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 3回目の宇宙飛行が決定した野口聡一さんが所属するJAXA。日本の宇宙開発を担う茨城県つくば市の筑波宇宙センターでは、どのような研究がなされているのか、取材した。

 日本の宇宙開発は、1970年の人工衛星「おおすみ」打ち上げに始まる。1994年には100%国産技術による「H2ロケット」の打ち上げに成功。これら日本の宇宙開発を牽引してきたのが現JAXA・宇宙航空研究開発機構だ。JAXAが打ち上げ、現在稼働している衛星は16機、そのうち15機が国産だ。

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 広報部の多田永氏は、その成果とわたしたちの生活との関わりについて「昔のひまわりの映像から比べると、今の人工衛星の映像って格段にきれいになっている」と例を挙げる。気象衛星「ひまわり」は民間企業と協力しながら開発を進め、データ取得の頻度向上、映像のカラー化も実現。今では雲の厚さまで観測が可能になり、より細やかな予報ができるようになった。また、衛星「だいち2号」は地表を観測し、地図作成や災害状況の把握に活用されている。「震災が起こる前の画像も撮ってあるので、『こんな風に変わってしまっている』と分かる」(多田氏)。

 今、とりわけ我々の生活と密接に関わりがあるのがGPSだろう。衛星「みちびき」の技術は自動車や農業機械の自動運転への活用も期待されているが、これも独自で開発した衛星を自由に使えるからだ。

 JAXAの開発予算はその巨額さゆえ、民主党政権時代には行政刷新会議、いわゆる"事業仕分け"で削減されたこともある。多田氏は予算をかけてでも宇宙開発を続ける意義について「技術開発を辞めるのは簡単だと思うが、継続して新しい技術を習得していくのは難しい。大型ロケットが急に作れるわけではない」と、継続による技術の蓄積が大切さを訴える。

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 宇宙飛行士の野口聡一氏さんは「でも、宇宙に使っているお金はNASAの10分の1程度」と話す。実際、2017年度のJAXAの年間予算が1537億円なのに対し、アメリカのNASAは単体で1.5兆円、ヨーロッパは5000億円、ロシアは3000億円、中国は2000億円、インドは770億円となっている。

 しかし、しばしば指摘されるとおり、アポロ計画以降、月面着陸は行われていない。これについて野口さんは「アポロの後にアメリカ・ロシア(ソ連)が何を考えたかというと、ロシアは『より長く宇宙にいよう』と住むことを研究した。アメリカは『もっと多くの人を宇宙に運びたい』と考え、アメリカは7人乗りのスペースシャトルを作り、毎月のように宇宙に行けるようにした。"遠くへ遠くへ"の時代がアポロの時代、それ以降は『より多くの人がより長く宇宙にいる』ことを目指す方向に宇宙開発は進んでいった」と説明する。

 ただ、中国なども宇宙開発競争に入る時代、「2020年代に入ってからは各国が月に向かう時代になると思う。アメリカが新しい宇宙船を作っている。新型宇宙船の先にあるのは月面、そして火星。指摘の通り、中国は月を目指すだろう。アメリカの民間の宇宙関係者は『放っておくと中国の旗を立てられてしまう』と表立って言う人が出始めている。中国が行くときは資源のために行くだろう。彼らは資源を取りに行くから気づいたら全部中国の旗が立っているということがありうる、と警鐘を鳴らす人もいる」と野口さん。

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 2016年にはアメリカ・ロシアの補給機が打ち上げに失敗する中、アメリカの物資も積んだ日本の無人補給機「こうのとり」をISSに無事到着させるなど、自前のロケットと衛星で実績を積んできた日本の技術は海外でも注目されている。今や300兆円規模と言われる「宇宙産業市場」において、日本の国産衛星は海外からも受注。外貨獲得の一端を担っているのだ。

 日本の宇宙開発の強みについて野口さんは「一つはロボット技術との組み合わせ。ITも強いから、取り込んで使っている。アメリカではちょっと前まで有人計画やISSは『金食い虫』と言われていたのが、今や『金のなる木』と言われている。製薬会社や新しい材料を作る企業がどんどん入ってきている。企業の観点から言うと、ISSに投資するのは費用対効果上、意味がある。ここから数年は、ISSから出てきた技術が民間にでてくるのではないか」と話す。

 気になるJAXAのお給料にについては「今はJAXAの職員、研究開発法人の給与規定に従って給与を頂いている。危険手当に相当するものはついている」と教えてくれた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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