SCOOBIE DO・オカモト“MOBY”タクヤです。今回は前回に引き続き、移動日に訪れた名店をご紹介します。
我々SCOOBIE DOがいつもお世話になっているCave-BeやClub Quattro、数年前に店名がナミキジャンクションから変更されたSECOND CLUTCHなど、広島市にあるライヴハウスは、基本的に繁華街として知られる流川(ながれかわ)や八丁堀周辺にあり、ホテルもその周辺を手配し、終演後の打上げはお好み焼き・鉄板焼きのお店に流れるのがデフォルトであります。
目の前で焼いてもらう海鮮やお好み焼きも文句なしにおいしい。ですが、広島はそれだけではありません。市内を張り巡らしている路面電車、市電に乗って繁華街から離れたローカルエリアに足を伸ばすと、また非常に味わい深い酒場が待っているのです。今回はその中でも名店と称される「ぎょうざの美和」をご紹介しましょう。
▼過去記事
・【連載】大衆酒場大学・1コマ目 “大衆酒場”の原点、早稲田「やきとり一休」
・【連載】大衆酒場大学・2コマ目 開店前から常連が鎮座、高知「葉牡丹」
・【連載】大衆酒場大学・3コマ目 創業明治40年、名古屋の情緒あふれる「大甚 本店」
・【連載】大衆酒場大学・4コマ目 料理も人柄も極上の味付け、北海道「居酒屋 伏見」
・【連載】大衆酒場大学・5コマ目 祐天寺で出会う特製カクテル、生ピーマン…居酒屋「忠弥」
・【連載】大衆酒場大学・6コマ目 白い割烹着の美人女将に会いに…伝説の居酒屋、仙台「源氏」
「ぎょうざの美和」
繁華街の八丁堀エリアの駅からは1番(オレンジ)、広島駅からは5番(緑)の市電に乗って共に約30分。宇品三丁目という駅を降りると直ぐに目を引くえんじの暖簾に、80年代に流行った丸文字っぽいフォントで美和の文字。レコードならば思わずジャケ買いしたくなるような佇まい。屋号におもいっきり”ぎょうざ”と書いてあるから餃子専門店かと思ってしまいますが、中に入るとその様子が全く覗えません(笑)。
長いカウンターに並行して、ところ狭しと並べられている肴の数々。そして一番奥には餃子をひとつひとつ黙々と作っている女将さんの姿。カウンターの中では恐らく息子さんであろう若大将とアルバイトの皆さんがテキパキと働く姿。見た瞬間、「あ、これは間違いない」と思いましたよね。
餃子屋としてスタートしたつもりが、お品書きがドンドン増えて居酒屋になってしまった、とのことだそう。ホワイトボードには瀬戸内の魚を中心とした刺身、焼き物、珍味など今日のおすすめがズラリと記され、冷蔵庫の中から見える地酒の銘柄も豊富。隣のカウンターを見るとカップル、友人同士、仕事仲間、独酌の方などさまざま、そして皆さんいろいろなものを頼んでいらっしゃる。中には自分で餃子定食風にして食事をしているお客さんも。どうやら二階もありそちらも盛況、外には餃子の持ち帰りを注文するお客さんもいます。
まずは看板メニューの焼き餃子と大好物のしめ鯖でスタート。あっさり餡がカリカリに焼かれた皮に包まれた焼き餃子は文句なし。しめ鯖も言わずもがな。もう一品、何が良いかとホワイトボードを見たら「世羅松きのこ」という見慣れない文字。天ぷらにして頼んでみたところ、これがまた良かった。味と香りがほぼ松茸、そして食感はエリンギ。それで一人前600円。どうやら広島ローカルの品種だそうです。そしてシメはラーメンを。見た目も味もしっかり広島マナー、ボクの中での通称”ライト豚骨”な一杯です。
いやー、この「ぎょうざの美和」一軒で起承転結がついてしまいました。ハシゴする欲が全く湧いてこなかった……。この日はこれにて打ち止め、ホテルの部屋に戻って風呂入って日付が変わる前に就寝してしまいました。
■文・写真/オカモト”MOBY”タクヤ
結成22年を迎えたロックバンド、SCOOBIE DOのドラマー。2006年には自主レーベルを立ち上げマネージャーも兼任。ドラマーとしても数多くのレコーディングに参加。DAZNでのMLB解説、FMおだわら「NO BASEBALL, NO LIFE」レギュラーMCも務める。香港政府観光局認定の「香港マイスター」。
SCOOBIE DOは10月4日に13枚目のフルアルバム『CRACKLACK』をリリース。ツアー「Funk-a-lismo! vol.11」も開始、ファイナルは2018年2月11日(日)にバンド史上初のZepp Tokyoワンマン。バーナード・パーディが1974年に手掛けたアルバム『ライラー』の再発CDに、MOBYがライナーノーツを寄稿。世界初”ダチーチーチー”オフィシャル・コンピレーションCDの監修も担当。