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 漫画家・押切蓮介の代表作でトラウマ漫画として知名度の高い『ミスミソウ』の実写映画が4月7日(土)から公開される。

 東京から閉鎖的な田舎にやってきて壮絶ないじめを受ける主人公・野咲春花。次第にいじめはエスカレートしていき、想像を絶する悲劇を生む……。崩壊していく春花の姿を見ごとに演じ切ったのは新進女優・山田杏奈。そして、春花に唯一寄り添うクラスメイトの相場晄役を『渇き。』『ソロモンの偽証』など話題作に次々と出演する注目の若手俳優・清水尋也が演じた。この春1番のトラウマになりかねない映画『ミスミソウ』について、2人に直撃した。

山田杏奈、復讐シーンはまばたきに注意「サイボーグを意識して」

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――山田さんはオーディションに参加したそうですが、出演が決まったときの最初の感想を教えてください。


山田:中学生のころに漫画を読んだことがあってとても印象に残っている作品でした。オーディションのお話が来たときに、もう一度読み返してみて、ああ、春花をやりたいと思ったので、受かったときにはとてもうれしかったです。


――なぜ、春花をやりたいと思ったのでしょうか?


山田:春花の辛さ、葛藤や変化はとてもインパクトがありました。そして、現実にはなかなかありえない豹変の演技というものに挑戦してみたいと思いました。

――初主演ですが、プレッシャーはありませんでしたか?


山田:今まで経験した現場では、主演の方がしっかり全体を引っ張っている印象があります。なので、自分にもそれができるのかと最初は不安になりました。でも、まずは春花をしっかり演じることが1番だと考えて、主演ということに対してはあまり気負わないようにしました。

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――清水さんは、映画の出演が決まったとき、どんな感想を持ちましたか?


清水:まずは、どんな作品でもジャンルでもオファーをいただけることが有難いので、真摯に取り組んでいきたいと思いました。原作を最初に読んだときは、正直言葉を選ばずに言うと、胸糞悪かったです……(笑)。

――正しい感想ですよね(笑)。


清水:ただ、暴力の根底にあるものはすべて愛情で、その切なさが垣間見えたりするところに時おり心を揺さぶられました。ただのグロテスク、普通の恋愛映画ではなくて、すごく斬新な作品だと思います。

――相場晄に対してはどんな印象でしたか?


清水:彼も春花に対する愛情がもとで動いていて、暴力的になる前の優しさもウソではなくて本来の姿。愛情の釣り合いが取れなくなってしまったときに、あふれ出してしまう。ドロドロとしたものが核にある人物だという印象です。

――役作りはどのようにされましたか?


山田:復讐をする前の春花は、しっかりした部分を持っていて、自分自身で考えて行動するところや、必要以上に誰かに依存しすぎないところなどが私自身と共通するものがあるなと思いました。なので、演じるにあたってそこまで複雑に役作りはいりませんでした。復讐に至るシーンで、春花の苦しみや他人からの裏切りに対しての憎しみなど、気持ちが溢れていく部分は大切に演じようと心掛けました。

――アクションシーンは目を奪われました。


山田:サイボーグというイメージで演じていました。感情を出さないで機械的に人を殺していくというか。目線の位置やまばたきに注意して、感情が崩壊しているように見えることを意識しました。監督から「思い切りやって」と言われた鉄パイプで殴るシーンは、実は楽しんで演じています(笑)。

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――清水さんは役作りの部分で苦労点はありますか?


清水:相場の特徴は、愛への暴力。もちろん僕はそれに対して偏見を持っているし、いけないことだと思う。でも、相場をやるうえでは拒絶はできないと思って、一度、DVなどに対しての壁を取り払おうとしてみたんですよ。でも、結局理解できませんでした。理解ができなかったら演じられないかと言ったら、そうではなくて、それをするのが役者の仕事ですから、100%想像しながら演じました。

――正解が出ないまま演じられて、もやもやするところはありませんでしたか?


清水:撮影前にはふんぎりをつけないといけないので。中途半端な残りかすもありませんし、あとからもやもやすることもありませんでした。理解するか、想像するか、どちらかのアプローチしか選択肢はないので。

――男らしいですね!


