漫画の世界では、女子高生が青春を麻雀にかけ、真剣に戦う姿が描かれている作品「咲-Saki-」(著 小林立/ヤングガンガン連載中)が、テレビアニメ・実写映画化もされ、人気を博している。そして現実の世界でも、昨年、映像配信プラットフォーム「FRESH!」で配信され、女子高生選手が涙した麻雀大会「高校女子オープン」(竹書房主催)が感動を呼び、すでに2018年8月1日に次回開催が決定している。
林芳正文部科学大臣、馳浩元文部科学大臣からも祝電が届いた「文部科学省後援 全日本健康麻将選手権」
競技麻雀の社会的認知向上と普及を目指している「一般社団法人 学生麻雀連盟」に加盟学校数を確認したところ、中学校19校、高校123校、高専17校、専門学校15校、大学218校、大学院11校と計392校あり、近年増加傾向にあるという(2018年3月現在)。同団体代表理事・正能和仁氏によると「ひとつしかなかった全国大会が2012年以降、4つに増えたこと。そして全大会の決勝戦が生放送されるようになったこと」が増加の要因と語る。
さらに学生にとっても励みになる文部科学省の公印が押印された賞状が与えられる「文部科学省後援 全日本健康麻将選手権」(全日本健康麻将協議会主催)が2018年3月に富山県で開催された。この大会には、北は北海道から南は佐賀県まで、21都道府県で行われた予選大会を勝ち上がったアマチュア選手100人が参加(予選大会参加者は3000人強)。学生選手は「アモスグランドチャンピオンシップ2017-2018学生麻雀日本一決定戦」優勝者の花田俊平さん(学習院大学)、準優勝の杉田久貴さん(長浜バイオ大学)をはじめ、静岡県予選を勝ち上がった玉木翔馬さん(静岡大学)、長野県予選を勝ち上がった市川椋さん(信州大学)の4人が参加した。
左から花田俊平さん(学習院大学)、杉田久貴さん(長浜バイオ大学)、玉木翔馬さん(静岡大学)、市川椋さん(信州大学)
麻雀では初となる文部科学省の賞状を獲得したのは、京都府の84歳・河田敦巳さんだったが、杉田さんは2位、玉木さんは3位と学生選手の健闘が光った。
2位の杉田さんは普段、20人の部員が所属する長浜バイオ大学競技麻雀部で、校内にある2卓の自動卓で練習に励んでいる。直近の目標は「女性部員がいないため、頑張って勧誘すること」とはにかむ。
3位の玉木さんは静岡大学競技麻雀サークルで活動中。麻雀用具に関しては、NPO法人静岡健康麻将サロンから支援を受けているため「今大会では、支援の返礼として優勝し、文部科学省の賞状を持ち帰りたかった」と悔しさをにじませた。
文部科学省の公印が押印された「文部科学省後援 全日本健康麻将選手権」の賞状。金箔と透かしが入っている
このように女子高生をはじめ、学生たちが麻雀で、スポーツや将棋・囲碁と同じように、必死に戦い、勝って喜び、負けて涙するシーンがメディアで見られるようになる日は、現実味を帯びている。そうなれば生涯教育として、世代間交流さらには地域交流のきっかけ作りとしても、麻雀は新たなステージに突入するだろう。「文部科学省後援 全日本健康麻将選手権」の来年の開催地は東京。漫画作品「咲-Saki」』にも描かれている「国立オリンピック記念青少年総合センター」(東京都渋谷区)での開催が決定している。 【写真:藤田明人(朝日新聞社)/取材:福山純生(雀聖アワー)】