
女子高生への強制わいせつの疑いで書類送検され、その後、起訴猶予になったTOKIOの山口達也さん(46)について、ジャニーズ事務所は6日付けで「契約を解除した」と発表した。
ジャニーズ事務所は6日夜、報道各社にFAXを送信。山口さん本人から直接事務所に強い辞意表明があり、ジャニー喜多川社長とTOKIOのリーダーである城島茂が協議した結果、山口さんの申し出を受理する判断に至ったという。
A4用紙2枚にわたるFAXでは「6日にメンバーの総意として辞表が社長らに託され、当人からも別途、社長への直接の意思表明があったことも踏まえ、辞意の受け入れになりました」と経緯がつづられた。
さらに、事務所は山口達也さんの今後について「山口の置かれている状況等を鑑み、彼を育ててきた立場として、社会に責任を果たすために必要な支援を今後も積極的かつ継続的に行って参る所存でございます」とコメント。「一人の人間として再び社会に復帰するためには、本人の強い意志と周囲のサポートが不可欠です」と、温情も垣間見える内容がつづられた。
山口達也さんの契約解除、なぜこのタイミングか? 事務所が認めた「育成の責任」

山口達也さんの契約解除が、なぜこのタイミングだったのか。AbemaTV(アベマTV)『けやきヒルズ』に電話出演したスポーツニッポン記者で文化社会部部長の阿部公輔氏は「山口さんが出ていた番組、TOKIOが出ている出演番組について、テレビ局はずっと対応を保留していた。これは早めに結論を出さないといけない。ゴールデンウィーク中に、はっきりとけじめをつけて、ゴールデンウィーク明けに関係各所が判断できるようにしないといけないという、配慮の決断だったと言えます」と、契約解除のタイミングを考察する。
当初、事務所が決めたのは山口さんの「無期限謹慎」だった。このタイミングまで契約解除が決断できなかった理由について、阿部氏は「もともとは無期限謹慎と音楽活動を白紙にするという判断を事務所がしていて、被害者のご両親のコメントにも『この過ちで一人の人間の未来がすべて奪われてしまうことは私達も望んでおりません。』とコメントを出していました」とコメント。
続けて阿部氏は「しかし、先月26日、被害者に寄り添った形になるよう終始しなくてはいけなかった会見で、山口さんがTOKIOに戻れるならという旨の話をしてしまった。最終的に無期限の謹慎というのは、いずれは何らかの判断をしないといけない。この10日間、事務所が今後をどう判断するのか、強く迫られる事態になっていた。このままでは選択肢として、山口さんが脱退するか、TOKIOが解散するか、この2択しかなくなり、山口さんがTOKIOを守るために辞表を出して、何とかするしかない決断になってしまった」と見解を述べる。
さらに、事務所からのFAXにあった「社会に責任を果たすために必要な支援を今後も積極的かつ継続的に行う」という内容について、阿部氏は「このコメントは温情的に思われますが、実はジャニーズ事務所にとっても、この判断をしたことは意義深いものだと思います」という。
「事務所は山口さんを16歳の頃から預かっている。男性アイドルグループを抱えるジャニーズ事務所は、未成年者を預かって、いろいろな教育をしながら育ててきた。預かった子供がやった不祥事に対する、事務所としての責任への姿勢を今回の件で明確にしました。46歳になった大人が起こした不祥事ですが、自分たちが少年から育ててきて、育てた人がやったことに対して、事務所が責任を負うと。社会復帰させるまで責任を負うという姿勢を見せた。今までは、どこかの事務所のタレントさんが不祥事を起こしたら『いい大人だしタレントさんのせいだろう』という意見もありますが、今回は所属事務所が『自分たちが育成してきた責任もある』と認めた。この決断はとても意義深いものです」
TOKIOの合い言葉 “1人は5人のため、5人は1人のため” 今後、山口達也さんの芸能界復帰はあるか?

FAXにはTOKIOのメンバーである4人からのコメントもあった。
【TOKIO 4人のコメント】
誰のために何をすべきか、それだけを考え続けた日々でした。僕らメンバー、一人一人の今の気持ちを表現するには言葉だけでは足りませんし、何より、これ以上言葉で語るべきものではないと思います。
自分たちに変えられるものがあるとすれば、それは明日であり。目の前にあることからです。
今一度TOKIOとして原点に戻り、それぞれが己と向き合い、誰のために、いったい何をするべきなのかをしっかりと考え、前を向いていきたいと思います。
城島茂 国分太一 松岡昌宏 長瀬智也
このコメントを見た阿部氏は「今後は4人で活動を続けていくわけですが、もともとTOKIOには“1人は5人のため、5人は1人のため”という合い言葉がありました。その言葉を持って4人で活動していく上で、もう1人の存在、山口さんのことは忘れないと思います」と、TOKIOがもともと持っていた合い言葉に言及。その上で「山口さんが起こした不祥事には被害者がいるということ。そしてファンに大きなショックを与えたということ。それを抱えながら明日に向かってずっとやっていくということだと思います」と考察した。
さらに阿部氏は、山口さんの芸能界復帰の可能性について「今回大きなけじめをつけたという意味で言えば、そういうことを話すのは早すぎますね」とコメント。「ただ、無期限謹慎のままズルズルといくよりは、少なくともいずれ戻る可能性を残すことができていると思います」と見解を述べた。

AbemaTV『けやきヒルズ』に出演した、臨床心理士で明星大学の藤井靖准教授は「共演者とはいえ、夜に女子高生を家に呼ぶことはやってはいけない。擁護はできません。一方で、罪に対する罰にバランスがあるのかどうかは疑問。つまり山口達也さんはTOKIOも脱退し、事務所から契約を解除され、今は仕事ができない状態。前例を見ても、半年や1年で復帰できるような問題ではない。社会的にはある意味抹殺された状態になっている」とコメント。擁護できないとした上で、山口さんのケアについて「孤立させてはいけない」と述べた。
続けて藤井さんは「マスコミでも言われているのはアルコールへの依存ですよね。ご本人は否定していますが、否認も依存の症状で、診断名がつかなくても、アルコール使用障害もしくはその前段階、いわゆる“ビンジドリンカー”。依存症まではいかないかもしれないが、お酒にまつわる問題がある可能性は大きい」と話す。「これは個人の力で解決するのは難しいので、周りのサポートもあって、専門の機関とつながり続けることが大切」とコメントした。
「自分たちに変えられるものがあるとすれば、それは明日であり。目の前にあることからです」とコメントしたTOKIOの4人。来年は25周年を迎える彼らだが、今後何をすべきか、前を向きながら見つめていってほしい。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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