動画再生サイトにて関連動画含め4000万回以上の再生を誇るなど、デビュー1年半にして多くの注目を集めるJY(=知英)。彼女が先週明らかにした、映画監督・岩井俊二とのコラボレーションプロジェクトへの参加プロデューサーがこの度発表された。
このプロジェクトは、岩井氏が作詞を手掛けた「星が降る前に」と題された共通の歌詞をもとに、5名の異なるプロデューサーがそれぞれ楽曲を制作、一枚のEPにまとめる新しい試み。
参加プロデューサーはすでに公表されている岩井氏のほかに、亀田誠治、Seiho、MONJOE(DATS / yahyel)、山本加津彦(敬称略)の4名が追加で発表。ビッグネームから新進気鋭のトラックメーカーまで幅広い人選となっている。
共通の歌詞で、複数のプロデューサーがそれぞれ楽曲を制作する試みは他に類をみない新しい挑戦。この難しいオファーに応えた各プロデューサーによる楽曲は、それぞれの個性が存分に発揮されている。
岩井俊二自らプロデュースに立ち、楽曲制作とアレンジに市川和則(羊毛とおはな)を迎えたEPの冒頭を飾るナンバーは、まさに岩井俊二ワールドを表現するにふさわしい一曲。アコースティックギターと、ストリングスによるシンプルな構成に耳を奪われる。
続いて収録されるボーカルのハーモニーが印象的で美しい楽曲は亀田誠治の手によるもの。トラックに海外トレンドを巧みに取り入れつつも、JYの「声」にフォーカスを当てて構成されたコーラスワークに目を見張る。
2017年夏の「好きな人がいること -Seiho Remix-」に引き続き二度目のコラボレーションとなったSeihoによるトラックは、彼らしい浮遊感あふれるエレクトロサウンドをポップスに昇華した意欲作。終始かすかに鳴るレコードノイズが、歌詞の世界観をより引き立たせている。
今回JYと初のコラボレーションとなるのは、DATS、yahyelの中心人物として話題を呼ぶ気鋭のトラックメーカーMONJOE。シンセサイザーの強いアタックとベーストラックが混然一体となってに身体が自然に踊りだす、ダンストラックに仕上がっている。
EPの最後を飾るのは、壮大な一曲。プロデュースを手掛けたのは、デビュー当時からJYの楽曲を手掛ける山本加津彦。6分弱に及ぶ大バラードは、最後の別れを惜しむかのように表現豊かに歌い上げるJYの歌唱力の高さを感じさせる。
提示された一つの歌詞に対して、5曲の全く異なるプロデューサーが魂を吹き込んだ楽曲群を前に、改めて歌詞の深さと、それぞれの表現の巧みさに拍手を送りたくなる作品となっている。
前回のシングルに引き続き写真家・北島明氏を起用したLPサイズジャケットも含め広がる作品世界から目が離せない。