米トランプ大統領が6日、エルサレムをイスラエルの首都と認定すると発表したことを受け、バレスチナ自治区の各地で抗議デモが起こっている。
7日、ベツレヘムをはじめパレスチナ自治区の各地で抗議デモが起き、イスラエルの治安部隊はデモ隊に催涙弾やゴム弾を発射するなど、少なくとも100人以上がけがをしたという。8日はイスラム教の金曜礼拝が行われるため、礼拝後により大規模な衝突に発展する恐れも懸念されている。
そもそも「エルサレム」とはどういった場所なのか。エルサレムは中東の一国イスラエルの中心辺りに位置し、パレスチナ自治区内にある都市。1980年、イスラエルはエルサレムを「首都」として宣言したが、パレスチナが将来の独立国家の「首都」と主張し対立。国連は「国連管理下の国際都市」として明確な判断をしていなかった。
エルサレム内はさらに東と西に分かれ、東側の旧市街にはキリスト教徒地区の「聖墳墓教会」、ユダヤ教徒地区の「嘆きの壁」、イスラム教徒地区の「岩のドーム」と“3つの聖地”がわずか約500m四方に集中している。
宗教的に難しい地域でもあるエルサレムについて、過去14回訪れているというアーサー・ホーランド牧師は「緊張感が凄まじい場所」と話す。「多くの巡礼者にとっては聖地、自分の魂の故郷。エルサレムは『神の都』『平和の都』と言われ世界各国から人がやってくるが、旧市街あたりは特に緊張感がある。みんなパレスチナ地域の問題と融合して生活している」。
またトランプ大統領が5月、現職大統領として初めて訪れた「嘆きの壁」について、「ユダヤ人が祈りを捧げる場所。嘆きの壁はもともと“ユダヤ教神殿の壁”だったとされている。7世紀初頭に東ローマ帝国によってこの神殿が破壊されてしまった。つまり“嘆き”とは、ユダヤ教徒たちがその神殿を『再建したい』『再建されるように』という祈りのことを指している。そして現在ではその神殿があったとされる場所にイスラム教の聖地である“岩のドーム”がある」と意味合いと背景を説明した。
今回、エルサレムが首都と発言されたことで、多くの国がテルアビブに置いている大使館を移動する可能性がある。それについては「宗教的な違いがあって主張しあっている場所。みんなそういう緊張感の中で生活している。大使館がエルサレムに来ると、パレスチナの強硬派の人たちがだまっていないだろう」と懸念点をあげた。
また、トランプ大統領の「首都認定」発言については「パンドラの箱を開けてしまったという感覚。ユダヤの人たちとパレスチナの人たちがお互い話し合って決めていかなくちゃいけないことを、アメリカがしゃしゃり出ている。一筋縄でいかない場所」と指摘した。
来年2月にエルサレムを訪問予定のアーサー牧師。「エルサレムは美しく自然もあってすごくいい場所。国・神・国民が合体している場所だから、価値観の違いとプライドがある。そのプライドのぶつかり合いを解消するのは本当に難しい。妥協しないというよりも神を信じている大きな心で、適応していく世界を見出して欲しいと僕は思う」と平和的な解決を主張した。
(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)