
2018年2月3日、女優・広瀬アリスが主演を務める映画『巫女っちゃけん。』が公開される。福岡県の宮地嶽神社を舞台とした同作品。神社の娘で腰掛け巫女をしている“しわす”は、ひょんなことから神社に迷い込んできた5歳の少年・健太と出会い、彼の面倒を見ることに……。さまざまなトラブルに巻き込まれながらも2人が成長していく姿を描いていく。がさつで自由気ままな主人公・しわすを、見事に演じ切った広瀬アリスさんに、作品に対する思いを語ってもらった。
しわすに共感「普段から私、あんまり女の子っぽくないんです」

――今回の作品はオーディションがあったそうですが、主役のしわすを勝ち取ったときの感想を教えて下さい。
広瀬アリス(以下、広瀬):素直にうれしかったです。映画のオーディションを受けるのは久しぶりでした。なので、緊張しすぎてオーディションの最中のことは覚えていないです。
――台本を読んだときにはどのような印象を持ちましたか?
広瀬:しわすの、パワープレイな感じとか、ガッツがある性格に共感が持てて、自分にピッタリの役だなと思いました。普段から私、あんまり女の子っぽくないんです。
健太と東京国際映画祭で再会「ちょっと成長していて悲しくなりました」

――ハマり役という感じだったようですが、演じていて苦労する点などはありませんでしたか?
広瀬:去年の夏に撮影したので、暑さに耐えるのが大変でした。
――巫女の姿で、真夏の撮影というのは大変ですね! とくに暑かったシーンはどこでしょうか。
広瀬:健太(山口太幹くん)を抱きかかえて走るシーンがあるのですが、暑くて大変でした。4分くらいダッシュしたんです。彼も「暑いね」と言っていて、一緒に頑張りました。あのときは、本当に運動部でよかったなと思いました。
――実際のシーンを見ると涼しい表情に見えましたが、やはりしんどかったんですね。
広瀬:あのとき、彼が7歳だったので。やっぱり7歳の男の子を抱きかかえて走るのは相当体力がいりました。
――でも健太くん、可愛かったですね!
広瀬:もうすごく可愛くて。お菓子をあげたり、反対にお菓子をもらったり、一緒に散歩したり。とても仲良くなりました。可愛いだけじゃなくて、彼はすごいんですよ。監督から言われたことをすぐに飲みこんで、一発で決める。なんでもできる、すごい子だなあと思いました。
――とくにすごいなと思ったのはどんなシーンですか?
広瀬:監督は、基本は自由に演技をさせてくれるんですが、彼が抱えているトラウマの部分などは細かく説明していたんです。難しい部分もすぐに理解して演技に反映していて、スーパーボーイだなと思いました。
――その後も、交流は続いていますか?
広瀬:東京国際映画祭のときに再会して。ちょっと成長していて悲しくなりました。身長だけでなく「おいで」って言ったら「行かない」って、恥ずかしがったりして(笑)。
二礼二拍一礼に自信「いつそのような場がきても完璧です!(笑)」

――ほかにも共演者のかたとの印象的な思い出はありますか?
広瀬:リリー・フランキーさんがお父さん役だったんですが、カメラが回っていないときでも、あのままの姿でいることが印象的でした。自分のペースを崩すことなく、いつも余裕があるというか。役者としては大切なことだと思うので、参考にしたいです。
――お話をする機会は?
広瀬:妹が以前に共演していたので、まずは「似ているね」と言われて。今回の映画の話だけでなく、妹との話なども聞くことができました。
――巫女仲間とはカメラが回っていない時にも交流がありましたか?
広瀬:みんな同世代なのですごく仲良くなりました! これまで自分が一番年下という現場が多かったので、新鮮でした。神社でイベントがあってそこに4人で行って、お肉を食べたりして。
――リアル巫女女子会ですね! すぐに打ち解けられたんですか?
広瀬:はい。クランクインの1週間前にみんなで現場に入って、所作や舞の練習をしていたので。ひたすら練習をして一緒にいる時間も長かったので余計仲良くなれたと思います。みんなで巫女姿の写真撮ったりもしました。
――巫女としての所作は身に着けるのが大変そうですね。
広瀬:勉強になることがたくさんありました。座るときの足の崩した方とか、お礼をするにも、三種類あったり。私が当たり前だと思っていた風習が間違っていて、驚くことがたくさんありました。その代表が二礼二拍一礼です。お辞儀の角度とか手の叩き方とか、細かく決まりがあるんです。たくさん練習したおかげで自信をもってできるようになりました。いつそのような場がきても完璧です!(笑)
――自由気ままな演技や、きちんとした所作を行っている演技など、いろんな広瀬さんを見ることができそうですね!
広瀬:新しい広瀬アリスを感じてもらえたらうれしいです。
挑戦したいのは悪役 嫌われても「ぜんぜんOK」

――今回は巫女というちょっと変わった役にチャレンジされましたが、今後演じてみたい役があったら教えてください。
広瀬:悪役がやりたいです! これまでは等身大の役柄を演じることが多くて。あとはバラエティでキャッキャしている姿をみなさんに見てもらっていることが多いと思うので(笑)。今まで作ってきた広瀬アリスを崩したいです。その役が印象的すぎて、テレビに出たら嫌悪感を持たれちゃうくらいの。
――役柄の性格が悪すぎて、広瀬さん自身が嫌われちゃっても?
広瀬:ぜんぜんOKです!
――楽しみですね。最後に『巫女っちゃけん』を見るみなさんにメッセージをお願いします。
広瀬:生きているとうまくいかないときってあると思います。そんなとき、優しく「大丈夫だよ」って言ってくれるような作品だと思います。すべての世代の方に見ていただいて、“うるほっこり”してもらいたいです。海外のかたにも見てもらって、日本にもっと興味を持ってもらう機会になったらうれしいです!
――ありがとうございます!


インタビュー・テキスト:氏家裕子
写真:岡田誠
スタイリスト:多木成美(コンテンポラリー・コーポレーション)
ヘアメイク:宮本愛
この記事の画像一覧
