
乳房のついたシリコン製のスーツで全身を覆い、メイクが施されたシリコンマスクを被って、女性の“人形”になりきる趣味を持つ男性たちの団体「フィーメイル・マスキング」。実はヨーロッパを中心に全世界で数千人もの愛好家がいる。
そんな男性たちに迫るドキュメンタリー番組『女性の人形になりきるフィーメイル・マスキングの世界 他』(VICE)では、女性の人格を生きるそれぞれの“想い”についてインタビューを行っている。
シリコンスーツで人形になりきって楽しむ文化は、80年代に『バットマン』でマスク制作を担当したイギリス人男性が女装用マスクを制作したことから始まった。インターネットを通じてこの文化が急速に広がり、全世界に愛好家たちを生み出したと言われている。
オランダに住む愛好家の男性は「もともと自分の顔が好きではなかった。別の人間になりたかった」と、人形になりきる生活を始めたきっかけを明かす。幼少期に姉から女の子の服を着せられた経験も相まって、「美しい女性の姿」でいることに喜びを感じるようになったそうだ。
父親から厳しくしつけられ“男らしくあること”を強要されて育ったことが引き金になったと語るのは、ドイツに住む50代既婚者の愛好家。愛情を求めた結果、自分の中に女性の人格が生まれたそうだ。年に数回、人形になった状態でイベントを出歩くことで自由を感じているらしい。
人形になりきるために必要なシリコン製のスーツやマスクは、ウィッグや衣装などのパーツ数にもよるが、5000ユーロ(約56万円)ほどが相場だという。一見高額にも思えるが、変身願望を叶えるための必要経費だと思えば安い買い物なのかもしれない。
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