。マーケットにとってはプラス材料だ」。さらに、「先日の衆議院選挙で与党が勝って、安定多数を確保した。マーケットというのは政治・経済政策の安定を好み、政策実行にもつながっていくだろうという期待感がある」。

 一方、10日になり、株価は一時300円以上値下がりした。トランプ大統領が発表した減税案が9日になって延期されることがわかり、アメリカ市場の株価が下落。その影響などを受けた形だ。

 「株を持っていなくても証券会社から借りて売ることができる信用取引をしている個人投資家たちが"これ以上は上がらないだろう"と株を売った。ところがそれを超えてしまい、売った株価が上がると損が増えていくので、慌てて買い戻す。それが株価上昇の手伝いをしてしまう、ということが起こる。ただ、2万3000円を超えた所で利益を確保しようと売りにきている人も多く、下がったのではないか」。

 それでも強気な観測もある。「日経平均(株価)は2020年に向けて4万円になると考えている」と語るのは、投資信託会社のチーフ・エコノミスト・清水孝章氏だ。清水氏は「わかりやすく言えば、株価は利益と投資家の人気を掛け合わせたものだ。今この利益と人気の両方が上がっている。これまで日本企業は利益もある程度あったが、人気が特になかった。けれど今は利益が過去50年間で最高。かつ人気も戻ってきているということで、1996年の2万2600円を超えて、戻ってきている」と説明した。

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 この株高はいつまで続くのだろうか。川口氏は「本当に景気回復を示して順調に上がっているのか、それともバブルに近いのか、という二者択一の答えを求められるのであれば、バブルに近い。今の値動きは、86~87年の、バブル期の最初の助走段階に近い。この時の日本の経済成長率は86年が4%、87年が7%だった。株価というのは経済成長率、物価上昇率の2倍から3倍ぐらいの上昇率で動く。今の経済成長率は1%。物価上昇もだいたい1%。この乖離を考えると、バブルに近い動きがあるのでは」との見方を示した。

 そして当面の注目材料としては「トランプ政権と米経済」「賃金、物価の動向」「北朝鮮情勢」を挙げた。さらに「FRB(米連邦準備理事会)議長が(イエレン氏から)パウエルさんに代わる。FRBの議長が代わると金融的に大きな動きがある。手腕が問われるので、見極めていかなくては」と話す。

 この株高の波に乗るべきなのだろうか。「株を買いたいと思ったら、少し待った方がいい。バブル的な要素があるので、もう少し落ち着いたところで株を買った方がいい。投資したくてしたくてしょうがない、でもおカネはそんなにかけられないという方は積み立てをお勧めする。積み立てというのは、株の積み立てもあるし、投資信託もあるし、金の積み立てもある。毎月3000円から5000円の少額から始められる。下がってくれば、毎月たくさん買うことになるし、上がって高くなれば買わない。これを毎月同じ金額を積み立てることによって、どこから始めても効果は出てくる」とアドバイスをした。また、川口氏は注目銘柄として「電気自動車関連」と「設備投資関連」「半導体関連」を挙げた。そして、今後注意すべき点について「アメリカの景気。そしてアメリカは金利を上げてきている。金利が上がるとお金の流れが変わるので、ここは一番注目していないといけない」との考えを示した。

 経済界が好景気を感じる一方、街では「株価が上がると基本的に心理的に財布のひもが緩むから、それで消費が上がってくれたらなと思う」、「上がっていることは喜ばしいが、上がりすぎていつ下がるのだろうというドキドキ感みたいなものは常に持っている。生活している中で景気が上がっているなというのはあまり感じないかな、というのはある」といった意見が聞かれた。

 企業利益は低成長ながら上昇し、株価も上昇しているが、肝心の冬のボーナスはどうなるのだろうか。厚生労働省は小幅ながら3年ぶりに増加すると予想した。その反面、経団連は今週、一次集計を発表し、5年ぶりに前年を割り込むとしている。実際、大手企業は前年比1.19%減となっている。

 これについて川口氏は「増益率は減っているので、慎重になっているのだろう」と推察。経済評論家の上念司氏も「高度経済成長期のような年間所得の急激な上昇は期待できないが、じわじわ上がってはきている」と指摘している。

 また、雇用形態による賃金差が2011年と2016年で比べて、正規雇用の増加率は2.85%、非正規雇用は8.11%という結果については「最低賃金をどんどん上げようという動きがあり、同じ仕事であれば正規社員であっても非正規社員であっても同じ金額を得られるという方向で進んだ」と指摘。その背景について川口氏は「1つ目は、経営者がリーマンショックのような大きな金融危機がやってきた時に会社を守らなければという意識をもっている。2つ目は株式会社である以上は株主に還元しようと、株主の利益を優先している。3つ目は労働組合の動きが賃上げ要求よりも雇用確保に力点が置かれている」と説明した。

 日経平均株価が今後、どのような推移をみせるのか、注目だ。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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