映画「パンとバスと2度目のハツコイ」の初日舞台挨拶が、東京・シアタス調布で2月17日に行われ、主演の深川麻衣、共演の山下健二郎（三代目 J Soul Brothers）、監督の今泉力哉が登壇した。
同作は、パン屋で働く独特の結婚観を持った”恋愛こじらせ女子”の主人公・市井ふみと、その初恋相手でバス運転手の湯浅たもつが織り成すコミカルでちょっと切ない恋愛群像劇。ふみ役を深川が、たもつ役を山下が演じたほか、伊藤沙莉、志田彩良らがキャストに名を連ねた。
公開初日を迎えて深川は「撮影した後は公開までに時間があるなと思っていたんですけど、あれよあれよという間に当日を迎えて、ここに立ってやっとじわじわ実感が沸いてきました」と素直な思いを口に。続けて山下が「撮影をしたのは去年の6月くらいで、短い期間でしたがギュッと濃い時間を過ごせたので、僕としても思い出深い作品です。今日という日を迎える事ができて非常にうれしいです」と安堵の表情を浮かべると、今泉は「こんな大きいスクリーンで大勢のお客さんを前に初日を迎えられるのは初めてなのでうれしいです。公開までもいろんな場所でキャストの方とか、いろんな方が動いてくださってるのを見てきたので、この初日が迎えられて感慨深いものがあります」と語った。
映画初出演にして初主演を務めた深川にMCから「どんな作品になりましたか？」と質問が投げられると、彼女は「この作品で初めて映画というものに参加させていただいて、初めてって一生に1回なのですごく大切な作品になりました。今まで自分の中の転機とかターニングポイントだなって思うことはところどころにあるんですけど、きっとこの作品も何年後かに振り返った時、自分のターニングポイントになるんじゃないかなと感じてます」と返した。また新しい役にチャレンジできたと話す山下は「恋愛観だったり結婚観だったり今の時代はいろんな恋愛の形があるんだなと知りました」と述べてから、自身の演技について「色んな役をやってきたんですが、今回色々難しい部分もあったんですが、作品を通してみて少し自信がつきました」と語った。
深川主演で映画制作が決まった段階で深川と2人で話をして、作品のイメージを膨らませたという今泉は「人となりじゃないですけど、深川さんとお話する中で主人公のキャラクターを作っていった」とエピソードトークを展開。その後で「色んな映画があると思うんですけど、男女が出会って幸せになるというよりも、もうちょっと現実に寄っていたいというか、自分が今までに経験してきたような日常に寄り添った恋愛物をという意識で作品を作ってきた」と語り、それから「何かを諦めたとか、何かを辞めちゃったりしてから別のことを始めて淡々と生きていく人を肯定するというか。必ずしも成長がすべてじゃない。そういうのを描きたかったんです」と続けた。
イベントの終盤には映画スタッフ陣を代表して今泉から深川へ、サプライズの手紙が読まれる場面も。今作が映画デビューの深川に対し「初めての経験も多かったと思いますが、映画の完成以降も主演として深川さんが作品を引っ張ってくれました。大阪の取材で『頼られる大きな背中になりたい』と仰ってましたが、『パンバス』チームにとって深川さんは頼れる大きな背中です。今日の公開初日まで本当にお疲れ様でした！ 『パンバス』の主演が深川麻衣さんで本当によかったです」と感謝と労いの気持ちが伝えられた。これを聞いた深川は「びっくりしました…」と驚きの表情を浮かべつつ、「初めての映画でこんなに大きな役をいただいたのに、自分のせいでこの作品を壊してしまったらという怖さがありました。今泉さんだったり山下さんだったり、みなさんに助けていただいて、私こそこの作品に参加させていただいて幸せな気持ちでいっぱいです」と涙ながらに語っていた。
最後に深川は「観ていただいたみなさんにどんな風に届くんだろう、どんな感想を持つんだろうと、すごく気になってます。ぜひ、『パンとバスと2度目のハツコイ』よろしくお願いします」と挨拶。続いて、山下は「映画を観終わった時、それぞれ意見があると思うんですけど、その意見がみなさんの答えだと思ってます。新しい形の恋愛っていうのを描いてる映画で、僕自身も大好きな作品なので、みなさんと共感できたらと思います」と話し、最後に今泉が「山下さんも仰ってましたが、観る人によって解釈は違うと思うので。その後あの2人はどうなったんだ？ とか観た人で感じ方は変わってくると思うので、観終えた後も楽しんでいただければと思います」とアピールして、この日のイベントは締めくくられた。
