5月12日、映画『孤狼の血』の初日舞台挨拶が丸の内TOEIで行われ、役所広司、松坂桃李、江口洋介、真木よう子、ピエール瀧、音尾琢真、中村倫也、阿部純子、白石和彌監督、原作者の柚月裕子氏が登壇した。
同作の原作は「警察小説×『仁義なき戦い』」と評される柚月裕子のベストセラー小説で、メガホンを取ったのは『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』『彼女がその名を知らない鳥たち』などの白石和彌監督だ。物語の舞台は暴対法成立以前の広島・呉原市。暴力団系列の金融会社社員失踪事件をきっかけに捜査する警察と、暴力団組織間の激しい抗争を描くアウトローな「男」の映画となっている。
『ホリデイラブ』(テレビ朝日)『崖っぷちホテル!』(日本テレビ)『半分、青い。』(NHK)と話題作への出演が続き、毎回異なるイメージの役を見事に演じきることから「カメレオン俳優」と話題の中村だが、今回演じたのは尾谷組の若き構成員・永川恭二役。鉄砲玉として対立する加古村組にかちこんでいき、役所演じるマル暴刑事・大上章吾にもにらみを利かせられるほどの狂犬だ。
MCから演じた感想について聞かれると、中村は「緊張で緊張で眠れなかったですけど……8時間くらいしか(笑)」と冗談交じりにコメントしつつ、「世代を意識して演じました。先輩方が年齢を重ねていろいろ経験しているというキャラクターで、そういう人たちが持つ炎と、昭和末期の若い世代の胸に宿る炎は違うのかなと。永川というキャラクターが作品の中で、先輩方に紛れて消えてしまわないように、ちゃんと作品に貢献できるようにということを意識して演じました」と真面目に役に対する思いを口にした。
さらに白石組、白石監督の印象について聞かれると「白石さん(の現場)は面白いです。自分もそうですし、先輩方もみんな楽しそうにしています。まだ出ていない人にも『白石さん紹介して』とか言われたりするので、役者が疼くディレクション、アイデアをいっぱいもたらしてくれる人です。そういったところが作品の広がりに影響を与えているのだと思います」とコメント。『孤狼の血』についても「こんな映画を待っていたと映画ファンがうなるような作品。2018年を代表する邦画だと思います」と絶賛し、自信をのぞかせていた。
写真:野原誠治
テキスト:堤茜子