末次由紀氏の人気少女漫画を実写映画化した『ちはやふる -結び-』は、観客動員200万人を超える大ヒットを記録した『ちはやふる -上の句-』『ちはやふる -下の句-』から2年後の物語を描いた競技かるたを題材とした青春ストーリー。
本作でメインキャラクターたちを演じ、これをきっかけにブレイクしたと言っても過言ではない若手俳優、広瀬すず、野村周平、新田真剣佑に本作への思いをたっぷりと聞いてきた。
2年のときを経て『ちはやふる』チーム全体が大きくなった
ーー『上の句』、『下の句」と大ヒットとなった『ちはやふる』。今回は完結編ということですが、改めて続編が決まったときのお気持ちをお聞かせください。
広瀬:『下の句』の初日舞台挨拶で泣き崩れたのを覚えています(笑)。映画としてはスタートの日だったんですけど、それまでずっとプロモーションをやってきていたので、「本当にこれが最後なんだな」と改めて感じていて。既に泣きそうになっていたところで、それを超えるものが頭の中に入ってきた瞬間に整理がつかなくなりました。人生で一番泣いた嬉し涙だったと思います。でも、すごく心臓が疲れた発表でした(笑)。
野村:「これからも『ちはやふる』をよろしくお願いします」って言われて、これから?どういうことですか?ってなりましたね。後ろを見たら、バーンってスクリーンに文字が出ていて、すずが崩れ落ちて…僕はそれを支えるのに必死すぎてなにも覚えてない(笑)。
広瀬:控え室に戻ったら、関係者の大人の方がみんなニヤニヤしていて、「また騙された~」って思った(笑)。
新田:僕は『ちはやふる』という映画、そして綿谷新という役も大好きだったので、また新としてかるたができるということがすごく嬉しかったです。
野村:僕もみんなとまた仲良く撮影ができるのはすごく楽しみでした。24歳で高校生役って大丈夫かな、この年のひざで競技かるた大丈夫かな…っていう心配はありましたけど(笑)。
(c)2018映画「ちはやふる」製作委員会
ーー続編の撮影がはじまるまでに、『ちはやふる』メンバーがプライベートで集まる機会などはあったのですか?
広瀬:なかったですね。
野村:テレビの中で見るくらい。やもっちゃん(矢本悠馬)これ出てるんだ。すずも出てるな。マッケンまた出てるなって(笑)。映画館いってもマッケン出てくるし、テレビつけてもマッケン出てくるし。俺はマッケンを一番みていた気がするよ!
新田:あはは(笑)。ありがとうございます。
ーーでは、撮影で久しぶりに再会したとのことですが、お互いの成長を感じたりはしましたか?
広瀬:私も青春もの、ラブストーリー、シリアスな作品まで…幅広く出演させていただいた濃い2年間だったんですけど、みんなも同じようにいろんなことを経験してきたんだなと思いました。1人1人がパワーアップして、それがひとつになっているというか。『ちはやふる』というチーム全体が大きくなっていることを実感しました。
野村:すずは女の子から大人の女性に成長した感じがする。あとは、マッケンとか、未成年だった子がハタチになってお酒飲めるようになっていたのが驚きました。最初からお酒飲める身としては、やっと一緒にお酒を飲めるのかと(笑)。
ーー野村さんと新田さんはお二人でお酒、飲まれましたか?
野村:マッケンとはまだ飲めていないので、これからですね。モリリン(森永悠希)とは飲みました。
ーー野村さんは、みんなの成長を見守るお兄さんのような存在なのですね。
野村:みなさんが成長しすぎてね、おじさん困っちゃいますよ。あんまり成長しないでって(笑)。
ーー(笑)。新田さんは、2年の変化を感じる部分はありましたか?
新田:僕は、前作からも瑞沢とは違う空間にいたので客観的に見える部分も多かったのですが、みんな大人になってるなぁと感じました。空気感が明らかに違いますし、お芝居も違う。役以外の世界でも2年が経っていたので、その変化は面白かったです。
広瀬すず「みんなといるときは自然と千早になれる」
ーー2年という月日を経て、それぞれのキャラクターが成長して新たな道に進むところも本作の見どころだったと思います。役作りの面で前作との違いはありましたか?
