中村倫也主演のWEBムービー「言えなかった男篇（ロングver）」が公開された。
これは今年2月にAGC旭硝子（以下AGC）が創立110周年を記念し公開したWEBショートムービー「言えなかった男篇」のロングバージョンで、ショートバージョンはすでに再生回数が70万回を突破している。
メガホンを撮ったのは、映画『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』『羊の木』などの吉田大八監督。吉田監督と中村がタッグを組んだのは今回が初で、三浦誠己、清水葉月、松浦佐知子らも出演している。 実は、吉田監督たっての希望で以前から作品を見て気になっていた俳優陣をキャスティングしたのだという。
法廷を舞台に繰り広げられる衝撃のクライマックスシーンに注目！
本ムービーで主人公を演じる中村の役どころは、“とあるAGCの社員”。 ひょんなことから事件に巻き込まれてしまった、ごく普通の会社員が、警察の取調室で何の会社でどんな仕事をしているのか、説明を求められるも「わからない」としか答えられなかったことから事態が悪化。ついには法廷へと舞台を移し、自らの潔白を何とか明らかにしていこうと試行錯誤するストーリーがコミカルに描かれる。
そして、吉田監督こだわりの演出により展開される物語が急展開を迎えるのは、開始2分後の法廷シーン。中村は法廷で歌いだし、ミュージカルのようなクライマックスシーンとなってる。このシーンはカメラのアングルやサイズを変えて40回以上のテイクを重ねたそうだ。
中村倫也 インタビュー
――初タッグを組んだ吉田監督の印象は、いかがでしたか。撮影の感想をお聞かせください。
吉田監督の作品を拝見して、感覚的な部分で演出をする方なのかなと想像していたのですが、実際はすごく的確な指示を下さる方でした。物語や人物の骨組みをきっちり作っていくというやり方で、緻密な計算をされている方で、そこにやりがいを感じましたし、改めて映像業界全体のレベルを引き上げていく監督さんなんだなと思いました。
――法廷での歌唱シーンでは40テイクを超える熱演で圧巻の歌声を披露されていましたね。
歌唱シーンでは、きれいに歌い上げるよりも、音程やリズムが多少よれたり、外れたりしてもいいから、とにかく周りを説得しようという強い思いで歌ってほしいと言われていました。ミュージカルの発声とかコントロールの仕方とは違うところで、荒削りさを出さないといけませんでした。
――WEBムービーをご覧になる視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
僕は歌唱シーンの“VIVA!わからない”という歌詞に共感しました。役者という仕事も、イメージを持たれると思うんですけど、 中村倫也という俳優が自分でもよく分からないし、最終的に僕は「何なのか分からないよね」と言われるような俳優になりたいと思っています。今回のWEBムービーは、分からないものを楽しむ、大人の余裕が感じられる作品になっています。僕が演じた主人公も、終始、謎の人物になっているので、そこを通じてAGCさんに興味を持っていただけたらと思います。
吉田大八監督 インタビュー
――「一言ではいえない会社」というテーマについて初めて聞いた時の感想をお聞かせください。
よくぞこれをテーマにしたなと驚きました。企画した人もすごいけど、それを選んだ会社もある意味、自分たちがやっていること に自信がなければ、これだけ思い切った切り口で、世間に向けてなかなか自己紹介はできません。だからこそ、作り手の僕た ちも自信を持って取り組まないといけないと思いながら撮影をしました。
――主人公を演じた中村倫也さんの印象はいかがでしたか。
まだわからないですね。いい意味で謎です。俳優としても人としても興味が湧いて、いろいろ聞きたいことがあったんですけど、 なかなか現場でゆっくり話せなかった。質問が20項目ぐらいありますよ(笑)。中村さんはこうしてほしいという要求に対して、冷静に受け止める感じがあって。もちろん自分の中では相当、いろいろな感情があったと思います。若いのに、それをあまり表に出さないけど、内面は絶対熱いんだろうなと。すごく興味深い俳優さんでした。
――WEBムービーをご覧になる視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
今回は、AGCさんが社会へ向けあらためて決意表明する、そのお手伝いをさせていただくということがテーマだったので、CM を作る自分と、映画を作る自分をフル稼働させて、そのどっちでもあり、どっちでもないものを一生懸命作ろうと思いました。きっと僕にとっても、今まで作ったことのないような作品になっていると思いますので、それを皆さんも期待して頂ければと思います。
