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 北海道の松前小島に漂着し、海上保安庁などの立入検査を受けていた北朝鮮の木造船が8日の午後3時半前、突然逃走を図った。緊迫の逃走劇を捉えた映像を見ると、木造船に海上保安庁のボートが追いつき接近、しかし次の瞬間、木造船は向きを変え加速。海上保安庁のボートもの横にピッタリとつけ、並走を開始する。そこへ海上保安庁の巡視船が到着、マイクや拡声器で止まるように呼びかけた。逃走から約1時間後、木造船はロープで繋がれ、再び元の位置に曳航された。

 この木造船をめぐっては、30日に海上保安庁が立ち入り検査をしたところ、松前小島の小屋にあった家電製品などを盗んでいたことが判明していた。その被害総額は1000万円近くにものぼるという。9日朝になり、海上保安庁の船に曳航された木造船は函館市の函館港に到着。北海道警が乗組員のうち船長など3人を窃盗の疑いで逮捕した。

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 元経産官僚でコンサルタントの宇佐美典也氏は「その国の法律はその国民に対して適用されるものだが、外国人がその国で罪を犯したら、条約関係に基づいて国内法で裁く」と説明。その上で、「北朝鮮はすぐに処刑してしまう国なので、自分たちの命が危ういと思って逃げてしまったという可能性もある。また、脱北者の書いた本を読むと、契約という概念を韓国に行ってから始めて知ったという人も多いようだ。共産圏なので、所有権という概念を持っておらず、そもそも窃盗という意識があったのかどうか分からない」とコメントした。

 また、東海大学の山田吉彦教授は今回の逃走について、「問題の船が逃げ続けるのは不可能だっただろう」との見解を示しているが、仮に木造船が逃げ続けた場合、海上保安庁、自衛隊は次のような行動を取ることになっている。

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(1)領海侵犯をする船に停船を呼びかけ、強行接舷を試みる。

(2)武装の可能性があれば射撃警告や威嚇射撃をする

(3)強力な武装、高速で逃走など防衛大臣が「海上警備行動」を発令し、海上自衛隊が警告射撃などをする。ただし、ルール上は警察的な行動に留まる。

 実際に、1999年3月には能登半島沖で北朝鮮の不審船に海上保安庁の巡視船が警告射撃をし、さらに海上自衛隊に初めて海上警備行動が発令され、警告射撃などを行った事案が発生している。

 山田教授は「逃げるということは何らかの秘密を持っている可能性がある」「沖合で母船が迎えに来る可能性があった」との見方を示す。ただ、海上保安庁に確保された時点で、母船は逃走しているはずで、日本側が無線を傍受していることから、母船と連絡を取った上での行動でもないのではないかと推測している。

 現在、警察で取り調べが行われている乗組員の証言が注目される。

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