野村:僕は、今回は賀来(賢人)さん演じる周防さんとのシーンが多かったので、瑞沢とは撮影も別々でしたし、役作りとしてもみんなと離れているようにしていました。そのおかげで自然と心情は作ることができましたけど、みんなと仲良くしちゃいけないというのはしんどかったですね。
(c)2018映画「ちはやふる」製作委員会
広瀬:私は、最初はもう一度千早になれるかなと思っていたんですけど、みんなの前にいるときは、自然と千早になれました。2年前と変わらず、みんなからもらう気持ちというのがたくさんありましたね。
ーー『ちはやふる』チームは、広瀬さんにとって自然と千早になれる空間なのですね。
広瀬:自分からなにかを起こすということが、良い意味で必要ないんです。最後のシーンも、みんなの表情をみると自然にうわーっと気持ちが出てくるというか。本当にもらうものしかなかったです。
(c)2018映画「ちはやふる」製作委員会
ーー新田さんも、藤岡東高校として団体戦で勝負するというのは、前作との大きな違いだったと思うのですが。
新田:かるたをやめるっていうところから、チームを作りたいとなる新の気持ちも考えましたし、作ってからの新の成長も描かれているのでそこも意識しました。
ーースクリーンの新からは、部を引っ張っていく立場としての自信みたいなものを感じました。
新田:新は、誰よりもかるたのことが好きなんです。上の句、下の句ではかるたをやらないという決断をしていたので、そういった葛藤は辛かっただろうなと思いながら演じていました。
(c)2018映画「ちはやふる」製作委員会
泣きすぎてマスカラがべったり 広瀬すずの思い入れが強いシーンとは?
ーー改めて、完成した作品を観た感想をお聞かせください。
野村:『結び』は、瑞沢、藤岡東、僕と周防さんの3セクションに分かれていて、それぞれ面白いストーリーがあるので、僕も観ていて楽しめました。瑞沢のみんなが太一を思い出すシーンのときは、「本当に僕の顔を浮かべて演技してるのかな」と思ったり…。(広瀬のほうを見る)
広瀬:……。
野村:浮かんでないみたいですね(笑)。
広瀬:浮かんでたよ(笑)!瑞沢に太一がいないって大きいことなんだなと思いました。実際の現場でも(野村が)いなかったので、その空間のムズムズというのはリアルに感じていましたし、それをみんなで気にしないようにしていたのもリアルでした。
ーー千早が太一を思い出すシーンは、観客としても涙が止まりませんでした。
広瀬:あそこは、いま観ても一番泣けます。撮影の直前に、上の句の映像をみせてもらったら、すごくキラキラしてたんですよ。だからうわーって思って、ぐわーって出てきちゃって…(笑)。それくらい思入れが強かったですし、本を読んだときにも強いシーンだなと思っていました。
野村:嬉しいですね。
ーー新田さんのお気に入りのシーンは?
新田:僕のお気に入りは、太一が新の目の前にくるところ。子供の頃のように千早と太一と3人で一緒にいることができるんだなと嬉しかったですね。あとは、試合のシーンも演じていて楽しかったです。団体戦での試合は初めてだったので。
『ちはやふる』メンバーは、兄弟のような存在
ーー『ちはやふる』シリーズはみなさんにとって、どのような作品でしょうか?
広瀬:仕事以外のところでも相談できるような人たちに出会えた大事な作品です。自分の支えになる人たちだから、その存在はすごく心強い。今までそういう存在の人がいなかったとかそういうことじゃないんですけど、東京にきて、お仕事を始めてそんなに経っていなかった頃に出会った人たちなので。
野村:僕も、やっぱりそういう仲間に出会えた作品だと思っています。アホをやっても許されるし、いろんなことをお互い分かってあげられる。キャスト含め、スタッフの人たちにも、本心で物事を言えるんですよね。全部で4年ぐらい経っているわけですし、3作品も一緒にやっていたら、何か芽生えるでしょう。家族感とまでいかなくても、兄弟感がありますね。
新田:僕は日本に来たときからみんなと一緒にいるので、みんなとともに成長してきたような感覚です。それこそ兄弟のような。すずに関しては、もう4作品も一緒で…一緒に居すぎっていう(笑)。
一同:(笑)。
広瀬:すみませんでした(笑)。
ーー最後に、いろんな人の影響を受けて、千早、太一、新が変わっていく姿を描いている本作にかけて、みなさんが影響を受けた方の存在を教えてください。
野村:僕は趣味が多いので、各趣味で影響を受けている方がいるんですけど、俳優業では、窪塚洋介さんや長瀬智也さんです。お芝居も素晴らしいですし、それとは別に好きなことを大切にしているところが素敵だなと。僕も趣味が多いし、好きなものがしっかりとあるから、お二人をバイブスにしています。
広瀬:女性として、女優さんとして影響を受けているのは『海街diary』のお姉ちゃんたちなんですけど、お芝居とか全ての考え方が変わったのは、『怒り』の李監督です。人の前だろうがなんだろうが、ボロクソに言われて…未だに夢に出てくるほど(笑)。でも、それがあったからこそ、自分が立たせてもらってる世界のことを知って、自分を壊すきっかけになったと思っています。今も、何かに迷ったときには李監督のところに行きますね。
新田:僕は影響を受けた人とかはあまりいないのですが、目標にしている方は浅野忠信さんや真田広之さんです。国境を越えて仕事をされていることがかっこいいと思っていて。いつか追いついて、追い越せるように頑張っていきたいと思っています。