国際結婚、高齢結婚、同性パートナー。家族の形が多様化する中、今までの常識では考えられなかった新しい愛の形がある。
千葉県・柏市の一戸建てに住む若狭美香さん(37)を訪ねると、夫の朋広さん(44)と、お子さん2人が和やかに出迎えてくれた。一見普通の家族に見えるが、そこにはもう一人の男性が。美香さんと朋広さんの息子にしては、あまりにも大きい。彼は美香さんの"彼氏"で、家族と同居しているというのだ。
■「結婚したまま妻は"彼氏"を作る」という選択肢
2009年に入籍した若狭さん夫婦だが、ほどなくしてセックスレスになる。その後、2012年に1人目、2014年に2人目の子どもを設けたが、「妻に性的な感情が湧かなくなってしまって、そういうことができなくなってしまった。でも一緒にいてほしいというか、家族としてやっていきたいと思った。離婚するのか、頑張ってするのか、彼氏を認めるのか、毎晩相談していた。相談できそうな男性が現れた。ついにその時が来たのかなと思った。"妻の彼氏になってもらえませんか"という話をした」(朋広さん)。妻のことは愛しているが、セックスができない。実は、男性からの離婚申し立て理由の5位が、この"性的な不調和"だという。
悩んでいた美香さんも、2016年4月にブログを始めた。「セックスレスだけど、めっちゃ話してる夫婦やでっていうブログを書いていた。自分の気持ちを正直に書いていたら、"夫じゃなくてもいいかも"みたいになってる自分に気づいた。それも全部、夫に話していた。そんな時にちょうどいい方が現れた」。
3人で話し合いを持ち、考えに考え抜いて出した結論が、結婚したまま妻は"彼氏"を作る、という選択だった。2016年6月のことだった。"セックスフレンド"ではなく"彼氏"なのは、しんどい子育てを分担できるのではという思いがあったからだという。しかし去年3月、1人目の彼氏とは破局した。
その後、3ヶ月後、今の彼氏である砂川卓也さん(24)との交際・同居がスタートした。出会いのきっかけは、美香さんが「困った人を助けに行く」という仕事をしていた卓也さんに子どもの面倒を見てほしいと依頼をしたことだった。美香さんのブログを読み、若狭家の状況を把握していたという卓也さん。丸1日、2人でいるうちに意気投合、LINEを交換した。それから美香さんが1人で旅行に行く際、卓也さんが「僕もついていきたいな」と話したのだという。美香さんは朋広さんに相談、卓也さんを若狭家に招待したのだという。「その時は恋愛感情がだいぶあった」(卓也さん)「"うわー、楽しみ!"というLINEが来た」(美香さん)そして、朋広さん公認のもと、卓也さんが一緒に住み始めることになる。
■「目の前でそういうイチャイチャするのはやめてねと言っている」
卓也さんは「罪悪感はない。ほぼゼロ。僕がこの家にいることが(夫の)若ぴょんにもメリットがあるなと思っているので罪悪感はない。むしろ、この夫婦が家族会議の途中ですぐに離婚しそうになるから、僕が引き止めている。そういう気持ちが絶対に芽生えないかどうかは分からないが、二人に別れてほしいと思ったことはない」。
卓也さんは美香さんとの関係をさらに発展させたいとは思わないのだろうか。「結婚する理由はあまりない。すでに一緒に住んでいるし、生活も一緒にしているから、結婚したいとは思わないのでは」。美香さんも「どこも目指してない。お墓のこととか、好きじゃなくなったらとか、そういうことはあまり考えてない」と話す。
実は卓也さんと美香さんの間では、子どもをつくろうという話も出ているという。「親友みたいな感じなので、独占欲みたいなのはあまりない。幸せならそれでいいかなと思っている。ただ、目の前でそういうイチャイチャするのはやめてねと言っている。ちょっとでも違和感があったらすぐ家族会議をして、"ここがちょっと嫌やな"と話し合う」と朋広さん。彼女はいないというが、美香さんには「いつでも作っていい」と言われているという。
■4月からは新たにシングルマザーが同居
朋広さんは去年の12月に仕事を辞めた。「3人で子育てをしている。貯金を食いつぶしている状態なので、"じゃあ働きに行ける人誰?"と、行ける人に行ってもらっている状態。それも全部会議で決めている」。家事も3人で役割分担、夫と妻と子ども、そして、妻の彼氏が和気あいあいと食卓を囲む。ちなみに、寝る時は朋広さんと子どもたち、美香さんと卓也さんで分かれる。時々、子どもたちのリクエストで、若狭家の4人で寝ることもあるという。「僕と子どもたちが美香さんを取り合っている感じ(笑)」(卓也さん)。「パパと卓ちゃんどっちが好き?」との質問に、子どもたちは「お父さん」。
4月からはさらに人が増えるという。「小4と小2と3歳の子どもがいるシングルマザーの方。子育てが大変だと聞いて、"じゃあうち一緒に住まないか"という話をした。家事がめちゃくちゃ得意な人なので、待っていたという感じ」(朋広さん)。
不倫報道や、不倫バッシングが熱を帯びる昨今の状況について、美香さんは「不倫している人は罪悪感がある。叩く人も"自分は我慢してんのになにしてんだ"とか"みんな我慢していてしんどい"みたいなことで責めている。それよりは罪悪感を持たない、責めない、"抱けない夫なんやねん"と言わない、やれる範囲で新しく楽しくやれることないかなということに取り組む方がいい」と話した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)