週末、国会前では安倍総理の退陣を求める大規模なデモが行われた。参加者たちは「安倍政権は今すぐ退陣!」と声を挙げ、演説に立った立憲民主党の長妻昭代表代行は「日本は安倍総理のお友達・取り巻きによって国家中枢が大混乱に陥っている。その責任を早く取れ!」と訴えかけた。
一方、「この国の行政の信頼とは一体何なんだということが問われていると思っている」(石破茂元幹事長)、「国民に(対して)もしも"このくらいは許されるんじゃないか"という甘えがあるとしたら、堅城も崩れさるんじゃないかと非常に危惧している」(山東昭子元参議院副議長)と、政府に対する不満の声は与党内からも。さらに公明党の山口那津男代表は「政府が責任を持ってきちんと説明責任を果たしてもらいたいと思う」と注文をつけた。
■小西議員「外交においても売国する」
14日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した著述家の菅野完氏は「公文書の変造問題が出てきて、政府の正当性が問われている。トランプさんに会いに行って、何か紙を見せた時に冗談でも『Mr.Abe, Is this paper true ?』と聞かれたらどうするのか」と公文書改ざん問題に対する政府の対応を批判。
「自民党が野党だった時代に菅義偉官房長官が書いた『政治家の覚悟』という本がある。サブタイトルは『官僚を動かせ』だ。この205ページに、"議事録は最も基本的な資料だ"と。そして、民主党政権がその作成を怠ったということは国民への背信行為であり、歴史的な危機に対応していることへの意識の薄さ、国家を運営しているという責任感のなさが如実に現れている、と指摘している。正論だが、菅さんは今、"全部官僚がやった。勝手にやった"と言っている。今の自民党政権も悪夢だった民主党政権と同じように官僚を動かせず、国家統治する能力に欠けているのであれば、即刻退陣してもらわなければ」。
民進党の小西洋之参議院議員も「国内の政治で特定の人に法律のルールをねじ曲げて特別なことをしたり、国会に提出する文章をわざと改ざんして出したりする内閣は外交においても売国する。安倍総理の北朝鮮対応はアメリカの軍事路線に追従するだけだった。ところが北朝鮮が融和に動いた瞬間に完全に日本は蚊帳の外だ。北朝鮮からも相手にされない」と厳しい姿勢を見せた。
一方、日本維新の会の足立康史衆議院議員は「民主党政権の時も同じだった。例えば原発事故の時の議事録が残っていない。それなのに小西さんは『安倍政権がこれで倒れなかったらいつ倒れるんだ』と言っている。倒閣のための議論ではなくて、党派を超えて公文書管理の問題をやった方がいい」と反論。「比較的安定していて力のある政権だから、公文書管理の問題でもこの際リーダーシップを取ればいい。安倍政権が退陣するのではなく、安倍政権のリーダーシップで紙ではない電子の時代の公文書管理の仕組みを作ればいい。これから米朝対話もある。シリアの問題もある。こういう時に今、トランプ、プーチン、習近平とちゃんとやりあえる日本のリーダーは安倍総理しかいない。野党6党が安倍倒閣というのは党利党略だ」と述べ、野党の姿勢を批判した。
■足立議員「総理は誰がいいかと言えば安倍総理だ」
一時期は自民党総裁の3選が確実視されていた安倍総理だが、ここにきて内閣支持率が低下し、風向きが変わってきたとの見方も出始めた。小泉純一郎元総理は「難しいだろうな。信頼がなくなってきた。何を言っても言い逃れにとられちゃう。言い訳」と話している。
そんな中、都内で行われた会合に麻生派と二階派の幹部らが顔を揃えた。安倍政権の支持率が低迷する中、麻生太郎副総理と二階俊博幹事長が揃って安倍総理支持の姿勢を示すことで、党内の"安倍離れ"に釘を刺す狙いがあるものとみられる。二階派の河村建夫衆議院議員は「今日の話しぶりからすると、お互い力を合わせて政権を支えていこうということだ」と述べた。
"ポスト安倍"について菅野氏は「僕は二階幹事長が総理になるのがベストだと思う」と断言。これに対し足立氏は「これだけ経済を拡大させて、雇用を回復させてきた。外交関係でもトランプ大統領からの一定の評価がある。この安倍政権を引きずり下ろすのは、国益のことを考えていないとしか思えない。"モリカケ”と言われている問題が倒閣に値するようなテーマかと言えばそうではない。小西議員たち野党が1年以上この話題を食い散らかして、足を引っ張った。国会は野党が政府を追及するだけの場になっている。イギリスなどの議会は違う。与党のプランAと野党のプランBを競争させる場だ。僕は野党で、地方分権や文書の問題では安倍政権を追及しているが、総理に誰がいいかと言えば安倍総理だ」と、あくまでも安倍総理を支持する姿勢を示した。
菅野氏は足立氏の話を受けて、「経済でも色々な問題がある。安倍さんはそれに果敢にチャレンジしてきた。それに対して内政面で批判するのはどうなんだという議論は成立するかもしれない。しかしそれは一般生活に置き換えると、お父さんが外で仕事をしているのだから、家に帰ってきた時にお母さんとお姉さんを殴るのは黙って見過ごせと言っているのと同じだ」と反論していた。