清水:(笑)。

山田杏奈、清水尋也のフォローに「尊敬してます」

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――作品の中では、2人が同じシーンを演じることが多かったと思いますが、お互いの第一印象を教えてください。

山田:衣装合わせのときに初めて会って。あいさつ程度だったので、すごくクールな印象を受けました。クール過ぎる!この人とは絶対に仲良くなれないって思いました(笑)。そのときは話をしていなかったので、なんとなくたたずまいが怖かったです。

――清水さんは、山田さんにどんな印象を持ちましたか?


清水:最初は、本当に挨拶だけでしたが、それこそ春花のイメージ通りかなと。透明感があって、真面目な雰囲気があって。


――撮影をスタートしてから印象は変わりましたか?


山田:とても面白い人でした。清水君がいたから、現場の雰囲気が良くなったり、そういう場面が多々ありました。私は人と話すのがあまり得意じゃないから、初対面でもフランクに接することができるところは、本当に尊敬します。

――そうなんですね! なにか印象に残っているエピソードはありますか?


山田:え~と。

清水:ちょっと待って!変なこと言わないでね!


山田:(笑)。いつも面白かったですよ。

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――清水さんは、現場の雰囲気をよくしようという意識があったんですか?


清水:僕が一番年上だったんですよ。だから、多少は意識していました。共演者の中には、まだ芝居の経験が少ない子とか人見知りの子もいたので、そこでコミュニティが分裂するのは面白くないから、全体がまとまるような意識をしていました。でも、ほとんど自分が楽しんでいただけです。

山田:みんなをいじり倒していました。


――人見知りの子に対して話しかけるテクニックがあったら教えてください。


清水:中身のないような会話をしたほうがいいなと思って。レスポンスに責任とか重要性が生まれると気負っちゃうから。しょうもない会話を心がけていました。音楽の話とか、アニメの話とかよくしていました。

――今の2人を前にしていると、現場の雰囲気の良さが伝わってきますね。同世代の俳優として刺激を受ける部分はありましたか?


山田:私がなかなかできなくて、17~18テイクくらい撮りなおしたことがあるんです。それが終わったときに清水君から「こういうことがあるから、お芝居ってやめられないよね」って言われて。すごくいい人だなって思いました。本当に尊敬します。

清水:ウソです! 全部ウソです!

山田:ホントです(笑)。

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――作品は壮絶ですが、現場は和やかな雰囲気だったようで、妙に安心します(笑)。最後に、今後演じてみたい役、ビジョンなどがありましたら教えてください。


山田:私は相場くんのような役を演じてみたいです。全く理解ができない狂気の役を。


清水:全部やりたいですね。人生一回しかないからやりたいことをやって死にたい。やりたいものを決めちゃうと、やりたくないものも出て来ちゃうからそこに優劣はつけがたいです。でも、虫を食べる役とかはやりたくないですね。虫、大嫌いなので(笑)。


――ありがとうございます!お二人の今後の活躍も楽しみです!


『ミスミソウ』あらすじ

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(c)押切蓮介/双葉社 (c)2017「ミスミソウ」製作委員会 

 東京から田舎に転校してきた主人公・野咲春花(のざき・はるか)は“部外者”として扱われ、壮絶なイジメを受けていた。春花の唯一の味方は、同じように転校してきたクラスメイトの相場晄(あいば・みつる)。彼を心の支えに必死に耐えてきた春花だがイジメは日に日にエスカレートしていった。そして、ある日、激しく燃え上がる炎が春花の家を覆い尽く。思いもよらない悲劇に遭遇した春花の心は、崩壊する── 。厳しい冬を耐え抜いた後に雪を割るようにして咲く花、三角草(ミスミソウ)。春花はミスミソウのように厳しい冬を耐えて、きれいな花を咲かせることができるのか……。春花が選んだ道とは。

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■山田杏奈/ヘアメイク:横山雷志郎/スタイリスト:杉浦優/ワンピース¥76,000(カッティーシオマラ)、トップス¥24,000(ティート トウキョウ) 問い合わせ先:シアンPR03-6662-5525

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■清水尋也/ヘアメイク:須賀元子/スタイリスト:服部昌孝

テキスト:氏家裕子

写真:野原誠治

映画「ミスミソウ」公式サイト
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山田杏奈、映画初主演!映画「ミスミソウ」2018.4.7新宿バルト9他全国公開
映画「ミスミソウ」公式サイト
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