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 27日に行われた南北首脳会談で、歴史的な対面を果たした北朝鮮の金正恩委員長と韓国の文在寅大統領。韓国大統領府担当者は29日、「南北首脳会談で、金委員長は北部の核実験場の閉鎖を5月中に実行し、透明性を確保するため韓国とアメリカの専門化やメディアを近いうちに北朝鮮に招待する意向を明らかにした」とコメント。米朝首脳会談が行われる前の5月中にも、豊渓里(プンゲリ)の核実験場を閉鎖させることを明らかにした。

 さらに、夕食会前での歓談で金委員長が「控え室に時計が2つ掛かっていた。これを見ると非常に胸が痛かったので、北と南の時間から統一しよう」と発言したとし、北朝鮮が3年前に採用したソウルより30分遅い“平壌時間”を韓国側に合わせるという。

 南北首脳会談ではこうした“融和ムード”が終始演出されたが、不可解なのは板門店宣言で目標に掲げられた「朝鮮半島の完全な非核化」が宣言文の最後に書かれ、具体策もなかったこと。金委員長は共同会見の場でも「非核化」に一言も触れなかった。また、文大統領の北朝鮮訪問が話題に上った際には、インフラ整備が進まない苦しい経済事情を暗に認めつつ、2007年の南北首脳会談で合意した経済協力が滞ってきたことを持ち出し、韓国をけん制する場面もあった。

 はたして、金委員長は本当に核を放棄するつもりなのか、融和ムードを演出した狙いとは。『けやきヒルズ』(AbemaTV)では、会談中の仕草から読み取れる金委員長の心理状態について明星大学准教授で臨床心理士の藤井靖氏に見解を聞いた。

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 藤井氏がまず注目したのは、軍事境界線上で握手を交わした際の金委員長の目線。文大統領と目線が合わなかったり下を向いたりしていたが、「緊張もあるだろうし、周りのカメラを意識していて、首脳会談に慣れていないということがあると思う。机を挟んで向かい合っている時もあまり目線がはっきりしていない。覚えてきたことを喋る、記憶を呼びだしている仕草に見える」と見解を述べる。

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 続けて、会談全体を通じて口の開け方が小さい「笑い方」が通常公表される写真とは異なると指摘。「ミサイル発射時の写真は前歯の間を見せて笑っていることの方が多い。(今回)口をあまり開けないで笑うというのは、ひとつには本音を見せたくない、警戒感を示しているということがある。また、平壌冷麺についてジョークを話す時も話すよりも前に笑っていて、話が面白い→笑うという順序とは逆。これは話の意図が伝わっているか、受け止めてくれているかという金委員長の不安感の表れだと思うし、この場を和ませようという彼なりの迎合の仕方にも見えた」と述べた。

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 また、3つ目として「身体の動き」に言及。共同宣言の際、金委員長に体を左右に揺らす動きが見られたが、藤井氏は「頻繁に姿勢を変える人は、自分が言っていることや見せている姿とは別のことを内心では抱えている場合がある」と説明し、「(宣言文で)読み上げていることと内心が一致していないひとつの“非言語的な行動”の表れではないか。本音は別のところにあるということが会談の随所に見えて、南北首脳会談をひとつのセレモニーというか戦略として使っていた」と推測した。

 なお、日本時間29日にアメリカ・ミシシッピ州で演説を行ったトランプ大統領は、「我々は3~4週間後に重要な(米朝首脳)会談を控えている」と米朝首脳会談を5月中に行うことを示唆している。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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